今週のポイント
今週は米国の3月CPIが発表されます。豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルはその結果に影響を受けそうです。CPIが市場予想を上回る結果になれば、米FRBの利下げ観測が後退するとともに、米ドルが全般的に堅調に推移すると考えられます。その場合、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルには下落圧力が、一方で米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりやすくなりそうです。
米ドル/円の上昇に弾みがつく場合の本邦当局の対応に注目です。仮に為替介入(米ドル売り・円買い介入)が実施されれば、米ドル/円がいったん下落して、豪ドル/円やNZドル/円などのクロス円も米ドル/円に引きずられると想定されます。
10日にBOC(カナダ中銀)とRBNZ(NZ中銀)の政策会合が開かれます。いずれも政策金利は据え置かれそうです(*会合については後述)。
原油価格の動向が材料になる可能性があります。米WTI原油先物の中心限月の5月物は5日、一時1バレル=87.63ドルへと上昇。中心限月の清算値(終値に相当)としては、23年10月下旬以来およそ5カ月半ぶりの高値をつけました。原油高の主な要因には、中東情勢の緊迫化への懸念や、米国や中国の経済指標の結果が堅調なことがあるようです。カナダドルやメキシコペソは、原油価格の動向にも影響を受けやすいという特徴があります。原油価格が一段と上昇する場合、カナダドルやメキシコペソにとってプラスになりそうです。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.10000NZドル>
10日にRBNZ(NZ中銀)の政策会合が開かれます。その結果が豪ドル/NZドルの動向に影響を与えると考えられます。RBNZ会合では、政策金利を5.50%に据え置くことが決定されそうです。
声明の内容にも注目です。RBNZは前回2月28日の会合時の声明で、「現在の政策金利の水準は、需要を抑制していると確信している」、「政策金利を長期間、(景気)抑制的な水準に維持する必要がある」としつつも、「必要ならば、物価への波及を抑制するために行動する」と表明。追加利上げに含みを持たせました。
市場では、RBNZは7月か8月に利下げを行うとの観測があります(4月と5月の会合については、政策金利の据え置きを予想)。RBNZが利上げバイアスを維持するなど声明の内容が市場の利下げ観測を後退させる内容になれば、NZドルが堅調に推移して、豪ドル/NZドルには下押し圧力が加わると考えられます。
今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34500カナダドル~1.37000カナダドル>
BOC(カナダ中銀)は10日に政策会合を開きます。政策金利は現行の5.00%に据え置かれるとみられ、その通りの結果になれば、BOCの声明やマックレム総裁の会見に注目です。
BOCは前回3月6日の会合時の声明で、「依然としてインフレ見通しに対するリスク、特に基調的なインフレの持続を懸念している」、「コアインフレのさらなる持続的な鈍化を望んでいる」としました。マックレム総裁は会見で、「今後のインフレ率の進展は緩やかとなり、かつ一様でないと予想される」とし、「利下げを検討するのは時期尚早だ」と述べました。また、今回(3月)の会合で政策金利を据え置くことについて「理事会内には明確なコンセンサスがあった」と語りました。
市場では、BOCは6月に利下げを行うとの見方が有力です(5月は政策会合なし)。BOCの声明やマックレム総裁の会見では、利下げに向けて地ならしが行われるかどうかが焦点になりそうです。
BOCの会合と同じ10日には、米国の3月CPI(消費者物価指数)が発表されます。CPIが市場予想を上回る結果になる一方で、BOCの利下げ観測が強まる場合には、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。
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