【QAあり】プラネット、今期は組織の機動性と柔軟性向上に向け「シンカ」する年 データ活用による一般消費財流通の高度化を実現
決算説明会資料 ⽬次
坂田政一氏(以下、坂田):株式会社プラネット、代表取締役の坂田政一です。本日はご多用の中、当社の決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は、当社の会社概要、そして2024年7月期第2四半期累計期間の業績概要と事業報告を行い、最後に配当方針についてご説明します。それでは始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
会社概要
会社概要です。スライドに記載のとおり、当社は企業間の受発注等に必要なデータ交換を仲介するEDI基幹プラットフォームの構築・提供・運用を行っています。
設立は1985年で、資本金は4億3,610万円、純資産は53億4,053万円です。東証スタンダード市場に上場しており、決算期は7月となっています。
設⽴経緯
当社は、日用品・化粧品業界の流通システムを最適化する業界共通のネットワークインフラを目指し、同業界の有力メーカー8社と、独立系ITベンダーのインテックによって設立されました。
当社と接続すれば、複数の取引先と1つのシステムでデータ交換が可能になり、業界全体としても非常に効率的な取引が可能となります。
プラネットの存在意義
当社の事業について、もう少し詳しくご説明します。このスライドの図のように、当社はメーカーと卸売業の間に入って、取引に必要なデータをやり取りできるようにしています。例えば、複数の卸売業がそれぞれ、複数のメーカーの発注データを当社に送るとします。それを当社が宛先ごとに振り分け、メーカーへ送ります。また、その逆もあります。
当社は、徹底した標準化で継続性の高いEDI事業を展開しています。多数の企業間でEDIを使ってもらうためには、データフォーマットを標準化するなど、業界共通のルールを決めて、そのとおりに使ってもらう必要があります。
みなさまが業界共通のルールに準じて、EDIを行うことで、業務を飛躍的に効率化できます。また、環境の変化に合わせ、お客さまとともにルールを変更し、それを標準として維持していくことも必要になります。
プラネットの存在意義
具体的な例をいくつかご紹介します。1989年から始まった消費税や、2019年の軽減税率導入への対応のほか、2023年にはインボイス制度への対応を行いました。そして直近では、2024年の1月から完全義務化となった電子帳簿保存法への対応も行っています。
これらに対応するにあたり、全国化粧品⽇⽤品卸連合会とともに、事業者の意見を集約し、監督省庁に運用ルールの確認などを行いました。また、メーカーと卸売業のEDI担当者が実務上、どのような対応を迫られるかについて、業界関係者とともに取りまとめ、複数の請求処理パターンに応じた対応方法を推奨、周知するなど、関係者と協調しながら取り組んできました。
これらの活動の結果、お客さまは必要な対応や手続きを自社で調べたり、取引先との細かな調整などを行ったりする必要がなくなり、本業に専念してもらえるようになります。つまり、当社が法改正などへの対応を主導することにより、お客さまは必要最小限の対応で、EDIサービスをお使いいただくことができます。
プラネットのビジネス
ここまで、メーカーと卸売業のシステムをつなぐ「基幹EDI」という当社の主力サービスについてご説明しました。他にも、資材サプライヤーとメーカー間のEDIや、メーカーと卸売業を簡易につなぐサービスを提供しています。また、取引先や商品などのデータベース事業も行っています。
これらのサービスを利用しているユーザー数は2024年1月末時点で、メーカーが861社、卸売業が490社、資材サプライヤーが165社、合わせて1,516社となっています。
そして、当社のお客さまが取り扱う商品の主なカテゴリーは、スライド上部に記載のとおり、生活に密着した日用品です。
プラネットのビジネス
ビジネスモデルについてです。当社の売上の9割を占めるEDI事業の料金構成は、一時金、月次の固定料金、月次の従量料金となっています。
このうち8割強を占める月次従量料金は、データの種類ごとに単価が決められており、通信されたデータ量に応じてかかる料金となっています。1件のデータは取引伝票の1行に相当しており、1データあたり約1円をいただいています。
お客さまが一度使い始めると、ほぼ継続的に利用されます。そのため、接続先を増やすことで、データ量も増えていくという特性を持った、ストック型のビジネスとなっています。
プラネットのビジネス
生活必需品を取り扱われているお客さまが多く、ストック型のビジネスモデルであることもあり、バブル崩壊やリーマン・ショック、消費税の導入や引き上げのような大きな景気変動要因の影響を受けづらく、設立以来、増収を続けています。
2024年7⽉期 第2四半期累計期間の業績概要
2024年7月期第2四半期累計期間の業績概要と事業報告についてです。
まず、第2四半期累計期間の業績をご説明します。売上高は15億8,000万円で、前年同期比0.4パーセント増の微増収で着地しました。これは主に「基幹EDI」「販売レポートサービス」の売上増加に支えられたことによるものです。
営業利益は3億100万円となりました。研究開発費や業務委託費などの販売費及び一般管理費が増加したことにより、前年同期比4.7パーセント減の減益となりました。
四半期純利益は2億2,200万円で、営業外収益の計上により、前年同期比1.8パーセント増となりました。
表の右側の赤枠で囲っているところは計画進捗率を表しています。第2四半期累計期間の売上高は、期首計画値に対する進捗率98.8パーセントと、わずかではあるものの計画未達となりました。この理由については、次のスライドでご説明します。
2024年7⽉期 第2四半期累計期間の業績概要
期首計画に対し、売上が伸び悩んだ理由についてです。外部要因の1つ目として、物価高による消費者の生活防衛意識が、依然高い状況にあることが挙げられます。その結果、個人消費が伸び悩み、当社の売上に直結する一般消費財の販売数量が増えない状態が続いています。
そして、外部要因の2つ目として、節約志向の高まりを受け、ナショナルブランドより、卸流通を通らない低価格帯のプライベートブランド商品の拡大が続いていることが挙げられます。
内部要因としては「POSデータクレンジングサービス」の活動遅延が挙げられます。ただし、こちらは当初想定していたターゲットよりも広い層から反響があったため、より多くのみなさまが利用しやすい機能や料金にするための調整に時間がかかっていることが原因です。下期には調整を完了させ、活動を推進していきます。
2024年7⽉期 第2四半期累計期間の業績概要
次に、利益についてご説明します。
営業利益が計画より上振れした理由は、新たなサービスの実現可能性を測るために、調査や検証を慎重に進めた結果、上期に予定していた費用が未費消となったためです。こちらについては、下期にスピードアップを図り、事業化へと進めるため、期首計画どおりに費用が発生する見込みとなっています。
経常利益及び四半期純利益は、営業利益が上振れ、さらに営業外収益の計上があったため、こちらも上振れとなりました。
2024年7⽉期 第2四半期累計期間の業績概要
事業別の売上高についてご説明します。EDI事業は14億6,300万円で、前年同期比0.9パーセント増となりました。これは主に、「基幹EDI」「販売レポートサービス」を拡販したことによるものです。
データベース事業は1億1,600万円となり、前年同期比5.9パーセント減となりました。これはEDIフォーマットの切り替え促進のため、取引先データベースの一部料金を無料にする施策を行ったことによる減少です。
以上、2024年7月期第2四半期累計期間の業績概要についてのご説明でした。
2024年7⽉期 下半期の⾒通し
続いて、2024年7月期下半期の見通しについてお話しします。今年の夏頃まで、モノやサービスなどの値上げが続くと見ています。その結果として、消費者の生活防衛意識の高止まりが続く見込みで、これは当社にとって厳しい経営環境が続くことだと考えています。
ただ、そのような中でも中長期的に増収増益基調へ戻すためには、先ほどお話ししたとおり「POSデータクレンジングサービス」の展開を推進したり、新サービスの創出に注力したりすることが必要です。今は事業投資に力を入れていく大切な時期であると捉え、必要な投資を実行していきたいと考えています。ですので、期首に発表した、増収減益の通期業績予想から変更はありません。
活動⽅針
活動方針についてです。これまでお話ししたとおり、当社は日用品・化粧品業界においても多くのお客さまにご利用いただいています。
一方で、ペット関連商品、OTC医薬品、健康食品、園芸など、その他の業界については、まだ利用していただける余地があると考えています。したがって、これらの業界に積極的に営業活動を展開することはもちろん、業界インフラとして新しい市場へ展開していくことにも注力していきます。
活動方針
当社は現在、20種類のデータを取り扱っています。ただ、受発注に関係するデータは多くのお客さまに使われているものの、その他のデータ種はまだ十分に活用されていません。
例えば、これまでは1つの会社の中で、受発注データを取り扱う受注部門や発注部門、販売データを利用する営業部門などがあり、限定的な利用が中心となっていました。しかし最近は、経理部門や物流部門の方との折衝機会を増やし、請求や物流に関するEDIデータ種の利用を推進しています。
営業活動の対象を、当社とこれまであまり接点がなかった他部門へ広げることで、未利用のEDIデータ種を利用していただける可能性が広がると考えています。そして「特定部門のプラネット」から「お客さま企業全体のプラネット」と言われる存在になっていきたいと思っています。
活動方針
当社はこれまで、商流領域の基幹EDIデータを中心にサービスを提供してきました。そして現在、新たな領域として物流領域に注力しています。「物流の2024年問題」は社会問題となっており、日用品流通業界においても物流の効率化が喫緊の課題です。
経済産業省は「現状のままでは2030年に輸送能力は34.1パーセント不足し、物が運べなくなる」と試算しています。そしてガイドラインを発行し、荷待ち・荷役作業を2時間以内にするよう、1時間以内を努力目標にすることを求めています。
これらの課題解決策の1つが、物流領域の「ロジスティクスEDI」です。このEDIを有効活用することで、荷待ち時間が短縮されて物流の効率化にもつながります。加えて、メーカー・卸・物流事業者にまたがるかたちでデータを流通させ、物流取引情報を可視化させることにより、サプライチェーン全体の輸配送や在庫の最適化も期待できます。
直近の活動としては、経済産業省の「流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業」に関する実証実験があります。具体的には、2月に行われたセブン‐イレブン店舗向け共同配送センターへの納品データを電子化する実証実験に協力しました。
当社では引き続き、「持続可能な物流環境」の実現に向けてその一翼を担いたいという想いのもと、物流領域にも活動の幅を広げていきます。
そしてもう1つ、新たにマーケティング領域へ注力しています。企業や業界の成長には、マーケットで起きていることを先入観なく見つめ、潜在ニーズを含めた予想や分析を行うことが今まで以上に重要になってきました。
卸売業が小売業に商品を販売した実績をメーカーに毎日送信する「販売データ」と小売業の「POSデータ」の連携活用は、まさに需要と供給の視点を統合的に含んだデータ活用といえます。
「POSデータクレンジングサービス」では、フォーマット変換などの作業を代行し、分析に適したかたちで提供します。分析前の煩雑な業務を請け負うだけでなく、結果としてマーケティングへの活用を支援するサービスとなります。
これにより、今まで経験や勘で行っていた経営判断を、商談などの生情報とPOSデータ情報をもとに行えるようになります。
メーカー各社において自社戦略に合わせた高度なデータ活用が可能となるため、今後は増力化及びトップライン成長に資するサービスとして注力していきます。
まとめ
これまで提供してきた基幹業務の効率化に資するサービスに加え、今後はトップラインの増力化やサステナビリティに資するサービスも提供していきます。
当社が得意とするデータを活用し、一般消費財の流通をより効率的・効果的にしていきます。そして、業界と協調・共創することでステージをさらに上げ、高度化した消費財流通を実現したいと考えています。
これらの取り組みは、生活者の快適で豊かな暮らしに貢献するものと考えているため、今後も引き続き注力していきます。
組織変更
ご説明してきた戦略を実現するためには、組織の機動性と柔軟性の向上が必須だと考えています。そこで、2024年4月1日より、組織体制と組織運用の変更を行います。
今までの「2本部・8部署・1室」という体制から「3ユニット・1室」というチーム単位での業務遂行体制に変更することで、柔軟な組織編成を可能にします。
今期を「シンカ」スタートの年とし、データ活用による一般消費財流通の高度化の実現を目指していきます。
企業価値向上に向けた⼈的資本経営への取り組み
企業価値の向上に向けた、人的資本経営への取り組みについてご説明します。当社は「人」こそが企業価値向上を実現するための重要な源泉だと捉えています。そのため、自分自身の視野や視点、視座を自ら高める意識を持った人材が必要です。
同時に「人の成長なくして企業の成長はない」と考えています。そのため現在は、個々が多様な経験によって新たな価値観・知見を得られる制度を検討しています。具体的な施策を4つご紹介します。
1つ目は社内兼業です。就業時間の一部で他部署の業務に従事してもらいます。それにより、違う目線で自分の仕事を見ることができるようになるだけではなく、部門間の連携や組織間の風通しが良くなると考えています。また、今後のキャリアや新しい能力を見つけるきっかけにもなると思っています。
2つ目は副業です。経営者としての視点・視座を身につけるとともに、コスト意識の醸成にも期待しています。
3つ目は在籍型出向です。メーカーや卸売業での実務経験を通じた成長を目指します。併せて、他社からの出向受け入れも検討しています。
4つ目は留学です。実務経験をもとに専門領域を体系的に習得することで、実務に活かせる専門知識の獲得を目指します。視野が広くなるとともに、他業界の考え方にも触れることで刺激を受けたり、ネットワークを形成したりすることに期待しています。
これらの4施策のうち、まずは1つ目の社内兼業を2024年4月から導入予定です。個々の成長を組織力の最大化につなげられるように取り組んでいきます。
配当⽅針と実績
配当方針についてご説明します。当社では、大きく2つの配当方針を掲げています。1つ目は安定的な配当の継続、2つ目は配当性向50パーセント以上の維持です。
2024年7月期の配当金は1株あたり43円とし、20期連続の増配を予定しています。2024年3月18日時点の終値が1,216円のため、配当利回りは3.54パーセントとなります。
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、現状をご報告します。
当社は、売上成長率、営業利益率、配当性向の3つを重要な経営指標と位置づけています。そして、情報インフラ企業として、安定性と収益性を重視した経営の実現に取り組んでいきます。
現在は資本コストや株価を意識した経営の実現に向け、当社の資本コストや資本収益性を把握し、現状分析を行っています。現状の評価・方針・具体的な取り組みについては、計画の策定が完了した時点で、開示方法も含めて決定する予定です。
機関投資家及び個人投資家のみなさまから幅広く投資していただけるように、今後も当社の情報を適宜、適切にお伝えしていきます。また、引き続き当社株式の流動性向上を図り、企業価値の向上に努めます。
私からのご説明は以上です。最後までご清聴いただき、誠にありがとうございました。
質疑応答:海外観光客の業績寄与について
質問者:「個人消費が足踏みされている」という分析がありましたが、一方で海外観光客の流入が顕著に増え、一部のドラッグストアでも業績に一部寄与していると聞きます。そのような状況が、御社の業績につながっている実感はありますか? 傾向を捉えたデータなどがあれば、あわせて教えてください。
坂田:確かにインバウンドは戻ってきています。「コロナ禍前まで戻ってきた」というニュースもあるとおり、インバウンドによる経済効果もほぼコロナ禍前まで戻ってきている認識です。
ただし中身は少し変わってきています。以前はインバウンドで「モノ」が消費されることが多かった一方、最近は「コト」にシフトしてきています。そのため、当社の売上にコロナ禍前と同様のプラスインパクトが出ているかというと、その実感は正直に言ってありません。
具体的な数字はまだ捉えきれていないため、数字での比較はすぐにお答えできませんが、実感としてはコロナ禍前ほどのプラスインパクトは出ていません。
質疑応答:「POSデータクレンジングサービス」の想定外の反響について
質問者:非常に期待していた「POSデータクレンジングサービス」の進捗が少し遅れている中で、想定していたターゲットよりも幅広い層からの反響というプラス材料があったとお話しされていました。どのようなターゲットから、どのような期待の声があがったのかを教えてください。
坂田:当初のターゲットはメーカーでしたが、実は卸売業からも「『POSデータクレンジングサービス』を使いたい」という声をいただいています。卸売業にサービスを提供するのであれば、当然ながらサービスの内容や機能を少し変えなくてはなりません。今は、その部分の調整に若干時間がかかっている状況です。
質問者:いずれにしても、下期には調整を完了させて活動を開始する予定でしょうか?
坂田:はい、その予定でいます。
質疑応答:人的資本経営への具体的な取り組みについて
質問者:坂田社長らしい改革の手が打たれている印象を受けました。人的資本経営で4つの施策を実施されるということですが、はじめに行う社内兼業はどのように運用されるのでしょうか? 例えば、営業の方がイノベーションの仕事に取り組むのか、部長クラスも対象になるのかなど、具体的な運用イメージを教えてください。
また、その他の副業、在籍型出向、留学のスケジュールは、どのように描いているのでしょうか?
坂田:社内兼業は部長などの管理職と一般社員の区別なく実施し、必要であれば兼業してもらうことを想定しています。兼業の幅についても、理想としてはスタッフ部門とライン部門というふうにできるとよいと思ってはいるものの、なかなかそこまで一気に行うことは難しいと思います。
可能な限り今までの仕事と近いところで、社内における上流・下流の仕事を経験してもらうことができれば、兼業する方にとっても関連する仕事の経験を積む良い機会となります。したがって、そのようなところからスタートしていこうと思っています。
質問者:実施後に効果を検証される予定でしょうか?
坂田:社内兼業によって、「どのくらい社内が活性化するか」「風通しが良くなるか」または「他部門のことを理解することで、より協力し合えるようになるのか」などを見て、必要であれば次々に幅を広げていく予定です。一気に実施したい気持ちもありますが、それはなかなか難しいため、段階的に進めていくことを考えています。
残りの3つの施策については、2年以内にはすべて実施したいと思っています。運用や制度の構築に時間がかかるものもあるため、具体的な時期は決定していませんが、残り2年以内には全部を導入したいと思っています。
質疑応答:「ロジスティクスEDI」について
質問者:「ロジスティクスEDI」の進捗を教えてください。
坂田:「ロジスティクスEDI」については、単なるASNデータの使用に限らず、それを使うことによって、運用プロセスも変えてもらわなければなりません。ですので、業界関係者やメーカー、卸売業、物流業の方々との調整に一つひとつ取り組んでいる状況です。
なかなか表立った成果が出てこないように映っているかもしれません。しかし、38期から39期にかけて、物流に関する接続本数は2倍近くまで増えています。これについて、具体的な数字はお伝えできませんが、ユーザー数は着実に増えてきている状況です。
質問者:基本的には、ある程度順調に進んでいるとイメージしてよろしいでしょうか?
坂田:おっしゃるとおりです。
質疑応答:組織編成と人的資本経営により目指す姿について
質問者:組織変更と組織運用の変更、人的資本経営の取り組みについてスライドに記載がありましたが、会社として特に期待されていることはどのような点でしょうか?
また、それらによって、どのような人材を育て、どのように会社を変えていくのでしょうか? 長期的な運用を含めて教えてください。
坂田:私が社員の方に求めるのは、自ら「自分をどんどんと高めたい」と思うことです。そのような社員の方が1人でも2人でも3人でも増えることは、本人にとって非常に大きなプラスになり、会社にとっても大きなプラスになると思っています。
そのために、先ほどご説明したように、会社としては具体的に4つの施策を考えています。
今後、制度化し、導入していきますが、これらをぜひとも活用していただき、「自分がより大きくなるように高みを目指す」というかたちで回せる会社になると非常に良いと思っています。
その結果、会社は大きくなり、社会や株主に対してもしっかりと期待どおりの成果を出せる会社に変わっていくことができると思います。
質問者:ロードマップ的には、半年、1年後にある程度の成果を期待していますか?
坂田:短期間ではなかなか難しいと思います。人はすぐには変われないため、もう少し時間をいただけるとありがたいと思います。
質疑応答:「基幹EDI」の横展開と深掘りの手法について
質問者:今期、売上が未達となった外部要因として、個人消費の数量が伸びないことが挙げられていました。これについては御社云々というより、必然的なものがあると思います。
「基幹EDI」の横展開では「どのようなところへ展開するか」よりも、接続しているメーカーが約860社ありますが、それを「増やしていこう」と考えることも当然あるかと思います。
それからもう1つ、「基幹EDI」の深掘りについては、今まであまり付き合いのなかった経理部門や物流部門への御社からの働きかけが行われていますが、こちらは組織変更によってセールス&サービス推進ユニットが担当されると思います。これまでの手法から変わっていくことはあるのかどうかを教えてください。
坂田:「基幹EDI」の横展開では、深掘りを含めてユーザーを増やしていく、そして、個数を増やしていくための取り組みについては確実に実施してきました。具体的な数字等はお伝えできませんが、NTTのINSネットサービスの終了に伴い、2022年12月に休眠状態だったユーザーの解除があり、一時、接続数・取引先数が減りました。
しかしその後、1年半ぐらい、いろいろな営業活動を行うことによって、それをカバーできるほど、現在はユーザー数が増えています。
業界の横展開について、「どの業界が対象なのか」ということまでは本日お伝えできませんが、当然、同じ業界の中でも受発注以外のデータ種も接続できるようになってきています。ですので、今後も徐々にユーザー数を増やし、深掘りする展開は可能だといえます。
そして、そのようなところは今回の組織変更によって今後も着実に増やしていくことができると思っています。今までは販売戦略と、「どこへどのように攻めるか」というマーケティング戦略を作ることを、同じセクションの中で役割を持たせていました。
しかし、今回の組織変更によって、その役割をセクションごとに明確にしました。マーケティングを考えるチームと、それに基づいてきちんと売るチームの2つに分けることで、「どの仕様に対してどのような売り方をしていくか」を考え、そのとおりに動いていく体制を構築しています。これによって、今まで以上に販売力をつけていきたいと思っています。
質問者:「新ユニットであるセールス&サービス推進の人材を厚くする」という意味ではないということですか?
坂田:そのような意味ではありません。
質問者:効率的に行うということでしょうか?
坂田:おっしゃるとおりです。
質疑応答:昨今のインフレについて
質問者:坂田社長が就任され、前回の説明会の時には「想定外にインフレが進んでいる」というお話があったかと思います。事業環境について、インフレによる消費者の買い控えやまとめ買いなどの想定で、今年、来年の方向転換としてアップデートされているところがあれば、教えてください。
坂田:当社を取り巻く環境として、私が社長に就任した時よりもインフレが長引いていると思います。正直にいって、ここまで長引くとは思っていませんでした。もっと早く、インフレもある程度収束し、各企業の賃金、ベースアップを含めて、いろいろなことが出てくることによって、買い控えや生活防衛意識の高まりが緩和されるのではないかと思っていました。
先ほどご説明したように、現時点ではインフレが緩和されるのは早くても夏頃になる予想です。したがって、夏までは今の状況が続いてしまうだろうと考えています。今年の夏は、当社にとっては丸々39期となるため、39期中は厳しい環境の中でどのように取り組んでいくかが重要になると思います。
質疑応答:新規事業の展開について
質問者:「ロジスティクスEDI」や「POSデータクレンジングサービス」について、今後、準備されていることや新たに考えている事業があるかと思います。お話しできる範囲で、いつ頃に、どのようなものがこれから出てくると考えているのかを教えてください。
坂田:新規事業についてお話ししたいところですが、現時点ではお伝えできません。ご了解ください。
ただ、今までもこのような場などでお話ししてきたように、まったく新しい、飛び地の新規事業を考えるつもりはありません。当社の強み、または近い業界やマーケットで考え、提供するサービスも、当社の強みを活かせる分野でどんどんと展開していきます。
先ほども、当社が今まであまり折衝してこなかった部門にコンタクトを取り、利用していないデータを利用していただく施策のお話をしました。これは単に「このデータがあるから使ってください」「このデータを使うといいですね」とお伝えするだけでは、なかなかドライブがかからないと思っています。
今、提供しているデータにプラスのサービスをつけることによって、そのデータを使うとさらに良くなるように、今、当社が持っているデータを補完する新しいサービスを考えていきたいと思っています。本日お話しできる範囲はここまでとなります。
質疑応答:「シンカ」に向けた施策のセンターピンについて
質問者:現在、いろいろなかたちで「シンカ」に取り組まれているかと思います。その中で、坂田社長が「ここがセンターピンだ」と考えているところはどのあたりなのかを教えてください。
坂田:私は欲張りな性格でなかなか1つに絞れず、いろいろなことを行いたくなってしまうため、回答が難しいのですが、基本はやはり人だと思っています。やはり社員がキーであり、社員の成長なくして企業の成長は実現できません。そのため、「どのように社員の方が持っている力を、自ら最大限発揮してもらえるように後押ししていくか」を考えたいと思っています。
これも私が就任した時にお話ししたと思いますが、当社の社員は非常にまじめで、行うべきことが明確になれば、それを確実に着々と行っていきます。ただ、良い意味で「やんちゃ」ではないため、大きく飛躍した発想がなかなかできません。これについては、そのような発想を行える体質や風土に少しずつ変えていく予定です。
一気に変わることはできないと思いますが、少しずつ変えていくことで、結果的には会社も「シンカ」することになります。ですので、社員にはぜひ前に出る勇気を持ってもらいたいと思っています。
1歩前に出ることで新しい世界を見ることができ、自分の発想や考え方も変わってきます。そのようなところからいろいろと発想することによって、会社全体も活性化してくると思っているため、「どこか1つセンターピンを」と問われれば、「人」が答えになります。
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