サムティ Research Memo(2):成長と安定のバランスの取れた事業構成(1)

配信元:フィスコ
投稿:2024/03/18 13:22
*13:22JST サムティ Research Memo(2):成長と安定のバランスの取れた事業構成(1) ■会社概要

1. 事業概要
サムティ<3244>の事業セグメントは、1) 不動産開発事業、2) 不動産ソリューション事業、3) 海外事業、4) 不動産賃貸事業、5) ホテル賃貸・運営事業、6) 不動産管理事業に分類される。同社では、さらに1) ~3) をキャピタルゲインビジネス、4) ~6) をインカムゲインビジネスにグルーピングしたうえで、「資産保有型」ビジネスへの転換により、安定収益であるインカムゲインの拡大を目指している。

また、2015年3月にはSRRを設立し、同年6月に東証J-REIT市場に上場させた。同社グループは、SRRへのスポンサーとしての役割(物件供給)とアセットマネジメント業務などを担っている。SRRの現在の資産規模は180物件で1,639億円と着実に成長を続けている(2023年11月末時点)。また、2021年11月にはホテル特化型REITも設立しており、上場に向けた準備を進めている。

全国の拠点は、大阪本社/大阪営業部(大阪市淀川区)※1のほか、東京本社/東京営業部(東京都千代田区)※2、札幌支店(札幌市中央区)、名古屋支店(名古屋市中村区)、広島支店(広島市中区)、福岡支店(福岡市博多区)にあり、地方大都市圏を中心として全国に展開する体制が確立されている。

※1 神戸営業所を有する。
※2 東京営業部の配下に東関東オフィス、北関東オフィスがあり、首都圏は4拠点体制(東京営業部、東関東オフィス、北関東オフィス、横浜営業所)となっている。


同社グループは、同社及び連結子会社26社、持分法適用関連会社1社※非連結子会社1社(サムティ・ジャパンホテル投資法人)によって構成されるが、土地・建物及び信託受益権を取得・保有・開発するスキームに関連して設立または出資しているSPCや一般社団法人が18社含まれている(2023年11月期末時点)。主な連結子会社には、サムティアセットマネジメント(株)(アセットマネジメントなど)、サムティホテルマネジメント(株)(ホテル運営など)、サムティプロパティマネジメント(株)(物件管理など)、SAMTY ASIA INVESTMENTS PTE.LTD.(シンガポール子会社)などがある。なお、2024年1月24日付けでグループガバナンス強化、迅速な意思決定による機動力の向上、グループ経営の効率化、次世代経営者の育成を目的として、持ち株会社体制への移行を決議した(効力発生日は2024年6月3日)。

※ホテルの再生・開発に強みを持つデベロッパーであるウェルス・マネジメント<3772>(以下、WM)。2021年5月25日付けで、ホテル開発事業などにおける協業などを目的とした資本業務提携契約を締結し、持分法適用関連会社とした。


2. 各事業の概要
(1) 不動産開発事業
1) 自社ブランド「S-RESIDENCE」(賃貸マンション)のほか、2) ホテル・オフィスの企画開発・販売(以下、ホテルその他)を手掛けている。

主軸となる1) 「S-RESIDENCE」は、各エリアのニーズを捉えたコンセプト・意匠により、解放感溢れるエントランスや内廊下などを採用し、高いデザイン性や居住性を有する主に単身者・DINKsをターゲットとするマンションである。SRRに対して優先交渉権を付与しており、基本的にはSRRへの物件供給を中心に据えている。外資系ファンドなどを中心とする取得旺盛なマーケットトレンドを踏まえ、開発後の保有を推進するコンセプトを意識しつつも、個別不動産の特性や市場動向を勘案しながら、機動的かつ柔軟に事業を推進している。

2) 「ホテルその他」は、自社ブランドホテル「S-PERIA」シリーズの企画開発や外資系ホテルチェーンとの共同事業を通じて、上場準備中であるホテルREITへの物件供給を中心に据えるとともに、「ホテル賃貸・運営事業」の拡大にも寄与している。

(2) 不動産ソリューション事業
収益不動産などの取得・再生・販売を行っている。取得した収益不動産に対して、リーシング(賃貸付け)やバリューアップノウハウの活用、設備改修によるグレードアップなどにより、稼働率の向上や保有期間中の収益確保につなげるとともに、最終的には投資物件としてSRRや不動産ファンド、事業会社などへの販売による売却益の獲得を目的としている。また、SRR向けのウェアハウジング※も行っている。なお、保有期間中の賃料収入は「不動産賃貸事業」に計上される。

※REITに組み入れるための物件取得。


(3) 海外事業
海外における投資及び分譲住宅事業を行っている。2016年にファンドを通じてホーチミンの不動産会社(開発・賃貸事業)へ出資したほか、2020年からはベトナム最大手の不動産デベロッパーであるVINHOMES JOINT STOCK COMPANY(以下、VHM)※1と共同で、ハノイ市西部での分譲住宅事業「THE SAKURAプロジェクト」※2を推進するほか、第2弾となるホーチミン市での分譲住宅事業「THE STAR プロジェクト」(詳細は後述)も始動した。

※1 VHMは、2008年に創業したベトナム最大の複合企業Vingroup傘下の中核企業であり、ベトナム国内の不動産会社において、売上、利益、時価総額トップを誇っている。
※2 VinHomes Smart Cityの全58棟中4棟(総戸数3,620戸)の分譲住宅事業に参画したもの。


(4) 不動産賃貸事業
マンション、オフィスビル、商業施設の賃貸を行っている。関西圏及び首都圏のほか、福岡、札幌、名古屋などの政令指定都市を中心とした全国各地に152棟(たな卸資産、固定資産)を有するとともに、マンション、オフィスビル、商業施設など、多様な資産に分散投資を行っている。特に、景気変動の影響を受けにくい賃貸マンションの比率が高く、リーシングノウハウを生かすことで年平均95%前後の稼働率で安定推移している。保有不動産の規模はトータルで約1,486億円(簿価)に上る(2023年11月期末時点)。

(5) ホテル賃貸・運営事業
自社開発ホテル12棟を含む、合計21棟の賃貸・運営などを行っている(2023年11月期末時点)。上場を準備しているホテルREITの資産拡大とともに、収益の積み上げを目指している。

(6) 不動産管理事業
マンション、オフィスビル、商業施設の管理を行っている。具体的には、サムティアセットマネジメント株式会社がアセットマネジャーとして不動産の運用などを受託し、運用報酬(アセットマネジメント(AM)フィー)などを獲得するほか、子会社のサムティプロパティマネジメントによって、マンションの管理及び建設・リフォームなども行っている。運用資産残高(AUM)は3,827億円(2023年1月末時点)に上る※。また、管理受託戸数はSRR向けを中心に30,646戸(2023年11月期末時点)と順調に増加している。

※SRR向けとホテルREIT組成に伴う私募向けの合計値。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)

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配信元: フィスコ

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