*13:08JST プロパスト Research Memo(8):好調な第2四半期決算を踏まえ2024年5月期通期業績予想を大幅修正(2)
■今後の見通し
2. 2025年5月期以降の業績見通し
プロパスト<3236>が属する不動産業界では、マンション価格の上昇に伴う契約率低下が懸念されるものの、低水準で推移する住宅ローン金利が下支え要因として期待される。国土交通省「建築着工統計調査報告」によると、業界の先行指標となる新設住宅着工戸数は、2020年にはコロナ禍の影響を受けて落ち込んだ後に、2021年から回復したものの、コロナ禍以前の水準には達していない。コロナ禍を避けて郊外の不動産を選択する動きも一部には見られたが、テレワークなど在宅時間の増加が住環境の見直しにつながるなかで、引き続き生活・社会インフラが整って利便性の高い都心部の魅力は大きく、コロナ禍の収束後は都心部の需要が郊外に比べて強いという二極化の動きに回帰すると見られる。
こうした経済環境下において、同社では強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の取得を進める。当面は分譲マンション価格高騰の影響から同社の取扱件数は少ないと予想されるが、分譲開発事業におけるクレーム処理などに関するノウハウは賃貸開発事業やバリューアップ事業にも活用できることから、引き続き重要な事業として推進する。今後、借入金利が上昇に転じる状況となった場合には、分譲マンションの購入需要にも影響が出ることも懸念されるが、一方で賃貸開発事業に投資する裕福な個人投資家は元々自己資金の割合が高いことから、同社業績への影響は限定的であると見られる。建築費の上昇については、建築費を固定して工事を開始するなど慎重に対応しており、コストや建築期間等を抑制した賃貸開発物件に取り組むことで事業拡大を図る。さらに、割安な収益不動産を精査して購入し、効率的に改修工事を行うことで既存建物の付加価値を高めたバリューアップ物件の売却を併せて展開する方針である。賃貸開発事業やバリューアップ事業では投資ファンドが売却先に加わるなど購買層が広がっており、同社では今後の業績に貢献するように、駅近の好物件を中心に仕入れる計画だ。
現在のところ不動産業界各社の業績は総じて好調である。大手不動産会社では、新築マンションの区分での販売においては富裕層向けの200百万円以上の高額物件を取り扱っているが、同社の新築マンションは、販売価格50~100百万円の物件が中心で大手とは住み分けをしており、今後予想される事業環境悪化の影響も小さいと見られる。不動産業界では、長期的には仕入力や事業展開の差によって、好調な会社と不調な会社の二極化が進行すると予想される。同社では、分譲開発物件以外の賃貸開発物件やバリューアップ物件においても今後も事業エリアを限定することで、高収益の物件を確保する計画だ。都心部で駅から徒歩5~10分程度の好立地物件にターゲットを絞り、買い付けの意思決定を迅速に行うことで他社に先駆けて好物件の仕入が可能になる。同社のこうした物件の仕入力に、定評のある企画力・デザイン力を加えることで、3事業がうまく補完し合いながら、2025年5月期以降も堅調な業績を維持できると弊社では見ている。
同社では、対外的に中期経営計画を発表していない。同社の事業規模では業績が振れる可能性が大きいため、計画を発表すると投資家をミスリードする可能性があるとの経営判断によるものである。また、引き続きウクライナ情勢など外部環境の不透明感が強いなか、同社としては計画にとらわれず柔軟に経営したいとの考えもあるようだ。ただ同社の経営方針を明確化し、投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義であると弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HH>
2. 2025年5月期以降の業績見通し
プロパスト<3236>が属する不動産業界では、マンション価格の上昇に伴う契約率低下が懸念されるものの、低水準で推移する住宅ローン金利が下支え要因として期待される。国土交通省「建築着工統計調査報告」によると、業界の先行指標となる新設住宅着工戸数は、2020年にはコロナ禍の影響を受けて落ち込んだ後に、2021年から回復したものの、コロナ禍以前の水準には達していない。コロナ禍を避けて郊外の不動産を選択する動きも一部には見られたが、テレワークなど在宅時間の増加が住環境の見直しにつながるなかで、引き続き生活・社会インフラが整って利便性の高い都心部の魅力は大きく、コロナ禍の収束後は都心部の需要が郊外に比べて強いという二極化の動きに回帰すると見られる。
こうした経済環境下において、同社では強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる分譲開発物件の取得を進める。当面は分譲マンション価格高騰の影響から同社の取扱件数は少ないと予想されるが、分譲開発事業におけるクレーム処理などに関するノウハウは賃貸開発事業やバリューアップ事業にも活用できることから、引き続き重要な事業として推進する。今後、借入金利が上昇に転じる状況となった場合には、分譲マンションの購入需要にも影響が出ることも懸念されるが、一方で賃貸開発事業に投資する裕福な個人投資家は元々自己資金の割合が高いことから、同社業績への影響は限定的であると見られる。建築費の上昇については、建築費を固定して工事を開始するなど慎重に対応しており、コストや建築期間等を抑制した賃貸開発物件に取り組むことで事業拡大を図る。さらに、割安な収益不動産を精査して購入し、効率的に改修工事を行うことで既存建物の付加価値を高めたバリューアップ物件の売却を併せて展開する方針である。賃貸開発事業やバリューアップ事業では投資ファンドが売却先に加わるなど購買層が広がっており、同社では今後の業績に貢献するように、駅近の好物件を中心に仕入れる計画だ。
現在のところ不動産業界各社の業績は総じて好調である。大手不動産会社では、新築マンションの区分での販売においては富裕層向けの200百万円以上の高額物件を取り扱っているが、同社の新築マンションは、販売価格50~100百万円の物件が中心で大手とは住み分けをしており、今後予想される事業環境悪化の影響も小さいと見られる。不動産業界では、長期的には仕入力や事業展開の差によって、好調な会社と不調な会社の二極化が進行すると予想される。同社では、分譲開発物件以外の賃貸開発物件やバリューアップ物件においても今後も事業エリアを限定することで、高収益の物件を確保する計画だ。都心部で駅から徒歩5~10分程度の好立地物件にターゲットを絞り、買い付けの意思決定を迅速に行うことで他社に先駆けて好物件の仕入が可能になる。同社のこうした物件の仕入力に、定評のある企画力・デザイン力を加えることで、3事業がうまく補完し合いながら、2025年5月期以降も堅調な業績を維持できると弊社では見ている。
同社では、対外的に中期経営計画を発表していない。同社の事業規模では業績が振れる可能性が大きいため、計画を発表すると投資家をミスリードする可能性があるとの経営判断によるものである。また、引き続きウクライナ情勢など外部環境の不透明感が強いなか、同社としては計画にとらわれず柔軟に経営したいとの考えもあるようだ。ただ同社の経営方針を明確化し、投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義であると弊社は考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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