*13:07JST プロパスト Research Memo(7):好調な第2四半期決算を踏まえ2024年5月期通期業績予想を大幅修正(1)
■今後の見通し
1. 2024年5月期業績見通し
日本経済は、当面はリバウンド需要がけん引する形で、緩やかな回復が続くことが見込まれる。しかし、円安や資源価格の上昇に伴うエネルギー価格や食料品の価格上昇、世界的な金融引き締めによる海外景気の下振れが景気の下押し圧力となる可能性がある。プロパスト<3236>が属する不動産業界に関しては、地価及び建築費がともに上昇しており、新築マンションの販売価格は一段と上昇する可能性や利益率を押し下げる可能性がある。物価の上昇や海外の金融当局による利上げの動き等から金利上昇に伴う需要低下懸念はあるものの、都心部の駅に近い魅力的な物件は供給が限られることや、販売価格の先高感などから、需要は底堅く推移することが見込まれる。
このような経済環境下において、同社ではこれまでと同様に首都圏エリアにおける駅近等の利便性の高いレジデンス物件を中心に仕入を行うが、物件取得に関しては立地や価格に関して売却想定価格を意識しつつ、より厳選したうえでの取得が必要であると考えている。分譲開発事業については、単身層やパワーカップルを主ターゲットとして捉え、同社の強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる物件の企画・販売を進める方針だ。賃貸開発事業については、国内外の富裕者層や投資ファンドを主たる顧客ターゲットとして、中規模かつ中低層の賃貸マンションを建設し、資産価値の高い新築物件を提供することで事業拡大を図る。バリューアップ事業においても、国内外の富裕者層を主たる顧客ターゲットとして、割安な収益不動産を精査して購入し、外観や設備が経年劣化した不動産に対して効率的に改修を行うことで、既存の建物の付加価値を高めたうえで売却する考えだ。
2024年5月期の通期業績予想ついては、好調であった第2四半期決算を踏まえて大きく修正し、新たに売上高23,274百万円(前期比16.3%増)、営業利益2,700百万円(同5.6%増)、経常利益2,176百万円(同3.7%増)、当期純利益1,531百万円(同2.0%減)を計画している。
売上高については当初計画比4.2%減の減額修正となった。これは、賃貸開発事業では地価や建築費上昇に伴い当初計画より販売棟数が減少するものの、大型プロジェクトにおいて前倒しでの売却が見込まれており、販売棟数の減少を金額面から一部補完できる見込みである一方、バリューアップ事業では、地価や建築費上昇に伴う販売棟数の減少が大きく、大型プロジェクトの売却も見込まれていないため、売上高が減少すると見られるためだ。分譲開発事業については、当初計画どおり第2四半期決算までに計上した新規物件販売の売上貢献を織り込んでいるが、第3四半期以降に売上計上する案件はない。引き続き、無理をせず厳選して仕入れる方針だ。
一方、当初計画では大幅な減益を予想していたが、営業利益を当初計画比51.8%増、経常利益を同76.8%増、当期純利益を同85.2%増と大幅に増額修正をした。営業利益の増額修正については、賃貸開発事業で大型プロジェクトを中心に当初計画以上の販売価格での物件売却が進み、収益性が向上する見込みであるためだ。ただ、バリューアップ事業では、当初計画以上の収益性を確保する見込みであるものの、販売棟数の減少の影響が大きく営業利益の減少を見込んでいる。また、分譲開発事業については、当初計画どおり第2四半期決算までに計上した新規物件販売の利益貢献を織り込んでいる。経常利益及び当期純利益の増額修正についても、営業利益と同様の理由によるものだ。なお、当期純利益の前期比減少の予想は、前期に高水準の利益を計上した反動と考えられる。
同社では、都心部のなかでも需要が見込める物件を厳選して購入するとともに、現在保有している物件の売却活動を積極的に推進することで増収を図る。ただ、地価及び建築費の上昇等の影響を考慮して、引き続き保守的に利益を予想している。同社では、上期には今後の市況の悪化を予想して戦略的に保有物件の売却を進めたことで、利益率がやや低下している。これは、事業環境や市況に応じて最適のタイミングで物件を厳選して仕入れ、売却するという同社の柔軟な経営戦略に基づくものだ。そのため、下期には物件売却の減少に伴い売上の減少を見込むが、一方で固定費や販管費がかかることから、営業損失を見込んでいる。ただ、通期では小幅の営業増益を確保する見通しであり、業績が極めて好調だった2022年5月期及び2023年5月期実績を上回る利益水準の達成を計画している。
事業別には、分譲開発事業については、2023年9月竣工のガレリア ドゥエル神田岩本町を既に完売しており、2024年5月期第2四半期累計決算で計上済である。また、収益の柱である賃貸開発事業と前期まで好調だったバリューアップ事業では、市況悪化の可能性を織り込んで利益率の低下を見込んでいる。ただ、同社では、従来より慎重な業績予想を発表することから、修正予想を達成する可能性が高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<HH>
1. 2024年5月期業績見通し
日本経済は、当面はリバウンド需要がけん引する形で、緩やかな回復が続くことが見込まれる。しかし、円安や資源価格の上昇に伴うエネルギー価格や食料品の価格上昇、世界的な金融引き締めによる海外景気の下振れが景気の下押し圧力となる可能性がある。プロパスト<3236>が属する不動産業界に関しては、地価及び建築費がともに上昇しており、新築マンションの販売価格は一段と上昇する可能性や利益率を押し下げる可能性がある。物価の上昇や海外の金融当局による利上げの動き等から金利上昇に伴う需要低下懸念はあるものの、都心部の駅に近い魅力的な物件は供給が限られることや、販売価格の先高感などから、需要は底堅く推移することが見込まれる。
このような経済環境下において、同社ではこれまでと同様に首都圏エリアにおける駅近等の利便性の高いレジデンス物件を中心に仕入を行うが、物件取得に関しては立地や価格に関して売却想定価格を意識しつつ、より厳選したうえでの取得が必要であると考えている。分譲開発事業については、単身層やパワーカップルを主ターゲットとして捉え、同社の強みである創造デザイン力やプレゼンデザイン力を生かせる物件の企画・販売を進める方針だ。賃貸開発事業については、国内外の富裕者層や投資ファンドを主たる顧客ターゲットとして、中規模かつ中低層の賃貸マンションを建設し、資産価値の高い新築物件を提供することで事業拡大を図る。バリューアップ事業においても、国内外の富裕者層を主たる顧客ターゲットとして、割安な収益不動産を精査して購入し、外観や設備が経年劣化した不動産に対して効率的に改修を行うことで、既存の建物の付加価値を高めたうえで売却する考えだ。
2024年5月期の通期業績予想ついては、好調であった第2四半期決算を踏まえて大きく修正し、新たに売上高23,274百万円(前期比16.3%増)、営業利益2,700百万円(同5.6%増)、経常利益2,176百万円(同3.7%増)、当期純利益1,531百万円(同2.0%減)を計画している。
売上高については当初計画比4.2%減の減額修正となった。これは、賃貸開発事業では地価や建築費上昇に伴い当初計画より販売棟数が減少するものの、大型プロジェクトにおいて前倒しでの売却が見込まれており、販売棟数の減少を金額面から一部補完できる見込みである一方、バリューアップ事業では、地価や建築費上昇に伴う販売棟数の減少が大きく、大型プロジェクトの売却も見込まれていないため、売上高が減少すると見られるためだ。分譲開発事業については、当初計画どおり第2四半期決算までに計上した新規物件販売の売上貢献を織り込んでいるが、第3四半期以降に売上計上する案件はない。引き続き、無理をせず厳選して仕入れる方針だ。
一方、当初計画では大幅な減益を予想していたが、営業利益を当初計画比51.8%増、経常利益を同76.8%増、当期純利益を同85.2%増と大幅に増額修正をした。営業利益の増額修正については、賃貸開発事業で大型プロジェクトを中心に当初計画以上の販売価格での物件売却が進み、収益性が向上する見込みであるためだ。ただ、バリューアップ事業では、当初計画以上の収益性を確保する見込みであるものの、販売棟数の減少の影響が大きく営業利益の減少を見込んでいる。また、分譲開発事業については、当初計画どおり第2四半期決算までに計上した新規物件販売の利益貢献を織り込んでいる。経常利益及び当期純利益の増額修正についても、営業利益と同様の理由によるものだ。なお、当期純利益の前期比減少の予想は、前期に高水準の利益を計上した反動と考えられる。
同社では、都心部のなかでも需要が見込める物件を厳選して購入するとともに、現在保有している物件の売却活動を積極的に推進することで増収を図る。ただ、地価及び建築費の上昇等の影響を考慮して、引き続き保守的に利益を予想している。同社では、上期には今後の市況の悪化を予想して戦略的に保有物件の売却を進めたことで、利益率がやや低下している。これは、事業環境や市況に応じて最適のタイミングで物件を厳選して仕入れ、売却するという同社の柔軟な経営戦略に基づくものだ。そのため、下期には物件売却の減少に伴い売上の減少を見込むが、一方で固定費や販管費がかかることから、営業損失を見込んでいる。ただ、通期では小幅の営業増益を確保する見通しであり、業績が極めて好調だった2022年5月期及び2023年5月期実績を上回る利益水準の達成を計画している。
事業別には、分譲開発事業については、2023年9月竣工のガレリア ドゥエル神田岩本町を既に完売しており、2024年5月期第2四半期累計決算で計上済である。また、収益の柱である賃貸開発事業と前期まで好調だったバリューアップ事業では、市況悪化の可能性を織り込んで利益率の低下を見込んでいる。ただ、同社では、従来より慎重な業績予想を発表することから、修正予想を達成する可能性が高いと弊社では見ている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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