リスクテイクの観点では“上方向”に分有り…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/12/12 11:05

◆ “円売り(戻し)”がさらに進行… - “146円半ば”


先週末の“ドル買い(戻し)”に続き、週明けの昨日は“円売り(戻し)”が進行しました。

 『マイナス金利の解除、日銀は今月急ぐ必要はほとんどないという認識』

日銀関係者発言とされるコメントが一部メディアで報じられたことで、先週7日の「植田日銀総裁発言(いわゆるチャレンジング発言)」後に台頭した「日銀マイナス金利解除」への思惑が萎んだからです。
また昨日実施された「米3年国債入札(500億ドル)」も不調に終わったことで、米10年債利回りは“ほぼ1週間ぶりの水準(4.29%)”へと押し上げられたことも後押しになったと見られます。
こうしてドル円には“巻き戻し圧力”がさらにかかる格好となり、NYタイム中盤には“146.580円”へと上値を伸ばしています。

◆ ただ「チャレンジング発言」前の水準となるだけに…


もっともこの“146円半ば”という水準は、前記「チャレンジング発言」が伝わる前の水準でもあります。
このためその後に台頭した「日銀マイナス金利解除」への思惑は、概ね“巻き戻された”と見るのが妥当ということになります。
こうしてその後は“利益確定売り”が優勢となり、じりじりと上げ幅を削って昨日の取引を終えています。

◆ あくまで“結果次第”だが…!? - 米CPI


そうなるとマーケットの関心は「再び米国に向かう」と見るのが自然ということになりますが、明日の「FOMC」に先駆けて、本日は「米CPI」が予定されています。
事前予想は“前月比+0.0%/前年比+3.1%(コア+0.3%/+4.0%)”ですが、住居費低下等の影響にてインフレ鈍化が鮮明ともなれば、“ドル売り”が改めて意識されてもおかしくないところです。
ただ短期金融市場では“織り込み過ぎ”が意識されている中、どこまで進行することができるか…?

逆に“強め”ともなれば、“ドル買い(戻し)”は加速する可能性は否めないところです。
あくまで“結果次第”であり、“決め打ちは禁物”でもありますが、リスクテイクの観点からはやはり“上方向”に分があると見たいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

148.074(日足・一目均衡表先行スパン下限、20日移動平均線)
147.966(11/13~12/7の61.8%戻し、大台)
147.823(11/22~12/7の76.4%戻し)
147.694(20週移動平均線、ピボット2ndレジスタンス)
147.496(12/6高値、100日移動平均線)
上値1:147.294(12/7高値)
上値1:147.000(大台)
上値1:146.909(ピボット1stレジスタンス)
上値1:146.750(11/13~12/7の50%戻し、日足・一目均衡表基準線、週足・一目均衡表転換線)
上値1:146.580(12/11高値、11/22~12/7の61.8%戻し)
前営業日終値:146.180(-1σ)
下値1:146.000(大台)
下値2:145.670(昨日の日銀発言前の高値(短期のネックライン))
下値3:145.403(12/7~12/11の23.6%押し)
下値4:145.121(ピボット1stサポート)
下値5:145.056(日足・一目均衡表転換線、大台)
144.792(12/11安値)
144.675(12/7~12/11の38.2%押し)
144.573(週足・一目均衡表基準線)
144.307(-2σ)
144.087(12/7~12/11の50%押し、ピボット2ndサポート、大台)

《10:40》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想