[資源・新興国通貨11/6~10のポイント&注目通貨] 豪中銀は利上げするか!?

著者:八代和也
投稿:2023/11/06 12:20

今週のポイント

RBA(豪中銀)の政策会合が7日にあります。豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルはこの結果に反応しそうです。RBA会合については、市場では0.25%の利上げが行われるとの見方が有力。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、市場が織り込む確率は、利上げが約6割、据え置きが約4割です(日本時間6日10:10時点)。

BOM(メキシコ中銀)は9日に政策会合を開きます。BOMは9月まで4会合連続で政策金利を11.25%に据え置きました。メキシコの9月CPI(消費者物価指数)は前年比4.45%と、BOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き上回ったものの、上昇率は8月の4.64%から鈍化しました。政策金利は今回も据え置かれそうです。

BOMの次の一手は利下げになると市場は予想しています。BOMの声明で金融政策スタンスの変化が示唆されるかどうかにも注目です。前回9月の会合時の声明では、「政策金利は現在の水準に長期間維持する必要がある」との見方が示されました。声明が市場の利下げ観測を後退させるような内容になれば、メキシコペソが堅調に推移しそうです。

米ドル/カナダドルや豪ドル/米ドル、NZドル/米ドルは、米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向に影響を受けそうです。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ打ち止め観測が高まっていることから、米長期金利が低下しました。米長期金利の低下が続く場合、米ドルが全般的に軟調に推移しそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07500NZドル~1.09500NZドル>

今週の豪ドル/ NZドルは、7日のRBA(豪中銀)政策会合の結果に影響を受けそうです。

RBA議事録やブロックRBA総裁の発言、豪州の7-9月期CPI(消費者物価指数)の結果を受けて、市場では7日の会合で0.25%の利上げが行われるとの見方が有力です。10月の会合の議事録では、「インフレ率の目標への回帰が現在の(RBAの)予想よりも遅れることに対する理事会の許容度は低い」が追加されました。また、ブロック総裁は10月24日の講演で「インフレ見通しに大幅な上方修正があれば、追加利上げを躊躇(ちゅうちょ)しない」と述べました。豪州のCPIは前年比5.4%、トリム平均値は同5.2%と、いずれも市場予想(5.3%、5.0%)を上回りました。

7日のRBA会合における注目点は、利上げが行われるかどうかになりそう。利上げと政策金利据え置きのいずれの結果でも、豪ドル/NZドルが反応すると考えられます。利上げが行われた場合、豪ドル/NZドルは1.09351NZドル(11/2高値)超えを試す可能性があります。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.39000カナダドル>

米ドル/カナダドルは11月1日に一時1.38942カナダドルへと上昇し、22年10月以来、およそ1年ぶりの高値をつけました。米国の長期金利(10年物国債利回り)の高止まりや軟調な原油価格、BOC(カナダ中銀)の利上げサイクルは終了したとの観測が、米ドル/カナダドル上昇の主な要因となりました。

カナダの10月雇用統計(11/3に発表)は、総じて弱い内容でした。失業率は5.7%と、市場予想(5.6%)以上に前回9月の5.5%から悪化し、22年1月以来の高い水準でした。雇用者数は前月比1.75万人増と市場予想(2.25万人増)を下回ったうえ、雇用者数の内訳をみると、フルタイム雇用者数は前月比マイナス0.33万人でした(雇用増はパートタイムが中心)。また、正社員の平均賃金の上昇率は5.0%と、前回の5.3%から鈍化しました。カナダの雇用統計を受けて、市場ではBOCの利上げサイクル終了観測が一段と高まりました。このことはカナダドルにとってマイナスであり、米ドル/カナダドルの上昇要因と考えられます。

一方で、米国の長期金利は3日に一時4.48%へと低下し、9月下旬以来の低い水準をつけました。米長期金利の低下は米ドルにとってマイナスと考えられます。米長期金利の低下が続く場合にはそのことが市場で強く意識されて、米ドル/カナダドルは軟調に推移する可能性があります。米ドル/カナダドルは、200日移動平均線(6日時点で1.34902カナダドル)が下値メドです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想