サイバーコム Research Memo(9):「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗(1)

配信元:フィスコ
投稿:2023/10/17 12:09
*12:09JST サイバーコム Research Memo(9):「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」は順調に進捗(1) ■今後の見通し

2. 中期計画
(1) 中期計画の進捗状況
サイバーコム<3852>は、3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023~増収増益の継続~」を2021年12月期からスタートしている。基本方針として、1) 満足度の追求、2) サービス提供型ビジネスへの転換、3) 戦略的投資による拡大(事業拡大投資、人財投資、システム投資)の3点に取り組むことで持続的な収益成長を目指している。また、サステナブルな社会の実現や働き方改革への取り組みが求められるなかで環境経営方針を策定し、「『環境』と『暮らし』をICTで支える」をテーマに、事業活動を通じて様々な社会課題の解決に貢献している。

外部環境としては、新型コロナウイルス感染症拡大を契機としてテレワークが定着するなどワークスタイルの変革が起こるとともに情報セキュリティ対策の重要性が高まるなか、DXをテーマとした企業のIT投資拡大が続いている。また、5Gの商用化やAI、RPA(Robotic Process Automation)、IoT、AR/VR、ブロックチェーン技術の実用化によって様々な市場も立ち上がっている。こうした状況化、ソフトウェア開発に対する需要も旺盛で同社にとっては好環境にあると言える。

このような環境の下、同社は毎期計画を上回る業績を達成しており、最終年度となる2023年12月期も当初計画(売上高16,100百万円、営業利益970百万円、営業利益率6.0%)を売上高で9.3%、営業利益で23.7%、営業利益率で0.8ポイント上回る見通しだ。3年間の年平均成長率も当初計画(売上高5.6%、営業利益5.5%)を上回り、売上高で8.8%、営業利益で13.2%を見込んでいる。足元の受注状況は堅調に推移しているもようで、計画を達成する可能性は十分にあると弊社では見ている。

2023年12月期も当初の成長戦略を継続する方針だが、2023年3月に新たに新井 世東(あらい せと)氏(前 取締役副社長執行役員)が代表取締役社長に就任し、新たな経営体制に移行した。新井氏は前社長と同様、富士ソフトの事業を長くけん引してきた人物で、アライアンス戦略などで多くの実績を挙げてきた。新たな経営体制に移行して組織体制も見直し、自社プロダクトの強化も重点施策の一つとして取り組んでいるが、前述の通り早速複数のアライアンスを実現しており、今後の展開が注目される。

(2) 成長戦略
a) ソフトウェア開発事業
「ビジネス拡大」をテーマに掲げ、DX対応力の強化や好調分野への集中投資に取り組むことで継続的な成長を目指す。

通信ソフトウェア開発では、5G技術(Beyond 5G ready)の高度化や超高速モバイル通信技術の増強、仮想化技術の開発ニーズに対応できる技術者の育成・増強、IoT技術領域の拡大を目指す。制御ソフトウェア開発では、AI技術を活用したロボット制御分野への挑戦と、車載システムのなかでも開発ニーズが旺盛なCASEやMaaS等の取り込みに注力する。業務ソフトウェア開発では、好調な金融向けの案件取り込みに加えて、官公庁や公共系システムの提案を強化する。また、クラウド技術者(AWS、Microsoft Azure、GCP)やAI(画像認識、予測)、RPA技術者の増強による受注能力の拡大に加えて、IoT技術をベースとしたDX対応技術の高度化にも取り組み、さらなる成長を目指す。

b) サービス事業
「高付加価値ビジネスの拡大」をテーマに掲げ、エンドユーザーの拡大とプロダクト連携による受注強化に取り組む。

SIサービスのうちサーバ/ネットワーク構築では、多様化する基盤(クラウド、仮想化等)への対応力を強化するため、技術認定資格取得者の増強を進める。また、顧客の多様なニーズに対応するためサイバーセキュリティ技術やネットワーク仮想化技術の高度化に取り組み、ネットワーク構築系技術者の増強を図る。保守・運用では、運用設計技術者の増強とRPA活用による効率化、評価検証サービスでは、次世代通信規格への対応(6G、IOWN※)やテスト自動化支援ツールの活用による効率化に取り組んでいる。

※IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)は、NTTが2019年に提唱した次世代情報通信網のことで、ネットワークから端末までエンド・ツー・エンドで光通信技術を用い、圧倒的な低消費電力と高品質・大容量、超低遅延通信サービスを実現する「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」、サイバー空間上でモノやヒト同士の高度かつリアルタイムなインタラクションを可能とする「デジタル・ツイン・コンピューティング」、それらを含む様々なICTリソースを全体最適化し、必要な情報ネットワーク内に流通させる「コグニティブ・ファウンデーション」の3つの技術で構成されている。2024年頃に仕様を固め、2030年頃の実現を目指している。このうち、「APN」については2023年3月よりNTT東日本及び西日本でサービス提供を開始している。


自社プロダクトに関しては、「Cyber Smart」シリーズや「楽々セキュアコネクト」「Cyber Position Navi」「Cyber Position Navi Plus」等の拡販に取り組んでいる。販売戦略としては、Webマーケティングの高度化、PR活動の強化、各種展示会への出展による知名度向上に加えてアライアンス戦略による拡販を推進している。開発面では主力プロダクトの強化に加え、アライアンスによる付加価値向上(「Oracle Cloud版Cyber Position Navi」等)や新サービスの開発に注力している。特に、生成AI技術のビジネス市場での活用が広がるなかで、クラウドベンダーなどとも連携してAIソリューションを強化していく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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