*15:01JST はてな Research Memo(1):2025年7月期から成長路線へ復帰の見通し
■要約
はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業である。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等へと展開している。2023年7月期においては売上高の5割弱をSaaS等のストック型収入で占めている。
1. 2023年7月期の業績概要
2023年7月期の業績は、売上高が前期比2.8%増の3,150百万円、営業利益が同46.6%減の173百万円と増収減益となった。広告収入を中心に低迷が続いたコンテンツプラットフォームサービスと、大型顧客の運用停止等の影響を受けたコンテンツマーケティングサービスがそれぞれ減収となったものの、マンガビューア「GigaViewer(ギガビューワ)」やSaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」を中心としたテクノロジーソリューションサービスの増収でカバーし、売上高は過去最高を更新した。利益面では、積極的な人材採用による人件費の増加に加えて、データセンター(以下、DC)利用料や広告運用原価、サービス開発推進のための外注費・業務委託費の増加が減益要因となった。
2. 2024年7月期の業績見通し
2024年7月期の業績は、売上高が前期比9.6%増の3,452百万円、営業利益が同72.3%減の48百万円と増収減益が続く見通し。売上高はコンテンツプラットフォームサービスの減収分をテクノロジーソリューションサービスの増収でカバーする。特に、アプリマンガサービスに向けたマンガビューワ「GigaViewer for Apps」の大型案件が下期に納品予定となっているほか、既存顧客向け「GigaViewer for Web」の開発・運用料やレベニューシェア型契約(広告運用、ポイント販売等のマネタイズ支援)による売上増が増収要因となる。利益面では、前期に引き続き人件費やDC利用料、広告運用原価、外注費・業務委託費の増加が減益要因となるが、人材投資によって開発体制が強化されることで、2025年7月期以降は増収増益に転じる見通しだ。
3. 成長戦略
同社は中期的にはテクノロジーソリューションサービスを成長エンジンとして、年率15%前後の売上成長を目指す。利益面でも、2025年7月期以降は人件費やDC利用料の対売上比率低下が見込まれることから、増収効果により増益基調に転じるものと予想される。テクノロジーソリューションサービスでは、マンガビューアのうちWeb版の顧客向け(メディア数で20件)に、アプリ版を導入提案していくことで事業規模の拡大を図っていく。また、コロナ禍の影響もあって伸び悩んでいた「Mackerel」については、次世代アーキテクチャーの開発と課金体系の見直し、販売パートナーの拡充により2025年7月以降の成長トレンド復帰を図る。コンテンツマーケティングサービスについては、需要が高い人材採用目的のオウンドメディアの顧客開拓に合わせてサービスメニューを拡充し、メディアの売上単価向上に取り組む。コンテンツプラットフォームサービスに関しては、競争激化により苦戦を強いられているものの、2023年6月に開始したCtoC課金サービスの機能を拡充することで投稿者の収益化を支援し、「はてなブログ」の活性化を図る。そのほか、新規事業の企画・開発についても自社開発だけにとどまらず、他社との提携・出資も含めて幅広く検討していく。
■Key Points
・2023年7月期は増収を維持したものの先行投資負担により減益に
・2024年7月期も人件費等の増加で減益の見込みだが、増収率は10%弱に拡大
・「GigaViewer」を成長エンジンに2025年7月期以降は増収増益路線に復帰の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<AS>
はてな<3930>は、2001年設立のインターネットサービス企業である。Webサイト上にユーザーがコンテンツを作成・投稿し、他のユーザーが閲覧するUGC(User Generated Content)サービスで市場をリードしてきた。国内最大級のソーシャルブックマークサービス「はてなブックマーク」やブログサービス「はてなブログ」などのコンテンツプラットフォームサービスをベースに、その技術・ノウハウを生かして、コンテンツマーケティングサービスやテクノロジーソリューションサービス等へと展開している。2023年7月期においては売上高の5割弱をSaaS等のストック型収入で占めている。
1. 2023年7月期の業績概要
2023年7月期の業績は、売上高が前期比2.8%増の3,150百万円、営業利益が同46.6%減の173百万円と増収減益となった。広告収入を中心に低迷が続いたコンテンツプラットフォームサービスと、大型顧客の運用停止等の影響を受けたコンテンツマーケティングサービスがそれぞれ減収となったものの、マンガビューア「GigaViewer(ギガビューワ)」やSaaS型サーバー監視サービス「Mackerel(マカレル)」を中心としたテクノロジーソリューションサービスの増収でカバーし、売上高は過去最高を更新した。利益面では、積極的な人材採用による人件費の増加に加えて、データセンター(以下、DC)利用料や広告運用原価、サービス開発推進のための外注費・業務委託費の増加が減益要因となった。
2. 2024年7月期の業績見通し
2024年7月期の業績は、売上高が前期比9.6%増の3,452百万円、営業利益が同72.3%減の48百万円と増収減益が続く見通し。売上高はコンテンツプラットフォームサービスの減収分をテクノロジーソリューションサービスの増収でカバーする。特に、アプリマンガサービスに向けたマンガビューワ「GigaViewer for Apps」の大型案件が下期に納品予定となっているほか、既存顧客向け「GigaViewer for Web」の開発・運用料やレベニューシェア型契約(広告運用、ポイント販売等のマネタイズ支援)による売上増が増収要因となる。利益面では、前期に引き続き人件費やDC利用料、広告運用原価、外注費・業務委託費の増加が減益要因となるが、人材投資によって開発体制が強化されることで、2025年7月期以降は増収増益に転じる見通しだ。
3. 成長戦略
同社は中期的にはテクノロジーソリューションサービスを成長エンジンとして、年率15%前後の売上成長を目指す。利益面でも、2025年7月期以降は人件費やDC利用料の対売上比率低下が見込まれることから、増収効果により増益基調に転じるものと予想される。テクノロジーソリューションサービスでは、マンガビューアのうちWeb版の顧客向け(メディア数で20件)に、アプリ版を導入提案していくことで事業規模の拡大を図っていく。また、コロナ禍の影響もあって伸び悩んでいた「Mackerel」については、次世代アーキテクチャーの開発と課金体系の見直し、販売パートナーの拡充により2025年7月以降の成長トレンド復帰を図る。コンテンツマーケティングサービスについては、需要が高い人材採用目的のオウンドメディアの顧客開拓に合わせてサービスメニューを拡充し、メディアの売上単価向上に取り組む。コンテンツプラットフォームサービスに関しては、競争激化により苦戦を強いられているものの、2023年6月に開始したCtoC課金サービスの機能を拡充することで投稿者の収益化を支援し、「はてなブログ」の活性化を図る。そのほか、新規事業の企画・開発についても自社開発だけにとどまらず、他社との提携・出資も含めて幅広く検討していく。
■Key Points
・2023年7月期は増収を維持したものの先行投資負担により減益に
・2024年7月期も人件費等の増加で減益の見込みだが、増収率は10%弱に拡大
・「GigaViewer」を成長エンジンに2025年7月期以降は増収増益路線に復帰の見通し
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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