[資源・新興国通貨10/2~6のポイント&注目通貨] 豪州とNZの中銀会合に注目

著者:八代和也
投稿:2023/10/02 12:47

今週のポイント

今週は、3日にRBA(豪中銀)、4日にRBNZ(NZ中銀)の政策会合があります。これらの結果に豪ドルやNZドルが反応しそうです。RBAとRBNZのいずれも、政策金利を据え置くとの見方が市場では大勢です。

豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは、6日の米国の9月雇用統計の結果も材料になりそうです。米雇用統計が堅調な結果になれば、米ドル高が全般的に進んで、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。

米ドル/円が上昇傾向にある中で、本邦当局の対応に注目です。政府・日銀が為替介入に踏み切れば、米ドル/円が下落して、豪ドル/円やカナダドル/円などのクロス円も米ドル/円の下落に引きずられると考えられます。

原油価格の動向にも注目です。米WTI原油先物は9月28日に一時1バレル=95ドルへと上昇し、22年8月以来、1年1カ月ぶりの高値をつけました。サウジアラビアなど主要な産油国が供給を絞る中、原油の需給がひっ迫するとの懸念が、原油価格上昇の主な要因となっています。原油価格が上昇を続ければ、カナダドルやメキシコペソの支援材料になりそうです。

今週の注目通貨ペア(1): <豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.09000NZドル>

今週の豪ドル/NZドルは、RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の政策会合の結果に反応しそうです。

RBAは3日の会合で政策金利を据え置きそうです。豪州の8月CPI(消費者物価指数)は前年比5.2%と、上昇率は7月の4.9%から高まったものの、利上げを行う根拠にはならないと考えられます。月次のCPIは四半期CPIの3分の2程度の品目しかカバーしていないからです。RBAは10月25日に発表される7-9月期のCPIの結果を待つと考えられます。

市場では、RBAは年内に追加利上げを行うとの観測もあります。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、本稿執筆時点で市場が織り込む利上げの確率は10月が約1割、11月までが約4割、12月までが約5割です。RBAの声明が利上げ観測を高める内容になるのかどうかに注目です。

RBNZは4日の会合で政策金利を据え置きそうです。NZの4-6月期GDP(国内総生産)は前期比0.9%と、RBNZの8月時点の見通しである0.5%を上振れたものの、利上げする根拠にはならないと考えられます。NZの7-9月期のCPIが10月17日に発表されるからです。RBNZは7-9月期のCPIの結果を待つと考えられます。

市場では、RBNZは11月に追加利上げを行うとの観測があります。OISによると、市場が織り込む利上げの確率は10月が約1割、11月までが約5割です。RBNZの声明が利上げ観測を高める内容になるのかどうかに注目です。

声明の内容を受け、RBAの利上げ観測が後退してRBNZの利上げ観測が強まる場合、豪ドル/NZドルには下落圧力が加わりそうです。

今週の注目通貨ペア(2): <米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34000カナダドル~1.37000カナダドル>

9月29日に発表されたカナダの7月GDP(国内総生産)は前月比0.0%と、市場予想の0.1%を下回りました。

BOC(カナダ中銀)は9月6日の政策会合で政策金利を据え置きました。その時の声明では、政策金利を据え置く理由として「経済における過剰な需要が緩和していることを示す最近の証拠と、金融政策の効果が遅れて出てくること」が挙げられました。BOCは必要なら追加利上げを行うとの姿勢を示しているものの、7月のGDPが弱い結果だったことで市場では追加利上げ観測が後退しました。カナダドルは上値が重い展開となり、米ドル/カナダドルは底堅く推移する可能性があります。

10月6日に米国とカナダの9月雇用統計が発表されます。米国の雇用統計が強い結果となり、一方でカナダの雇用統計が弱い結果になれば、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想