*14:17JST 橋本総業HD Research Memo(7):卸機能をフル活用し2ケタ増益を確保
■業績動向
2. 2023年3月期の業績動向
橋本総業ホールディングス<7570>の2023年3月期の連結業績は、売上高148,189百万円(前期比7.7%増)、営業利益2,807百万円(同12.1%増)、経常利益3,798百万円(同10.9%増)と好調に推移した。親会社株主に帰属する当期純利益は2,569百万円(同6.7%増)となったが前期に固定資産売却益465百万円を特別利益に計上しているため、営業利益、経常利益ともに実質2ケタ増益とみなすことができる。
各セグメントや各営業拠点で、在庫・物流機能を活用した安定供給、メーカー生産状況の情報発信など、機能やサービスの充実を一段と強化した。一部商品の供給遅延に対しては、在庫、配送機能、情報力という卸機能を活用することでカバー、安定供給が困難となった商品については、代替商品や部材を調達することで機会損失を極力排除した。供給が細るときに在庫をしっかりと積み、配送を滞らせず、情報を遅滞なく的確に発信することで、取引先との関係をより緊密に築けたようだ。このほかにも、主要メーカーとの取り組み強化(重点商品の設定)や、会員専用Webサイト「OPS」のアイテム数拡大、顧客とのシステム連携強化を推進した。
なお、供給遅延については給湯器類を中心に回復しており、代替商品からの戻りがある一方、商品価格・製品価格の改定もスムーズに進んだ(第3四半期の12月に若干ながら駆け込み需要が発生したようだ)。これらに加えて「みらい市」の開催の貢献も大きく、売上高は通期計画を上回る伸びとなった。「みらい市」は、既述のとおり2023年3月期は全国7ヶ所で開催し、33,000名超(Web参加者16,000名超を含む)が参加した。なかでも、3年ぶりの開催となった「東京みらい市」は過去最大の来場者(Web参加者を含む)となった。
この結果、売上面で、新築戸建て及びマンションのリフォーム需要や、公共施設や事務所・工場など非住宅のリニューアル需要を取り込むことができた。利益面では、商品価格・製品価格の改定に加え、仕入・販売価格のコントロール、重点商品の選定により、売上総利益率は前期比横ばいの10.6%となった。「みらい市」開催などにより販管費は同7.8%増となったものの、増収及びコスト削減効果により販管費率は同横ばいの8.7%を維持した。これらの結果、営業利益は2ケタ増益となり、営業利益率は同0.1ポイント上昇した。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
管材類の売上高は42,837百万円(前期比8.7%増)となった。住宅分野ではウッドショックの影響により新築着工が前倒しとなり、商品価格の改定を前にリフォーム需要も増加した。非住宅分野は半導体工場向け設備投資を中心に需要が回復したほか、大型案件の着工も進んだ。同社は商品の安定供給を図るため、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力し、強まる需要に応えた。
衛生陶器・金具類の売上高は43,696百万円(同3.5%増)となった。新設着工戸数は持家が大幅に減少したものの貸家と分譲住宅が増加、全体としてやや増加となった。住宅のリフォームでは、生活様式の変化による設備の交換需要が増加した。前期にコロナ禍の影響で便座や水栓類の非接触商品への取替需要が進んだ非住宅分野は、その反動で減収となった。一方、温水暖房便座や一体型便器は、生産状況が下期にかけて回復してきたため増収に寄与した。
住宅設備機器類の売上高は26,999百万円で(同11.0%増)となった。給湯分野では、ガス・石油給湯器の製品供給体制が回復した。キッチン設備は、商品価格の改定を前に上期に需要が高まったが、下期は反動でショールームへの来館人数が減少、通期では増収を確保した。在庫やアイテムの拡充やショールーム商談会を実施し、即納体制を強化したことなどが奏功したようだ。
空調機器・ポンプの売上高は32,892百万円(同9.2%増)となった。空調機器類の需要は、生産や物流の遅延が解消したことで堅調に推移した。住宅用空調機器は高機能タイプや寒冷地域向け暖房用需要が増加、業務用空調機も堅調に推移した。ポンプはモーターやインバーターなどの部材調達が困難な状況となったものの、汎用ポンプ、家庭用ポンプともに堅調に推移した。同社は販路の開拓、仕入先との連携強化、代替品の提案、納期管理、顧客ニーズにあった提案など積極的な営業を展開した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<SO>
2. 2023年3月期の業績動向
橋本総業ホールディングス<7570>の2023年3月期の連結業績は、売上高148,189百万円(前期比7.7%増)、営業利益2,807百万円(同12.1%増)、経常利益3,798百万円(同10.9%増)と好調に推移した。親会社株主に帰属する当期純利益は2,569百万円(同6.7%増)となったが前期に固定資産売却益465百万円を特別利益に計上しているため、営業利益、経常利益ともに実質2ケタ増益とみなすことができる。
各セグメントや各営業拠点で、在庫・物流機能を活用した安定供給、メーカー生産状況の情報発信など、機能やサービスの充実を一段と強化した。一部商品の供給遅延に対しては、在庫、配送機能、情報力という卸機能を活用することでカバー、安定供給が困難となった商品については、代替商品や部材を調達することで機会損失を極力排除した。供給が細るときに在庫をしっかりと積み、配送を滞らせず、情報を遅滞なく的確に発信することで、取引先との関係をより緊密に築けたようだ。このほかにも、主要メーカーとの取り組み強化(重点商品の設定)や、会員専用Webサイト「OPS」のアイテム数拡大、顧客とのシステム連携強化を推進した。
なお、供給遅延については給湯器類を中心に回復しており、代替商品からの戻りがある一方、商品価格・製品価格の改定もスムーズに進んだ(第3四半期の12月に若干ながら駆け込み需要が発生したようだ)。これらに加えて「みらい市」の開催の貢献も大きく、売上高は通期計画を上回る伸びとなった。「みらい市」は、既述のとおり2023年3月期は全国7ヶ所で開催し、33,000名超(Web参加者16,000名超を含む)が参加した。なかでも、3年ぶりの開催となった「東京みらい市」は過去最大の来場者(Web参加者を含む)となった。
この結果、売上面で、新築戸建て及びマンションのリフォーム需要や、公共施設や事務所・工場など非住宅のリニューアル需要を取り込むことができた。利益面では、商品価格・製品価格の改定に加え、仕入・販売価格のコントロール、重点商品の選定により、売上総利益率は前期比横ばいの10.6%となった。「みらい市」開催などにより販管費は同7.8%増となったものの、増収及びコスト削減効果により販管費率は同横ばいの8.7%を維持した。これらの結果、営業利益は2ケタ増益となり、営業利益率は同0.1ポイント上昇した。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
管材類の売上高は42,837百万円(前期比8.7%増)となった。住宅分野ではウッドショックの影響により新築着工が前倒しとなり、商品価格の改定を前にリフォーム需要も増加した。非住宅分野は半導体工場向け設備投資を中心に需要が回復したほか、大型案件の着工も進んだ。同社は商品の安定供給を図るため、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力し、強まる需要に応えた。
衛生陶器・金具類の売上高は43,696百万円(同3.5%増)となった。新設着工戸数は持家が大幅に減少したものの貸家と分譲住宅が増加、全体としてやや増加となった。住宅のリフォームでは、生活様式の変化による設備の交換需要が増加した。前期にコロナ禍の影響で便座や水栓類の非接触商品への取替需要が進んだ非住宅分野は、その反動で減収となった。一方、温水暖房便座や一体型便器は、生産状況が下期にかけて回復してきたため増収に寄与した。
住宅設備機器類の売上高は26,999百万円で(同11.0%増)となった。給湯分野では、ガス・石油給湯器の製品供給体制が回復した。キッチン設備は、商品価格の改定を前に上期に需要が高まったが、下期は反動でショールームへの来館人数が減少、通期では増収を確保した。在庫やアイテムの拡充やショールーム商談会を実施し、即納体制を強化したことなどが奏功したようだ。
空調機器・ポンプの売上高は32,892百万円(同9.2%増)となった。空調機器類の需要は、生産や物流の遅延が解消したことで堅調に推移した。住宅用空調機器は高機能タイプや寒冷地域向け暖房用需要が増加、業務用空調機も堅調に推移した。ポンプはモーターやインバーターなどの部材調達が困難な状況となったものの、汎用ポンプ、家庭用ポンプともに堅調に推移した。同社は販路の開拓、仕入先との連携強化、代替品の提案、納期管理、顧客ニーズにあった提案など積極的な営業を展開した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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