超低PBR株の逆襲! 圧倒的に輝く「バリュー株スペシャル6選」 <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2023/08/05 19:30

―低PBR・低PER・高配当の三拍子揃った割安株が“本気の水準訂正”に動き出す―

 株式市場では日銀の政策修正の動きを背景とした金利上昇が重荷となってきた。ただ、高PERのグロース株には目先向かい風が意識されるものの、一方でPBRの低いバリュー株の一群に再びマーケットの視線が向かい始めた。今回のトップ特集ではPBR1倍を大きく下回る銘柄群のなかから、PERも割安でなおかつ配当利回りも高い三拍子揃った好実態株にスポットライトを当てる。

●8月第1週の東京市場は大荒れの展開に

 名実ともに8月相場入りとなった今週の東京株式市場は大荒れ模様となった。週前半は日経平均株価が大きく上値を追い、ダブルトップともいわれた6月中旬と7月初旬に形成した3万3000円台後半の高値圏奪回に迫る勢いだったが、果たせずにその後は倍返しの急落に見舞われた。米国債の格下げが引き金となり、前の日までの2営業日で1300円以上も水準を切り下げ、にわかに波乱相場の様相を呈した。週末4日は日経平均が朝安後に持ち直し、下げ止まり感をみせたものの、依然として不安定な地合いであることに変わりはない。

 当然ながらリスクオフの高波は怖い。羅針盤を失った状態で、濃霧の海原を航海するがごとき今の相場環境は「様子を見る(手を出さない)」というのも立派な投資戦略ではある。しかし、現状における企業のファンダメンタルズ、すなわち直近の決算発表の動向に目を向けると、総じて日米ともに事前コンセンサスを上回る好調な内容が目立つ。ここは自信をもっていい材料である。仮に米国債格下げをネタに需給主導で売られているのであれば、それは実態重視の投資家にとってはイレギュラーの安値を拾うチャンスともなる。

●波乱相場で強さを発揮する低PBR株

 では、どこに照準を合わせるか。米国だけでなく日本でも、日銀の出口戦略に向けた動きを背景に10年債利回りなど金利の上昇傾向が覆い隠せなくなってきた。ハイテクセクターを中心とするグロース株にとっては今しばらく不利な環境を強いられる可能性が高い。株価が上昇してもそれはリバウンドの過程であって、戻り一巡後は上値が重くなるケースを想定しておかなければならない。一方、足もとで個別株の物色動向に光を当てると、相対的にPBRの低い銘柄に投資資金がシフトされていることが確認できる。

 例えば売り方の立場で、触りたくない“強い株”がどういう株であるかということを考えるとおのずと視界が開ける。まず、信用買い残が少ない株は投げが生じにくい。東証がPBR1倍割れ企業に対し改善要請を出すまでは、低PBR株は人気薄の象徴でもあったから、この信用買い残で押し潰されるというケースが当てはまりにくい。また、実態が悪ければともかく、業績面が良好もしくは改善に向かっている銘柄であれば、会社の解散価値(=PBR1倍)を既に大きく下回る銘柄を売り叩くのは困難だ。

●東証が火をつけた企業の株価意識

 ストックだけでなくEPSの高さが見逃されているフロー面でも割安な株、つまりPERが市場平均を下回る銘柄であればなおさらである。これに加え、株主還元にも前向きな配当利回りの高いバリュー株は投資対象として更にポイントが高く、仮に全体相場が波乱含みの展開に遭遇しても下値抵抗力が発揮されるのは自明である。これらの条件に見合うもののなかから、有望株を探していく。

 投資指標が割安圏にあることは株価の水準訂正を約束するものではないが、当該企業が株価意識を高めることによって、投資指標としての威力が増すということはいえる。実際、リョービ <5851> [東証P]や三協立山 <5932> [東証P]などの今年に入ってからの目を見張る上昇パフォーマンスは、東証の低PBR改善要請が起爆剤となっている。また、両銘柄に引けを取らないパフォーマンスを演じた超低PBR銘柄はほかにも相当数存在する。

 しかし、東証のファインプレーが株価を持ち上げたわけではない。株高に向けた原動力となったのは何か。東証の号令で、企業が株価意識をもって成長投資や株主還元などの経営改善に取り組む、ということへの「期待感」にほかならない。今回はこの「期待感」が現実買いに発展していく可能性が高い、要注目の6銘柄を厳選エントリーした。

●最強のバリュー軍団6銘柄の上値に期待

愛三工業 <7283> [東証P]

 愛三工は燃料ポンプや電子制御型燃料噴射装置などを手掛けるトヨタ系自動車部品会社だが、世界的な電気自動車(EV)シフトの流れに対応し、電動車向けシステムへの展開に力を入れており、トヨタグループの電動化戦略でも重要なポジションを担う。ソフト開発のための人材拡充にも抜かりなく取り組んでおり、2025年時点で現状から倍増となる100人超のIT人材の育成を目標に掲げている。24年3月期第1四半期(23年4~6月)は38%増収、営業58%増益を達成し注目された。通期営業利益は前期比3%増の140億円を見込むが上方修正の可能性が高い。自社株買いに前向きなほか、年間配当は今期計画を含め3期連続の増配を実施する方針で、株主還元姿勢の高さは評価される。PER8倍台、PBR0.6倍台は株価の一段の水準訂正余地を暗示する。時価は18年2月以来約5年半ぶりの高値圏を走るが、依然として伸び切った感触はない。25日移動平均線をサポートラインとする上昇トレンド継続が見込まれ、押し目を積極的に狙っていきたい。

リケンテクノス <4220> [東証P]

 リケンテクノは理化学研究所の流れを汲む塩ビコンパウンドのトップメーカーで、コンパウンド事業のほか、高機能フィルム、食品包材なども手掛けている。海外売上高が51%と売り上げの半分を占め、海外連結子会社数も12社を数える。コンパウンドは自動車の生産回復をフォローの風に数量を伸ばしており、医療用品向けでもアジア地域など海外の旺盛な需要を開拓している。23年3月期営業利益は前の期比2割増益を達成している。24年3月期の同利益については原料・エネルギーコストの上昇が重荷となり、76億円予想と微増益にとどまる見通しながら、ここは成長の踊り場に過ぎない。25年3月期は海外売り上げ拡大をバネに利益の伸びが再加速する公算大。PER10倍未満でPBR0.6倍台、配当利回りも3.8%前後と高い。600円台の株価は数年来の高値ゾーンとはいえ中低位株ならではの買いやすさがあり、13週移動平均線とのカイ離修正場面は買い場。長期トレンドのボックス上限となっている700円ラインを突破すれば新境地が開ける。

虹技 <5603> [東証S]

 虹技は鋳物事業を主力展開し、得意とする大型鋳物のほか自動車用プレス金型鋳物、圧延ロール、デンスバー(連続鋳造鋳鉄棒)、ゴミ焼却設備など幅広く手掛ける。脱炭素戦略を前向きに進めるほか、デジタルトランスフォーメーション(DX)シフトも推進している。原料コストの上昇を、製品価格引き上げや合理化努力で克服し、業績は好調に推移。24年3月期第1四半期(23年4~6月)営業利益は前年同期比2.2倍の2億700万円を達成した。通期営業利益は前期比24%増の10億円を予想する。PER8倍割れと割安感が強いが、更に注目されるのはPBRで、解散価値の約3分の1の水準である0.3倍台と評価不足が際立つ。配当利回りは4%近い高水準。株価は16年9月に2890円(株式併合後修正値)の戻り高値を形成後、昨年末まで長期下降トレンドを余儀なくされたが、今年に入り底入れ反転を明示。時価は年初来高値圏ながら長期波動では戻り初動といってよく、中期的に2000円大台を目標とした下値切り上げ相場が続きそうだ。

ジェコス <9991> [東証P]

 ジェコスはJFE系の建設仮設材リース会社で、業界シェアナンバーワンの実力を持つ。また、建設機械のレンタルや工事も手掛けている。国土強靱化政策を背景とした底堅い公共投資需要に加え、民間でも設備投資ニーズが回復しており収益環境には追い風が吹いている。24年3月期第1四半期(23年4~6月)は売上高が前年同期比22%増と大幅増収を達成し、これを受けて営業利益は同86%増の12億5300万円と絶好調。対上期進捗率は72%と高く上振れ余地を示唆している。対通期進捗率では27%だが、同社は下期に書き入れ時となる傾向が強く、通期営業益見通しも増額含みだ。PBR0.5倍台で3.8%台の配当利回りも魅力。7月28日にマドを開けて値を飛ばした後調整を入れているが、早晩ここを踊り場に一段高が期待される。依然として信用買い残は枯れた状態にあり、浮動株比率の低さも際立つ。株式需給面から上値の軽さが意識されるだけに押し目は買い向かいたい。1000円大台ラインは長期的な観点で戻り相場の入り口に過ぎない。

前澤工業 <6489> [東証S]

 前沢工は上水道・下水道用装置・設備の大手メーカーで官公庁向けのウエートが高い。下水道分野では沈砂池設備で独自技術を有し、台風などによる災害対策関連としても活躍が期待できる。また、省エネ・脱炭素分野の開発技術も評価され、浄水関連分野に加え、最近では有機物を活用したバイオガスプラントなどで積極展開をみせている。23年5月期は増収増益で営業利益が前の期比6%増と好調だったが、24年5月期も豊富な受注残を足場に収益拡大が続き、営業利益は前期比12%増の36億円予想と2ケタ成長を見込む。これは2000年度以降では過去最高水準となる。株価は7月18日にマドを開けての大陽線で上放れたが、その後も目先筋の利食いを吸収し上値指向が強い。PER6倍台、PBR0.6倍台は株高修正に向けた期待が大きく、配当も前期まで6期連続で増配を行うなど株主への還元姿勢も評価される。株価は年初来高値圏にあるが、4ケタ台を地相場として全く不思議はない。過去最高値は3769円(分割修正後株価)と天井も高い。

クニミネ工業 <5388> [東証S]

 クニミネは1000の用途を持つとされる地下資源ベントナイト(粘土鉱物)の製造最大手で、自動車向けを主力に建機や建設向けなどでも高水準の需要を獲得している。ベントナイト鉱床は国内にも多数存在し、同社は山形県や宮城県、新潟県で採掘を行っている。また、研究開発にも力を入れ、新商品開発プロセスでは大学や産業技術総合研究所などと協業体制で研究を進め、いわき研究所と黒磯研究所の連携で迅速な開発に取り組む。24年3月期は原料コスト上昇を製品価格転嫁で相殺し利益率が急速に向上、営業利益は前期比93%増の16億円予想とV字回復の見込みだ。年間配当は23年3月期に前の期比10円増配の40円を実施し、今期も継続。配当利回りは4%前後と高い。PBR0.6倍と低く、来期以降は一段の株主還元強化も期待できる。株価は7月3日と28日に1050円台でダブルトップを形成、その後急速に下値を探る状況となったが、短期筋の投げ売りによるもので突っ込み買いの好機。75日移動平均線を足場に仕切り直しへ。

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