*12:07JST ポート Research Memo(7):売上収益・将来収益込みEBITDAの双方でCAGR約30%の成長を目指す
■中長期の成長戦略
ポート<7047>は、中長期的なEBITDAの成長によるフリーキャッシュフローの最大化を目標に、新たに3ヶ年中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。2026年3月期の売上収益の計画は25,000百万円、EBITDAは4,000百万円、将来収益込みEBITDAは4,800百万円としている。3か年のCAGRは売上収益で約30%成長を前提とし、EBITDAで約25%、将来収益込みEBITDAで約30%と野心的な数値目標を設定している。計画期間においては、増収増益を前提とした大胆な投資を実行していく。事業への投資方針を明確にし、各社・各事業のモニタリング体制を強化する。既存事業と新規事業の双方において、全社業績シェア10%以上、継続的な30%成長が実現可能な事業に対して経営資源を集中投下する。また、収益のポートフォリオ化により成長の蓋然性を高める。ショット型収益に偏重するのではなく、ストック型収益比率を増加させ収益構造を改革する。これに伴い、後述する「将来収益込みEBITDA」を主要指標に追加した。M&Aに関しては、既存領域においてはロールアップM&A、新規領域においては全体の業績に最低10%以上の影響を及ぼす大規模M&Aに原則限定する。また、M&Aを含む財務上の意思決定を迅速に実行するため、2024年3月期における四半期業績計画、2025年3月期の業績計画・各事業別業績計画については非開示としている。同社の成約支援事業というポジションの確立に向けた、オーガニック投資・インオーガニック投資・収益のポートフォリオ化などの施策は、長期のフリーキャッシュフローの最大化に向けて不可欠であり、中長期的な成長の蓋然性を高めるものであると弊社では見ている。
1. オーガニック投資
プロダクトと成約支援オペレーションの強化に向けたオーガニック投資により、テクノロジー×リアルの融合による成約支援事業のポジションを確立させ、巨大市場において継続的なシェア拡大を実現する。
(1) 人材支援サービス
人材支援サービスでは、市場成長性の高い人材紹介と新卒人材会社向けアライアンス支援に注力し、継続的な事業投資によりシェアの拡大を図る。新卒支援市場でのシェア拡大に向けては、キャリアアドバイザー等の成約支援組織の拡充や、地方拠点の拡大によって成約機会を最大化する。成約率を上昇、成約件数を増加させることで、クライアントの決定単価・送客単価の上昇による収益の拡大を見込む。また、会員DBを活用した20代若年層市場へのターゲット年代の拡大を図る。ナーチャリングの洗練化により、一人当たりの利用機会を最大化するとともに、さまざまなデジタル人材育成プログラム拡充を通じて利用ユーザー数の増加を推進する。新卒向けクライアントに対しては、既卒・第2新卒等の若年層向け人材紹介のクロスセルを強化する。その他、資本業務提携を実施した(株)チェンジとの強固な連携により、地方自治体の雇用政策のDX支援サービスを展開していく。さまざまな企業とのパートナーシップにより競争優位性のさらなる強化を目指す。
(2) 販促支援サービス
販促支援サービスでは、成約支援事業の強みを各領域において洗練させ、圧倒的な市場シェアを獲得する。エネルギー領域では、電力市場の回復に伴うマーケティング強化やガス等の付帯サービスの強化、パートナー企業との連携を通じたリアル販路強化による総成約件数の拡大を見込む。1ユーザー当たり収益の最大化やストック収益への切り替えを通じて中長期のEBITDAの最大化を図る。カードローン領域では、シェア拡大を最優先としたマーケティング投資の実行により業界No.1を目指す。クレジットカード等のローン商材の拡大を図り、総成約件数を最大化する。リフォーム領域では、ユーザー獲得効率を念頭に、成約件数最大化に向けたマーケティング投資を実行する。また、新規顧客開拓や成約支援オペレーション体制の強化により、成約社数を増加させる。また、新領域への参入についても積極的に実施していく。非日常領域というスイートスポット市場において、事業開発を積極展開することで全体の市場規模の拡大を図る。
2. 収益のポートフォリオ化
ストック収益を重視した収益のポートフォリオ化により、増収増益を前提とした継続的な成長の蓋然性を高める。同社の成約報酬型ビジネスは、現状では成約発生時点で報酬を獲得するショット型収益が大半であるが、成約後の利用状況に応じて報酬を獲得するストック型収益の比率を高めていく。ショット型収益とストック型収益のバランスをとることにより、持続的な成長を実現、販促支援サービスにおけるエネルギー領域をストック型収益の主力事業として展開していく。これまでのショット型収益では、短期的な市場環境の変化がストレートに業績に反映されていたが、ストック型収益へ切り替えることにより、短い時間軸での外部環境の影響は緩和される。収益のポートフォリオ化は同社の利益成長の蓋然性を高めるものであると弊社では見ている。
3. インオーガニック投資
非日常領域という巨大市場への参入により、シングル事業100億円規模となる事業を複数保有する企業グループへの成長を早期に実現する。M&Aについては、既存事業成長に寄与するものか新領域への大規模なM&Aに集中し、対象とする市場への参入判断の基準を明確にし、再現性の高いM&A後の成長を実現する。資金の調達に関しては、事業からの営業キャッシュフローを源泉にデットを活用したレバレッジをかけた投資戦略を原則としつつも、マーケット・財務状況等から総合的に判断し、EPSの向上を前提として資本性の資金調達も選択肢として検討する。財務基盤の盤石化を図りながらも、積極的な事業投資やM&Aが実行可能な投資資金を確保していく。新規領域の対象は非日常領域のうち、ユーザーにとって意思決定が難しく、クライアントにとってユーザー獲得難易度が高い領域を対象としている。足元で関心度合いが高い領域としては、冠婚葬祭・M&A事業・不動産などが挙げられる。2023年3月期末の財務状況は、営業キャッシュフローの創出により、のれん/親会社所有帰属持分比率が105%まで改善している。今後の投資実行に際しても営業キャッシュフローの拡大により、財務健全性を維持した成長が見込めると弊社では見ている。
4. 将来収益込みEBITDA
同社では、中期経営計画の達成及び中長期のEBITDA最大化に向けて、ストック収益比率を上昇させることが将来の継続的な成長の蓋然性を高めると認識している。中期経営計画のおける主要指標として追加された「将来収益込みEBITDA」は、通常のEBITDAに加えて、期中に成約したストック案件に関して、現状の解約率等から合理的に見込める将来収益を当該期のEBITDAに合算して算出した数値である。従来のショット型収益契約であれば当該期に計上されていたものであるという観点から、これまでのEBITDAに近しいものと認識し、当該期の収益として計上する。将来収益の金額に関しては、各事業者の過去の解約率等を勘案し、ストック契約切り替えによる5年間の総収益が約1.5倍程度となる案件を、ストック契約へ切り替える方針で策定している。なお、ユーザーの継続状況によっては、5年経過後も継続的な収益が見込まれる。先行投資といった側面ではあるが、将来収益に関しては解約率等から合理的に算出されたものであるため、不確実なものではないと弊社では考えている。なお、2024年3月期の業績見通しに関して、仮に2023年3月期と同様のショット収益中心であった場合、業績予想は売上収益15,300百万円(前期比35%増)、EBITDA2,440百万円(同21%増)となるため、成長率の鈍化ではなくあくまでも契約形態の変更による影響と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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ポート<7047>は、中長期的なEBITDAの成長によるフリーキャッシュフローの最大化を目標に、新たに3ヶ年中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を策定した。2026年3月期の売上収益の計画は25,000百万円、EBITDAは4,000百万円、将来収益込みEBITDAは4,800百万円としている。3か年のCAGRは売上収益で約30%成長を前提とし、EBITDAで約25%、将来収益込みEBITDAで約30%と野心的な数値目標を設定している。計画期間においては、増収増益を前提とした大胆な投資を実行していく。事業への投資方針を明確にし、各社・各事業のモニタリング体制を強化する。既存事業と新規事業の双方において、全社業績シェア10%以上、継続的な30%成長が実現可能な事業に対して経営資源を集中投下する。また、収益のポートフォリオ化により成長の蓋然性を高める。ショット型収益に偏重するのではなく、ストック型収益比率を増加させ収益構造を改革する。これに伴い、後述する「将来収益込みEBITDA」を主要指標に追加した。M&Aに関しては、既存領域においてはロールアップM&A、新規領域においては全体の業績に最低10%以上の影響を及ぼす大規模M&Aに原則限定する。また、M&Aを含む財務上の意思決定を迅速に実行するため、2024年3月期における四半期業績計画、2025年3月期の業績計画・各事業別業績計画については非開示としている。同社の成約支援事業というポジションの確立に向けた、オーガニック投資・インオーガニック投資・収益のポートフォリオ化などの施策は、長期のフリーキャッシュフローの最大化に向けて不可欠であり、中長期的な成長の蓋然性を高めるものであると弊社では見ている。
1. オーガニック投資
プロダクトと成約支援オペレーションの強化に向けたオーガニック投資により、テクノロジー×リアルの融合による成約支援事業のポジションを確立させ、巨大市場において継続的なシェア拡大を実現する。
(1) 人材支援サービス
人材支援サービスでは、市場成長性の高い人材紹介と新卒人材会社向けアライアンス支援に注力し、継続的な事業投資によりシェアの拡大を図る。新卒支援市場でのシェア拡大に向けては、キャリアアドバイザー等の成約支援組織の拡充や、地方拠点の拡大によって成約機会を最大化する。成約率を上昇、成約件数を増加させることで、クライアントの決定単価・送客単価の上昇による収益の拡大を見込む。また、会員DBを活用した20代若年層市場へのターゲット年代の拡大を図る。ナーチャリングの洗練化により、一人当たりの利用機会を最大化するとともに、さまざまなデジタル人材育成プログラム拡充を通じて利用ユーザー数の増加を推進する。新卒向けクライアントに対しては、既卒・第2新卒等の若年層向け人材紹介のクロスセルを強化する。その他、資本業務提携を実施した(株)チェンジとの強固な連携により、地方自治体の雇用政策のDX支援サービスを展開していく。さまざまな企業とのパートナーシップにより競争優位性のさらなる強化を目指す。
(2) 販促支援サービス
販促支援サービスでは、成約支援事業の強みを各領域において洗練させ、圧倒的な市場シェアを獲得する。エネルギー領域では、電力市場の回復に伴うマーケティング強化やガス等の付帯サービスの強化、パートナー企業との連携を通じたリアル販路強化による総成約件数の拡大を見込む。1ユーザー当たり収益の最大化やストック収益への切り替えを通じて中長期のEBITDAの最大化を図る。カードローン領域では、シェア拡大を最優先としたマーケティング投資の実行により業界No.1を目指す。クレジットカード等のローン商材の拡大を図り、総成約件数を最大化する。リフォーム領域では、ユーザー獲得効率を念頭に、成約件数最大化に向けたマーケティング投資を実行する。また、新規顧客開拓や成約支援オペレーション体制の強化により、成約社数を増加させる。また、新領域への参入についても積極的に実施していく。非日常領域というスイートスポット市場において、事業開発を積極展開することで全体の市場規模の拡大を図る。
2. 収益のポートフォリオ化
ストック収益を重視した収益のポートフォリオ化により、増収増益を前提とした継続的な成長の蓋然性を高める。同社の成約報酬型ビジネスは、現状では成約発生時点で報酬を獲得するショット型収益が大半であるが、成約後の利用状況に応じて報酬を獲得するストック型収益の比率を高めていく。ショット型収益とストック型収益のバランスをとることにより、持続的な成長を実現、販促支援サービスにおけるエネルギー領域をストック型収益の主力事業として展開していく。これまでのショット型収益では、短期的な市場環境の変化がストレートに業績に反映されていたが、ストック型収益へ切り替えることにより、短い時間軸での外部環境の影響は緩和される。収益のポートフォリオ化は同社の利益成長の蓋然性を高めるものであると弊社では見ている。
3. インオーガニック投資
非日常領域という巨大市場への参入により、シングル事業100億円規模となる事業を複数保有する企業グループへの成長を早期に実現する。M&Aについては、既存事業成長に寄与するものか新領域への大規模なM&Aに集中し、対象とする市場への参入判断の基準を明確にし、再現性の高いM&A後の成長を実現する。資金の調達に関しては、事業からの営業キャッシュフローを源泉にデットを活用したレバレッジをかけた投資戦略を原則としつつも、マーケット・財務状況等から総合的に判断し、EPSの向上を前提として資本性の資金調達も選択肢として検討する。財務基盤の盤石化を図りながらも、積極的な事業投資やM&Aが実行可能な投資資金を確保していく。新規領域の対象は非日常領域のうち、ユーザーにとって意思決定が難しく、クライアントにとってユーザー獲得難易度が高い領域を対象としている。足元で関心度合いが高い領域としては、冠婚葬祭・M&A事業・不動産などが挙げられる。2023年3月期末の財務状況は、営業キャッシュフローの創出により、のれん/親会社所有帰属持分比率が105%まで改善している。今後の投資実行に際しても営業キャッシュフローの拡大により、財務健全性を維持した成長が見込めると弊社では見ている。
4. 将来収益込みEBITDA
同社では、中期経営計画の達成及び中長期のEBITDA最大化に向けて、ストック収益比率を上昇させることが将来の継続的な成長の蓋然性を高めると認識している。中期経営計画のおける主要指標として追加された「将来収益込みEBITDA」は、通常のEBITDAに加えて、期中に成約したストック案件に関して、現状の解約率等から合理的に見込める将来収益を当該期のEBITDAに合算して算出した数値である。従来のショット型収益契約であれば当該期に計上されていたものであるという観点から、これまでのEBITDAに近しいものと認識し、当該期の収益として計上する。将来収益の金額に関しては、各事業者の過去の解約率等を勘案し、ストック契約切り替えによる5年間の総収益が約1.5倍程度となる案件を、ストック契約へ切り替える方針で策定している。なお、ユーザーの継続状況によっては、5年経過後も継続的な収益が見込まれる。先行投資といった側面ではあるが、将来収益に関しては解約率等から合理的に算出されたものであるため、不確実なものではないと弊社では考えている。なお、2024年3月期の業績見通しに関して、仮に2023年3月期と同様のショット収益中心であった場合、業績予想は売上収益15,300百万円(前期比35%増)、EBITDA2,440百万円(同21%増)となるため、成長率の鈍化ではなくあくまでも契約形態の変更による影響と言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 茂木稜司)
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