今週のポイント
12日に米国の6月CPI(消費者物価指数)が発表され、ベージュブック(米地区連銀経済報告)が公表されます。これらで米FRBの利上げ観測が強まる場合、米ドルが全般的に堅調に推移しそうです。この裏返しで豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下押し圧力が加わり、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わると考えられます。
同じく12日には、BOC(カナダ中銀)とRBNZ(NZ中銀)の政策会合があり、ロウRBA(豪中銀)総裁が講演します。カナダドルやNZドル、豪ドルはこれらが材料になる可能性があります(*後述)。
主要国の株価動向には注意が必要かもしれません。FRBなど主要中銀の利上げ観測が強まることは、株価にとってマイナス材料になると考えられるからです。株価が下落を続ける場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があり、その場合にはクロス円が下押ししそうです。
今週の注目通貨ペア(1)<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.09000NZドル>
RBA(豪中銀)は4日に政策会合を開き、政策金利を4.10%に据え置くことを決定しました。RBAが政策金利を据え置いたのは、22年5月に開始した利上げサイクルで2回目です(1回目は23年4月)。市場では「0.25%の利上げ」と「据え置き」とで見方が分かれていたため、RBAの決定を受けて豪ドル/NZドルは下落しました。
一方で、RBAは声明で「インフレ率が妥当な期間内に確実に目標値に戻るようにするため、ある程度の金融政策のさらなる引き締めが必要になるかもしれないが、それは経済とインフレがどのように推移するか次第だ」と表明。今後利上げを行う可能性があることを示しました。
ロウRBA総裁が12日に講演します。講演では、RBAの金融政策の先行きについて4日の政策会合の声明以上の手がかりが提供されるかどうかに注目。講演が次回8月1日の会合での利上げ観測を強めるような内容になれば、豪ドルの支援材料となりそうです。
12日には、RBNZ(NZ中銀)の政策会合も開かれます。政策金利は現行の5.50%に据え置かれそうです。RBNZが5月の会合時の声明で「政策金利は当面制約的水準にとどまる必要がある」と表明し、また金融政策報告で政策金利はピークに達したことを示唆したからです。政策金利が据え置かれれば、RBNZの声明の内容が5月から変化するかどうかが焦点になりそうです。声明が5月とほぼ同じ場合、市場に大きな反応はみられないかもしれません。
今週の注目通貨ペア(2): <カナダドル/円 予想レンジ:104.000円~109.500円>
12日のBOC(カナダ中銀)の政策会合が、カナダドル/円の動向に影響を与えそうです。
カナダの5月CPI(消費者物価指数)は前年比3.4%と、上昇率は4月の4.4%から鈍化し、21年6月以来の低い伸びとなったものの、BOCのインフレ目標(2%を中心に1~3%のレンジ)を引き続き上回りました。また、カナダの6月雇用統計では、雇用者数が前月比6.00万人増と、市場予想の2.00万人増を上振れました。市場では、BOCは12日の政策会合で0.25%の利上げを行うとの見方が有力です。
BOCが利上げすれば、大規模な金融緩和を続ける意向を示す日銀との金融政策の方向性の違いが市場で改めて意識されそうです。BOCの声明やマックレム総裁の会見でさらに利上げする可能性も示される場合、カナダドル/円は上値を試す展開が想定されます。
主要国の株価動向には要注意です。株価が下落を続けるようなら、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まるとともに、カナダドル/円に対して下押し圧力が加わるかもしれません。
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