今週のポイント
日銀が大規模な金融緩和を続ける方針を示す一方で、他の主要中銀の多くが利上げ方向にあります。金融政策の方向性の違いから、引き続き円安圧力が加わりやすいと考えられます。本邦当局による為替介入(米ドル売り/円買い)には注意が必要なものの、クロス円は上値を試す展開になりそうです。
豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルは、4日のRBA(豪中銀)政策会合が重要なカギを握りそうです。「利上げ」と「据え置き」で市場の見方が割れているため、RBAがどのような決定をしても、豪ドルが反応すると考えられます。
トルコの6月CPI(消費者物価指数)が5日に発表されます。トルコが抱える問題のひとつに高インフレがあるため、CPIが市場予想(前年比39.00%)を下回る結果になれば、トルコリラの支援材料になるかもしれません。
メキシコの6月CPI(消費者物価指数)が7日に発表されます。BOM(メキシコ中銀)は6月の政策会合で政策金利を11.25%に据え置くとともに、声明で政策金利は長期間にわたって11.25%に維持されるとの見通しを示しました。メキシコのCPIが市場予想(総合:前年比5.07%、コア:同6.86%)を下回る結果になれば、BOMの利下げ観測が市場で浮上する可能性があります。その場合、メキシコペソの上値を抑える要因になりそうです。
今週の注目通貨ペア(1)<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.10500NZドル>
今週(7/3- )の豪ドル/NZドルは、4日のRBA(豪中銀)政策会合の結果に影響を受けそうです。RBAは4月の会合で政策金利を据え置いたものの、5月と6月の2会合連続でそれぞれ0.25%の利上げを行いました。
豪州の5月雇用統計や5月小売売上高は市場予想よりも良好な結果だった一方で、5月CPI(消費者物価指数)は市場予想よりも弱く(※)、またRBA議事録では6月会合の利上げがきわどい判断だったことが明らかになりました。
これらを受け、4日の会合について市場の見方は「0.25%の利上げ」と「据え置き」とで割れています。そのため、RBAが会合でどのような決定をしても、豪ドルが反応しそう。政策金利が据え置かれれば、豪ドルが売られて豪ドル/NZドルは下落すると考えられます。
(※)雇用統計は失業率が3.6%(市場予想:3.7%)、雇用者数が前月比7.59万人(同1.50万人)、小売売上高は前月比0.7%(同0.1%)、CPIが前年比5.6%(同6.1%)でした。
今週の注目通貨ペア(2): <カナダドル/円 予想レンジ:106.000円~110.500円>
カナダドル/円は6月27日に一時109.437円へと上昇し、22年10月以来およそ8カ月ぶりの高値をつけました。日銀と他の主要中銀との金融政策の方向性の違いを背景に、全般的に円安圧力が加わっており、それがカナダドル/円の上昇要因となっています。BOC(カナダ中銀)はいったん停止した利上げを6月に再開しました。
BOCは7月12日に政策会合を開きます。「0.25%利上げする」と「政策金利を据え置く」とで市場の見方が割れており、市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)が織り込む7月会合の確率は、0.25%幅の利上げが53.8%、据え置きが46.2%です(6/30時点)。
7日に発表されるカナダの6月雇用統計が市場予想よりも良好な結果になれば、BOCの利上げ観測が強まりそうです。カナダドルが堅調に推移して、カナダドル/円は上昇する可能性があります。
本邦当局による為替介入には要注意です。もし為替介入(米ドル売り/円買い)が実施されれば、米ドル/円に引きずられてカナダドル/円も下落しそうです。
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