豪ドル
RBA(豪中銀)は5月2日の政策会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を3.60%から3.85%へと引き上げました。利上げは3月以来2カ月ぶりです(4月は政策金利を据え置き)。
RBAは声明で、「経済とインフレがどのように推移するか次第」としつつも、「ある程度のさらなる金融政策の引き締めが必要になるかもしれない」と表明。さらに利上げする可能性があることを示しました。
市場ではRBAは8月にも再び利上げするとの観測があります。利上げ観測が今後一段と強まる場合、豪ドルの上昇要因になりそうです。
米FRBや日銀の金融政策も重要です。FRBが利上げを停止すれば豪ドル/米ドルは上値を試す展開になり、日銀が金融緩和を修正しなければ豪ドル/円が堅調に推移しそうです。
豪ドルは投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴もあります。主要国の株価が堅調に推移するなどしてリスクオフ(リスク回避)の動きが後退する場合、豪ドル/米ドルや豪ドル/円の上昇要因になる可能性があります。
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【豪ドル/NZドル】
RBAは追加利上げの可能性を示す一方、RBNZ(NZ中銀)は5月24日の政策会合で利上げしたものの、利上げサイクルの終了を示唆しました。RBAとRBNZの金融政策スタンスの差からみれば、豪ドル/NZドルは上昇しやすいかもしれません。
<注目点・イベントなど>
・RBA(豪中銀)はさらに利上げするかどうか。
・米FRBと日銀の金融政策。
・投資家のリスク意識の変化。リスクオフの後退は豪ドルの上昇要因。
・資源(主に鉄鉱石)価格の動向(資源価格の下落は豪ドルの下落要因)。
・中国経済の動向。中国経済の減速は豪ドルにとってマイナス材料。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は5月24日の政策会合で0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を5.25%から5.50%へと引き上げました。
RBNZは一方で、21年10月に開始した利上げサイクルの終了を示唆しました。声明では、「政策金利は当面制約的な水準にとどまる必要がある」と表明し、四半期に1度公表する金融政策報告では、「政策金利は5.50%でピーク」との見通しが示されました。このことは、NZドルにとってマイナス材料です。
NZドル/米ドルは米FRBの金融政策も重要です。FRBが利上げを停止すれば、NZドル/米ドルは明確な方向感が出にくいかもしれません。また、NZドル/円については、日銀が金融緩和の修正へと動くかどうかに注目です。金融緩和が修正されなければ、NZドル/円は底堅く推移しそうです。
NZドルは豪ドルと同様に、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)にも影響を受けやすいという特徴があります。リスクオフ(リスク回避)の動きが後退する場合、NZドル/米ドルやNZドル/円の支援材料になりそうです。
<注目点・イベントなど>
・RBNZ(NZ中銀)は金融政策を変更(利上げ/利下げ)するか。
・米FRBと日銀の金融政策。
・投資家のリスク意識の変化。リスクオフの後退はNZドルの上昇要因。
・中国経済の動向。中国経済の減速はNZドルにとってマイナス材料。
・乳製品(NZ最大の輸出品)価格の動向(乳製品価格の上昇はNZドルの上昇要因)。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は3月と4月の2会合連続で政策金利を4.50%に据え置いたものの、「必要なら、再び利上げを行う」との姿勢です。
カナダの4月CPI(消費者物価指数)は前年比4.4%と、市場予想(4.1%)に反して3月の4.3%から上昇率が高まりました。市場では、BOCの次の一手について「利下げ」との見方が有力でしたが、足もとでは「利上げ」へと変化しています。今後発表されるカナダの経済指標(特にCPIが重要)でBOCの利上げ観測が強まる場合、カナダドルが堅調に推移しそうです。
米FRBが利上げを停止すれば米ドルが全般的に軟調に推移して米ドル/カナダドルは下値を試す展開になり、また日銀が金融緩和を修正しなければカナダドル/円は上値を試す展開になりそうです。
カナダドル/円と米ドル/カナダドルのいずれも、原油価格の動向にも注目です。原油価格(米WTI原油先物が代表的な指標)が堅調にすれば、カナダドル/円の支援材料となり、一方で米ドル/カナダドルの上値を抑える要因になる可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・BOC(カナダ中銀)の利上げ観測が強まるかどうか。
・米FRBと日銀の金融政策。
・資源(特に原油)価格の動向(資源価格の上昇はカナダドル高要因)。
トルコリラ
エルドアン大統領はTCMB(トルコ中銀)の金融政策に介入しており、低金利を志向する自らの考えに従わないTCMB総裁は解任しました(19年7月から22年3月にかけて3人)。その結果、TCMBは高インフレにもかかわらず、22年8月~11月の4カ月連続で利下げを行い、そして大地震の発生を受けて23年2月にも利下げを行いました(22年8月以降の利下げ幅は合計5.50%)。
トルコ大統領選の決選投票が5月28日に実施され、エルドアン大統領の再選が決まりました。トルコリラ安を招いてきたエルドアン大統領の経済・金融政策は今後も継続されると考えられるため、トルコリラ/円には下落圧力が加わりやすいとみられます。
<注目点・イベントなど>
・TCMB(トルコ中銀)の金融政策。
・トルコの外貨準備は枯渇しないか。
・トルコと米国やEUとの関係は改善するか。
・シリア情勢など地政学リスクには要注意。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は5月25日の政策会合で0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を7.75%から8.25%へと引き上げました。利上げは10会合連続です。
SARBが利上げしたにもかかわらず南アフリカランドは対円や対米ドルで下落しました。市場では0.75%利上げするとの観測も一部にあったほか、SARBの声明で「南アフリカランド安が一段と進む可能性がある(SARBはランド安を容認?)」との見解が示されたためと考えられます。5月の利上げは南アフリカランドにとってそれほどプラス材料にならないかもしれません。
南アフリカでは、発電設備の老朽化などによって計画停電が常態化しています。停電は経済活動を阻害するため、計画停電が長期化する場合、南アフリカランド/円が下押ししそうです。
<注目点・イベントなど>
・SARB(南アフリカ中銀)は今後も利上げを続けるか否か。
・計画停電が続けば南アフリカ景気をめぐる懸念が強まりそう。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は5月18日に政策会合を開き、政策金利を11.25%に据え置くことを決定。21年6月に開始した利上げを停止しました。
メキシコの4月CPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比6.25%、コア指数が同7.67%でした。BOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を依然として大きく上回ったものの、上昇率はいずれも3カ月連続で低下しました。また、これまでの利上げ(21年6月以降の利上げ幅は合計7.25%)の効果は、今後さらに出てくると考えられます。そのため、BOMは利上げの停止を決定したとみられます。
BOMは声明で「政策金利は現在の水準に長期間維持する必要がある」と表明。利上げサイクルは終了し、政策金利は今後も11.25%に据え置く方針を示しました。このことはメキシコペソにとってマイナスと考えられます。
一方で、メキシコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)は5.00%(5/26時点)と主要国に比べて高いうえ、この状況は今後も大きく変化しないと考えられます。実質金利の高さが市場で意識されれば、BOMの利上げが終了したとしても、メキシコペソ安材料にはならないかもしれません。日銀の金融政策にも影響を受けそうですが、メキシコペソ/円は堅調に推移する可能性があります。
原油価格(米WTI原油先物)が大きく変動する場合には、原油価格の動向も材料になる可能性があります。原油価格の上昇はメキシコペソ高要因です。
<注目点・イベントなど>
・BOM(メキシコ中銀)と日銀の金融政策。
・主要国と比べて高いメキシコの実質金利。
・資源(特に原油)価格の動向(資源価格の上昇はメキシコペソ高要因)。
・メキシコ最大の輸出先である米国経済の動向。
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