[資源・新興国通貨5/15~19のポイント&注目通貨]中銀会合にメキシコペソが反応しそう

著者:八代和也
投稿:2023/05/15 12:22

今週のポイント

今週(5/15- )は、カナダの4月CPI(消費者物価指数)が16日に発表されます。市場では、BOCは早ければ年内に利下げに転じるとの観測があります。CPIが市場予想(本稿執筆時点で前年比4.2%)を下回る結果になれば、その観測が強まるとともにカナダドルが軟調に推移しそうです。カナダドル/円は上値が重い展開になり、米ドル/カナダドルは底堅く推移する可能性があります。

RBA(豪中銀)議事録が16日に公表され、17日には豪州の1-3月期賃金コスト指数、18日には豪州の4月雇用統計が発表されます。豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルはこれらの結果に反応しそうです。

BOM(メキシコ中銀)が18日に政策会合を開きます。会合では、利上げの停止(政策金利の据え置き)が決定されるかどうかに注目です。

主要国の株価動向や米地銀に関する報道には注意が必要です。株価が下落を続ける、あるいは米地銀の経営をめぐる懸念が高まる場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まるとともに、クロス円が下押しする可能性があります。

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南アフリカランドは先週(5/8- )、対米ドルで過去最安値をつけ、対円で21年2月以来の安値を記録しました。米国のブリゲティ駐南アフリカ大使が11日、「ロシア船が22年12月に南アフリカのサイモンズタウンの海軍基地で武器を載せた」と述べたことが、南アフリカランド下落の主な要因です。

その後、南アフリカのグングベレ通信相が12日に「南アフリカはロシアへの武器供給を承認していない」と述べ、同国外務省はブリゲティ大使を呼んで抗議。ブリゲティ大使が謝罪したことで、南アフリカランドは対米ドルや対円で反発しました。

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トルコの大統領選が14日に行われました。本稿執筆時点で選挙の結果は確定していないものの、エルドアン大統領と野党6党の統一候補であるクルチダルオール氏の決選投票になる可能性が高いようです。その場合、トルコリラは決戦投票をめぐる報道や憶測に反応しやすい地合いになりそうです。決選投票は28日に実施されます。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06300NZドル~1.08500NZドル>

RBNZ(NZ中銀)が企業経営者らを対象にした四半期調査が12日に公表されました。それによると、2年先のインフレ期待は2.79%と、前回2月調査の3.30%から低下し、21年8月以来の低水準となりました。

市場では、「RBNZは次回5月24日の政策会合で0.25%の利上げを実施し、それをもって利上げは停止され、早ければ年内に利下げに転じる」との観測があります。2年先のインフレ期待はこの観測を一段と強める結果と言えそうで、NZドルにとってマイナスです。

今週(5/15- )は、豪州の経済指標が多く発表されます。RBA(豪中銀)議事録が16日に公表され、17日には1-3月期賃金コスト指数、18日には4月雇用統計が発表されます。今回の議事録は、RBAが予想外の利上げした2日の政策会合のものです。RBA議事録がタカ派的な内容になり、また豪州の経済指標が堅調な結果になれば、豪ドル/NZドルは上値を試す展開になりそうです。

今週の注目通貨ペア(2):<メキシコペソ/円 予想レンジ:7.500円~8.000円>

18日にBOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。この結果にメキシコペソ/円が反応しそうです。

18日の会合で政策金利は据え置かれそうです。ロドリゲスBOM総裁が4月25日に「次回会合では、据え置きを検討する可能性がある」と述べたほか、メキシコのCPI(消費者物価指数)上昇率は低下傾向にあるからです。4月のCPIは総合指数が前年比6.25%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同7.67%でした。BOMのインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を引き続き上回ったものの、上昇率はいずれも3カ月連続で低下しました。

政策金利が据え置かれれば、メキシコペソ/円は下落するかもしれません。ただ、メキシコの実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの。5/12時点で5.00%)が高い状況に変わりはありません。そのことが市場で意識されれば、メキシコペソ/円の下落は一時的に終わる可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想