今週のポイント
米国の4月CPIが10日に発表されます。豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルはその結果に影響を受けそうです。CPIが市場予想を下回る結果になれば、米ドルが全般的に売られて、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルは堅調に推移し、一方で米ドル/カナダドルは軟調に推移しそうです。
ロドリゲスBOM(メキシコ中銀)総裁は4月25日、「次回5月18日の政策会合では、政策金利の据え置きを検討する可能性がある」と述べました。9日に発表されるメキシコの4月CPIが5月18日の会合における重要な政策判断材料になりそうです。CPIの市場予想は、総合指数が前年比6.22%、コア指数が同7.70%。市場予想を下回る結果になれば、政策金利を据え置くとの見方が市場で強まるとともに、メキシコペソの上値を抑える要因になる可能性があります。
米国の地銀をめぐる報道や主要国の株価動向には要注意です。リスクオフ(リスク回避)の動きが市場で強まる場合、豪ドル/円やカナダドル/円などのクロス円が下押しするかもしれません。
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トルコリラは、14日に実施されるトルコの大統領選挙が重要です。大統領選には4人が立候補しているものの、エルドアン大統領と野党6党の統一候補であるクルチダオール氏(共和人民党党首)との事実上の一騎打ちになるとみられ、選挙は両者の接戦になると予想されています。得票率が50%を超える候補がいなければ、28日に上位2人の決選投票が行われます。
エルドアン大統領は低金利を志向しており、自らの意向に従わないTCMB(トルコ中銀)総裁を解任しました(19年7月以降で3人)。TCMBはエルドアン大統領の影響下にあるとみられ、高インフレにもかかわらず22年8月~11月の4カ月連続で利下げを行い、そして大地震の発生を受けて23年2月にも利下げを行いました。エルドアン大統領が再選を果たせば、大統領がTCMBの金融政策に介入する状況は変わらないとの見方からトルコリラは下押しする可能性があります。
クルチダオール氏が勝利すれば、トルコリラは上昇しそう。TCMBは必要な時に利上げしやすくなると考えられるからです。ただし、政権の交代による政治の混乱が市場で強く意識されれば、トルコリラの上昇は長続きしないかもしれません。
今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.06000NZドル~1.08300NZドル>
RBA(豪中銀)は2日に政策会合を開き、0.25%利上げして政策金利を3.60%から3.85%へと引き上げることを決定。4月に停止した利上げを再開しました。また声明では「ある程度のさらなる金融政策の引き締めが必要になるかもしれない」とし、今後さらに利上げする可能性に言及しました。これらは豪ドルにとってプラス材料と考えられます。
一方で、NZドルにもプラス材料があります。NZの1-3月期雇用統計(3日発表)は失業率が3.4%、就業者数が前期比0.8%・前年比2.5%となり、市場予想(失業率:3.5%、就業者数:0.4%・1.8%)よりも良好な結果でした。また、失業率はRBNZ(NZ中銀)の2月時点の見通しである3.5%を下振れました。
豪ドルとNZドルの双方にプラス材料があることから、豪ドル/NZドルは明確な方向感が出にくいかもしれません。目先のメドとして、下値が1.06183NZドル(5/4安値)、上値が1.08292NZドル(5/2高値)が挙げられます。
企業経営者らを対象にRBNZが調査したインフレ期待が12日に公表されます。この結果が材料になるかもしれません。前回2月の調査では、1年先のインフレ期待は5.11%、2年先のインフレ期待は3.30%でした。市場では、「RBNZは次回5月24日の会合で0.25%の利上げを実施し、それをもって利上げは打ち止め、早ければ年内に利下げに転じる」との観測があります。インフレ期待の結果を受けて市場の観測が変化すれば、豪ドル/NZドルが反応しそうです。
今週の注目通貨ペア(2):<カナダドル/円 予想レンジ:98.000円~102.500円>
BOC(カナダ中銀)は3月と4月の2会合連続で政策金利を据え置きつつも、「必要ならば、再び利上げを行う」との方針を示しており、マックレムBOC総裁は5月4日に「利下げは考えていない」と述べました。一方、BOCの姿勢とは異なり、市場では「次の一手は、利上げではなく利下げ」との見方が有力です。
カナダの4月雇用統計が5日に発表されました。結果は失業率が5.0%、雇用者数が前月比4.14万人増となり、いずれも市場予想(5.1%、2.00万人増)よりも良好な結果でした。利下げ観測が市場で後退する可能性があり、その場合にはカナダドルの支援材料となってカナダドル/円は上値を試しそうです。
ただし、米国の地銀をめぐる報道や主要国の株価動向には注意が必要です。米地銀の経営への懸念を強めるような報道が新たに出てくる、あるいは株価が下落を続ければ、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。リスクオフは円の上昇要因のため、リスクオフが強まる場合にはカナダドル/円は下押しするかもしれません。
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