[資源・新興国通貨4/24~28のポイント&注目通貨] 豪CPIに豪ドルが反応しそう

著者:八代和也
投稿:2023/04/24 13:47

今週のポイント

市場では、RBA(豪中銀)は早ければ5月2日の政策会合で再び利上げを行うとの観測があります。26日に発表される豪州の1-3月期CPI(消費者物価指数)がこの観測を強める結果になるのかどうかに注目です。5月の利上げ観測が強まる場合、豪ドル/円や豪ドル/米ドル、豪ドル/NZドルは堅調に推移しそうです。

日銀の金融政策決定会合が27-28日に開かれます(会合の結果は28日に発表)。日銀の声明や展望レポート、植田日銀総裁の会見の内容に豪ドル/円やカナダドル/円などのクロス円が反応する可能性があります。

TCMB(トルコ中銀)は27日に政策会合を開きます。TCMBは前回3月23日の会合時の声明で、「現在の金融政策スタンスは、地震後の必要な(景気)回復を支えるのに適切だ」との認識を示しており、27日の会合では政策金利を現行の8.50%に据え置きそうです。その通りの結果となり、また声明でTCMBの金融政策スタンスの変化が示唆されなければ、トルコリラに大きな動きはみられないかもしれません。

米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)が12日の1バレル=83.53ドルを直近のピークに反落しています。足もとの原油価格下落の主な要因として、FRB(米連邦準備理事会)やECB(欧州中銀)、BOE(英中銀)が利上げによって景気が減速して原油の需要が減少するとの懸念があるようです。原油価格が下落を続ける場合、カナダドルやメキシコペソの上値を抑える材料になるかもしれません。

メキシコペソは、24日に発表されるメキシコの4月前半のCPIにも注目です。BOM(メキシコ中銀)は前回3月30日の政策会合で利上げすることを決定しましたが、利上げ幅は0.25%と、2月までの2会合の0.50%から縮小しました。また、声明では「次回5月18日の会合では、インフレ見通しを考慮し、すでに達成している金融政策スタンス(の変更)を検討する」と表明。利上げの停止が近づいていることを示唆しました。

本稿執筆時点でメキシコのCPIの結果は判明していないものの、CPIが市場予想(総合指数:前年比6.28%、コア指数:同7.78%)を下回る結果になれば、BOMは利上げを停止するとの観測が市場で強まる可能性があります。その場合、メキシコペソ/円は上値が重くなりそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.08000NZドル~1.10000NZドル>

豪ドル/NZドルは4月21日に一時1.09249NZドルへと上昇し、2月28日以来、約2カ月ぶりの高値をつけました。20日に発表されたNZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が前年比6.7%と、市場予想の7.1%を下回ったことでNZドル安圧力が加わったのが要因です。1-3月期のCPI上昇率は、RBNZ(NZ中銀)が2月の金融政策報告で示した見通し(7.3%)に反して22年10-12月期の7.2%から鈍化しました。

RBA(豪中銀)は前回4月4日の政策会合で、「これまでの利上げの影響と経済見通しを評価する時間を確保するため」として政策金利を据え置いたものの、状況次第では再び利上げを行うことを示唆しました。豪州の1-3月期CPIが26日に発表されます。その結果が次回5月2日のRBA会合における重要な判断材料になりそうです。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によると、本稿執筆時点で市場が織り込む次回会合の確率は、据え置きが69.9%、0.25%幅の利上げが30.1%です。

CPIの市場予想は、本稿執筆時点で総合指数が前年比6.9%、トリム平均値が同6.7%。市場予想を上回る結果になれば、市場では次回会合での利上げ観測が強まるとともに、豪ドル/NZドルが堅調に推移しそうです。豪ドル/NZドルは、200日移動平均線(4/24時点で1.09458NZドル)を超える可能性があります。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.33000カナダドル~1.38000カナダドル>

米ドル/カナダドルは4月14日に一時1.32935ドルへと下落して2カ月ぶりの安値を記録した後、反発。21日には1.35カナダドル台へと上昇しました。米ドル/カナダドル反発の要因として、4月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値(14日)や4月NY連銀製造業景気指数(17日)など米国の経済指標が堅調な結果だったことや(米ドルのプラス材料)、原油価格の下落(カナダドルのマイナス材料)が挙げられます。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は、12日に一時1バレル=83.53ドルをつけた後に反落し、21日には76.72ドルへと下落する場面がありました。

今週(4/24- )は、米国の1-3月期GDP(国内総生産。27日)や3月PCE(個人消費支出)デフレーター(28日)が発表されます。これらの結果を受けての米ドル全般の動きや原油価格の動向に米ドル/カナダドルは影響を受けやすいと考えられます。米経済指標が市場予想を上回る結果になり、原油価格が下落を続ける場合、米ドル/カナダドルは1.37997カナダドル(3/24高値)に向かって上昇しそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想