[資源・新興国通貨4/17~21のポイント&注目通貨] カナダやNZのCPIに注目!

著者:八代和也
投稿:2023/04/17 13:57

今週のポイント

今週(4/17- )は、18日にカナダ(3月)、19日に南アフリカ(3月)、20日にNZ(1-3月期)のCPI(消費者物価指数)が発表されます。物価の動向は中銀の金融政策に大きな影響を与えるため、カナダドルや南アフリカランド、NZドルはCPIの結果に反応しそうです。市場では、「BOC(カナダ中銀)の次の一手は利下げ」、「SARB(南アフリカ中銀)は近く利上げを停止する」、「RBNZ(NZ中銀)は5月に利上げを行い、それをもって利上げは停止し、年内に利下げに転じる」との観測があります。CPIがこれらの観測を強める結果になるのかどうか注目です。

米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)は12日に一時1バレル=83ドル台へと上昇し、22年11月以来の高値をつけました。OPECプラスは2日に5月から原油の生産量を減らす方針を示しており、原油の需給がタイトになるとの見方が引き続き原油価格の支援材料となりました。原油価格が一段と上昇すれば、カナダドルやメキシコペソの上昇要因になるかもしれません。

RBA(豪中銀)議事録が18日に公表されます(4/4会合分)。4日の会合でRBAは政策金利を3.60%に据え置くことを決定。22年5月に開始した利上げを停止しました。RBAは今後再び利上げを行うとの観測も市場にある中、議事録がその観測を強める内容になれば、豪ドルが堅調に推移する可能性があります。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.09000NZドル>

豪ドル/NZドルは先週(4/10- )、一時1.08NZドル台へと上昇し、約1カ月ぶりの高値をつけました。11日に「中国が豪州産大麦に高い関税を課している問題をめぐり、中国と豪州がこの問題を解決することで合意した」とのニュース(※)や12日の豪州の雇用統計の強い結果が、豪ドルの支援材料となりました。豪雇用統計の結果は、失業率が3.5%、雇用者数が前月比5.30万人増。市場予想はそれぞれ3.6%と2.00万人増でした。

(※)豪州が20年に新型コロナウイルスの発生源の独立調査を求めたことに反発し、中国は20年から豪州産大麦に80.5%の関税を課してきました。中国は豪州産大麦の関税の見直しを行い、その間、豪州はWTO(世界貿易機関)での紛争処理手続きを停止するとのことです。

今週(4/17- )は、20日にNZの1-3月期CPI(消費者物価指数)が発表されます。RBNZ(NZ中銀)は年内に利下げに転じるとの観測が市場にある中で、CPIが市場予想(本稿執筆時点で前年比7.0%)を下回る結果になれば、その観測は一段と強まりそう。その場合、NZドルが売られて豪ドル/NZドルは堅調に推移する可能性があります。豪ドル/NZドルは、1.08866NZドル(3/6高値)が目先の上値メドです。

今週の注目通貨ペア(2):<カナダドル/円 予想レンジ:98.000円~101.500円>

BOC(カナダ中銀)は12日の会合で政策金利を4.50%に据え置くことを決定しました。政策金利を据え置いたのは2会合連続です。

BOCは声明で、「金融政策がインフレ圧力を緩和するのに十分に制約的かどうかを引き続き評価し、インフレ率を2%の目標に戻すために必要であれば、政策金利をさらに引き上げる用意がある」と表明。今後利上げを再開する可能性があることを改めて示しました。

マックレムBOC総裁は12日の会見で、年内に利下げに転じるとの市場の観測について「最も可能性が高いシナリオのようには思えない」と述べ、利下げ観測をけん制。マックレム総裁は14日に「12日の会合では、利上げについても議論した」ことを明らかにするとともに、「(カナダの)インフレ率を2%の目標へと戻すため、金利を“より高く、より長く”維持する必要があるかもしれない」と語りました。

こうしたBOCの声明やマックレム総裁の発言は、カナダドルの支援材料になりそうです。カナダの3月CPI(消費者物価指数)が18日に発表されます。CPIが市場予想よりも強い結果になれば、BOCの利下げ観測が後退するだけでなく、利上げ観測が浮上する可能性があり、その場合にはカナダドル高が進んでカナダドル/円は上値を試す展開になりそう。カナダドル/円は101.136円(22/12/13高値)を超えるかもしれません。

原油価格が堅調に推移しており、米WTI原油先物(原油価格の代表的な指標)は12日に22年11月以来、約5カ月ぶりの高値をつけました。カナダは産油国のため原油高はカナダドルにとってプラスであり、原油価格が一段と上昇すればカナダドル/円のさらなる支援材料になりそうです。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想