豪ドル
RBA(豪中銀)は22年5月に利上げを開始し、23年3月まで10会合連続で利上げを行いました。3月24日時点でRBAの政策金利は3.60%です。
RBAは早ければ4月にも利上げを停止しそうです。ロウRBA総裁が3月8日の講演で「次回会合(4/4)までのデータが利上げの停止が適切なことを示唆すれば、それを行う(利上げを停止する)」と語ったうえ、3月10日の米シリコンバレー銀行の破たんをきっかけに金融不安が高まったからです。RBAが実際に利上げを停止すれば、豪ドルのマイナス材料になりそうです。
米FRBや日銀の金融政策も重要です。米FRBが利上げを停止する場合、RBAとFRBの金融政策面をみれば、豪ドル/米ドルには明確な方向感が出にくい可能性があります。一方、日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の修正や撤廃へと動けば、豪ドル/円は軟調に推移しそうです。
豪ドルはまた、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴もあります。豪ドル/円と豪ドル/米ドルのいずれも、米国など主要国の株価動向には注意が必要です。主要国の株価が下落を続けるなどしてリスクオフ(リスク回避)の動きが強まる場合、豪ドル/円や豪ドル/米ドルの下落要因になる可能性があります。
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【豪ドル/NZドル】
RBAは早ければ4月にも利上げを停止するとみられる一方、RBNZ(NZ中銀)は今後さらに利上げする可能性があります。RBAとRBNZの金融政策面からみれば、豪ドル/NZドルは軟調に推移しそうです。
ただし、RBAと比べて遅くなるとしても、RBNZもいずれ利上げを停止すると考えられます。豪ドル/NZドルは下落したとしても、いずれ上昇に転じる可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・RBA(豪中銀)はいつ利上げを停止するか。
・米FRBと日銀の金融政策。
・投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)。リスクオフは豪ドルの下落要因。
・資源(主に鉄鉱石)価格の動向(資源価格の下落は豪ドルの下落要因)。
・中国経済の動向。中国経済の減速は豪ドルにとってマイナス材料。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は21年10月に利上げを開始し、23年2月の政策会合まで10会合連続で利上げを行いました(3/24時点の政策金利は4.75%)。
RBNZは2月に公表した金融政策報告で、政策金利は23年10-12月期に5.50%でピークに達するとの見通しを示しました。一方で、3月に入ってからの金融不安の高まりを受け、市場では利上げ観測が後退しており、市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップ)によれば、RBNZの政策金利のピーク水準の見方は5.00%と5.25%とで割れています。利上げはあと1回か2回と市場はみているようです(1回の利上げ幅は0.25%と仮定)。
RBNZが利上げを停止すれば、NZドルのプラス材料がはく落することになります。ただ、NZドル/米ドルについては、米FRBの金融政策も重要です。FRBが利上げを停止する場合、金融政策面からみれば、NZドル/米ドルには明確な方向感が出にくいかもしれません。日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の修正や撤廃へと動けば、NZドル/円は上値が重い展開になる可能性があります。
NZドルは豪ドルと同様に、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)にも影響を受けやすいという特徴があります。主要国の株価が下落を続けるなどしてリスクオフ(リスク回避)の動きが強まる場合、NZドル/円やNZドル/米ドルの下落要因になるかもしれません。
<注目点・イベントなど>
・RBNZ(NZ中銀)はいつ利上げを停止するか。
・米FRBと日銀の金融政策。
・投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)。リスクオフはNZドルの下落要因。
・中国経済の動向。中国経済の減速はNZドルにとってマイナス材料。
・乳製品(NZ最大の輸出品)価格の動向(乳製品価格の上昇はNZドルの上昇要因)。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は3月8日に政策会合を開き、政策金利を4.50%に据え置くことを決定。22年3月に開始した利上げを停止しました。
BOCは声明で、「経済がBOCの見通しにおおむね沿って推移することを条件に、政策金利を現在の水準に維持する」との方針を改めて表明。一方で、「インフレ率を2%の目標に戻すために必要であれば、政策金利をさらに引き上げる用意がある」とし、利上げ再開の可能性は残しました。
ただBOCの会合後、米シリコンバレー銀行の破たんをきっかけに金融不安が高まったことで、市場では「BOCの次の一手は、利上げではなく利下げ」との見方が有力になりました。今後、BOCの利下げ観測が一段と強まる、あるいは実際に利下げが行われれば、カナダドルは軟調に推移しそう。日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の修正や撤廃を行う場合、カナダドル/円は下押しする可能性があります。米ドル/カナダドルについては、米FRBの利下げ観測が市場で強まれば、明確な方向感が出にくいかもしれません。
カナダドル/円と米ドル/カナダドルのいずれも、原油価格の動向にも目を向ける必要がありそうです。世界的な景気減速への懸念が強まる場合、原油価格(米WTI原油先物が代表的な指標)には下押し圧力が加わりやすくなると考えられます。原油価格の下落はカナダドル安材料です。
<注目点・イベントなど>
・BOC(カナダ中銀)が利下げに転じるかどうか。
・日銀の金融政策。
・米FRBは利上げを停止して利下げに転じるかどうか。
・資源(特に原油)価格の動向(資源価格の下落はカナダドル安材料)。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は22年8月~11月までの4会合連続で利下げを実施。その後、12月と23年1月は政策金利を据え置いたものの、2月の政策会合で0.50%の利下げを行いました。TCMBの政策金利は3月24日時点で8.50%です。
トルコのCPI(消費者物価指数)上昇率は、22年10月の85.51%をピークに鈍化傾向にあるものの、それでもなお50%を超えています(23年2月は55.18%)。
高インフレにもかかわらず、TCMBが利下げを行ったのは、低金利を求めるエルドアン大統領の圧力によるものと考えられます。そして、TCMBの独立性の欠如がトルコリラに対する下押し圧力となり続けています。
トルコでは、5月14日に大統領選が実施されます。この結果がトルコリラの動向に影響を与えそうです。エルドアン大統領が勝利すれば、TCMBの金融政策に大統領が介入する状況は変わらず、TCMBがインフレを抑制するために利上げするのは困難と考えられます。トルコリラ/円には下押し圧力が加わりやすいとみられます。一方、野党候補が大統領選に勝利すれば、TCMBは利上げしやすくなると考えられるため、トルコリラ/円は上昇傾向に転じる可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・トルコ大統領選でエルドアン大統領が再選するか否か。
・トルコの外貨準備は枯渇しないか。
・トルコと米国やEUとの関係は改善するか。
・シリア情勢など地政学リスクには要注意。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は21年11月に利上げを開始し、23年1月まで8会合連続で利上げを実施しました。3月24日時点でSARBの政策金利は7.25%です。
市場では、SARBは3月30日の政策会合で0.25%の利上げを行い、それをもって利上げを停止するとの観測があります。SARBが実際に利上げを停止すれば、南アフリカランド/円は軟調に推移する可能性があります。
発電設備の老朽化などによって南アフリカは慢性的な電力不足に陥っており、計画停電が頻発しています。計画停電は経済活動を阻害するため、計画停電が続く場合には南アフリカの景気をめぐる懸念が市場で強まり、南アフリカランド/円が下押しする可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・SARB(南アフリカ中銀)は利上げを停止するか否か。
・計画停電が続く場合、南アフリカの景気をめぐる懸念が強まりそう。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は21年6月に利上げを開始し、23年2月まで15会合連続で利上げを実施しました。3月24日時点でBOMの政策金利は11.00%です。
3月30日に行われる会合では、政策金利はさらに0.25%引き上げられるとみられる一方、BOMは近く利上げを停止する可能性があります。メキシコの3月前半のCPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比7.12%、農産物やエネルギーを除いたコア指数が同8.15%でした。コア指数のいずれも2月前半(総合:7.76%、コア:8.38%)から上昇率が鈍化したうえ、これまでの利上げの効果が今後さらに出てくると考えられるからです。
BOMが実際に利上げを停止すれば、メキシコペソ高要因が減退することになり、メキシコペソ/円の上値を抑える材料になりそうです。日銀がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の修正や撤廃へと動く場合には、メキシコペソ/円は軟調に推移する可能性があります。
メキシコペソはカナダドルと同様、原油価格の動向にも目を向ける必要があります。原油価格の下落はメキシコペソ安材料です。
<注目点・イベントなど>
・BOM(メキシコ中銀)は利上げをいつ停止するか。
・日銀の金融政策。
・資源(特に原油)価格の動向(資源価格の下落はメキシコペソの下落要因)。
・メキシコ最大の輸出先である米国経済の動向。
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