[資源・新興国通貨3/6~10のポイント&注目通貨] 豪中銀会合に注目、豪ドルが反応しそう

著者:八代和也
投稿:2023/03/06 12:27

今週のポイント

RBA(豪中銀)が7日に政策会合を開きます。RBAの声明が引き続きタカ派的な内容になるのかどうかに注目です。

8日はBOC(カナダ中銀)の政策会合があります。政策金利は4.50%に据え置かれそうです。BOCが1月会合時の声明で「累積的な利上げの効果の評価が行われる間、政策金利は現在の水準に維持されると予想される」と表明したからです。主要中銀の多くが利上げを続ける意向を示すなか、BOCが8日の会合で政策金利を据え置いて、声明で政策金利を今後も据え置く姿勢を示せば、カナダドルの上値を抑える要因になるかもしれません。

7日と8日にはパウエルFRB議長の議会証言があり、10日には米国の2月雇用統計が発表されます。豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルはこれらの結果にも影響を受けそうです。

日銀の金融政策決定会合が9日と10日に開かれます(会合の結果は10日に発表)。クロス円(豪ドル/円やNZドル/円、カナダドル/円など)は、日銀会合の結果に反応する可能性もあります。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.10000NZドル>

豪ドル/NZドルは先週(2/27- )、一時1.07NZドル台へと下落し、1月23日以来の安値をつけました。2月22日以降の豪ドル/NZドル下落の主な要因として、豪州の経済指標の軟調な結果や(※1)、RBNZ(NZ中銀)がタカ派的な姿勢を維持したこと(※2)が挙げられます。

(※1)豪州の22年10-12月期の賃金コスト指数は前年比3.3%(市場予想:3.5%)、同GDPは前期比0.5%(同0.8%)、1月CPIは前年比7.4%(同8.0%)でした。

(※2)RBNZは2月22日の政策会合で0.50%利上げすることを決定しました(政策金利を4.25%から4.75%へと引き上げ)。会合では「0.75%の利上げ」を行うことも検討されたほか、政策金利は 5.50%でピークに達するとの見通しを据え置きました。

RBA(豪中銀)の政策会合が3月7日に開かれます。会合では、0.25%利上げすることが決定されるとみられ、その通りの結果になればRBAの声明の内容に注目です。前回2月7日会合時の声明は、「高インフレは国民の生活を困難にして経済の機能を損なう」「高インフレが人々の期待に定着すれば、後でインフレを抑えるのに非常に大きなコストがかかることになる」と指摘。「インフレ率を目標値へと戻し、高インフレの局面を一時的なものにすることを確実にするため、今後数カ月間で政策金利のさらなる上昇が必要になると予想している」とし、追加利上げを強く示唆しました。

今回の声明が引き続きタカ派的な内容になれば、豪ドル/NZドルは200日移動平均線(3/6時点で1.09970NZドル)に向かって反発する可能性があります。

ロウRBA総裁が8日に講演する予定です。RBAの金融政策の先行きについて声明の内容以上のヒントが講演で示されれば、材料になりそうです。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34000カナダドル~1.38000カナダドル>

米ドル/カナダドルは2月24日に一時1.36604カナダドルへと上昇し、1月4日以来の高値をつけました。その後も1.36カナダドル前後で推移しており、高止まりしている状況です。

米FRBが今後さらに利上げを行う意向を示す一方、BOC(カナダ中銀)は利上げの停止を示唆しています。FRBとBOCの金融政策スタンスの差が、足もとの米ドル/カナダドル上昇の主な要因と考えられます。

今週は、パウエルFRB議長が議会で証言し(7日と8日)、BOCの政策会合があります(8日)。10日には米国とカナダの雇用統計が発表されます。BOC会合については、政策金利は現行の4.50%に据え置かれそうです。

パウエル議長の議会証言や米雇用統計で「FRBの利上げが長期化するとの観測」が強まり、BOC会合やカナダの雇用統計で「BOCは政策金利を今後も据え置くとの観測」が強まれば、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそう。1.37003カナダドル(22/12/16高値)を超える可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想