賞味期限は短い…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/02/02 11:19

◆ 「パウエル発言」を経て… - “128円前半”に急落


少々驚いた…。

注目の「FOMC」では、想定通り「0.25%利上げ」が実施されました。
そして声明では「さらなる利上げ継続が適切」とされたこともあり、発表直後は“ドル買い”が進行しました。
ただその後に行われた「パウエルFRB議長・記者会見」では、こうした流れが“一転”しました。

「根強いインフレ」を警戒するパウエル議長は、これまで“タカ派”を貫いてきました。
このため“ハト派”に振れるマーケットに対して、今回も“修正(タカ派寄り)”で対峙するとの見方が一般的でした。
しかし『年内利下げは想定していない』とは述べたものの、『インフレ低下にさらなる証拠が必要』と述べています。
これが「想定ほど“タカ派”ではない」と捉えられたことで、マーケットは“ドル売り”一色へと傾斜しました。
こうして発表直後に“129.857円”へと押しあげられたドル円は、明けて本日東京タイム序盤にかけて“128.177円”へと押し下げられています。

◆ ただ“タカ派”であることは変わらない…?


こうして「米利上げ停止」もしくは「米早期利下げ」に対する思惑が残存し、ドル円は“上値の重さ”を強いられているのが実状といえます。
ただ「想定ほど“タカ派”ではない」ということは、決して「“ハト派”に移行」したというわけではありません。
また昨日の動きにて「株高の連鎖」が進行しているだけに、“リスク選好→円売り”が持ち込まれる可能性も否めないところがあります。
さらには世界経済を取り巻く環境は芳しいとはいえませんので、“安全資産としてのドル買い”が残る可能性もあります。

◆ “もう一段”への懸念は残るが…?


本日は「欧・英の政策金利」がありますので、“米欧金利格差”あるいは“米英金利格差”が囃されるようなことがあると、“もう一段のドル売り”が進行する可能性は否めないところがあるのは事実です。
それでも「それらの賞味期限は短い」と見ながら、神経質なマーケットと対峙したいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

131.000(大台、日足・一目均衡表基準線)
130.904(週足・一目均衡表先行スパン上限)
130.612(1/26高値、1/30高値)
130.513(1/31高値)
130.407(2/1高値)
130.124(1/24~2/1の61.8%戻し)
130.045(ピボット1stレジスタンス、大台)
上値5:129.906(20日移動平均線)
上値4:129.821(1/24~2/1の50%戻し)
上値3:129.642(日足・一目均衡表転換線)
上値2:129.518(1/24~2/1の38.2%戻し)
上値1:129.000(大台)
前営業日終値:128.928
下値1:128.535(2/1安値、-1σ)
下値2:128.343(1/20安値)
下値3:128.173(ピボット1stサポート)
下値4:128.000(大台)
下値5:127.770(1/19安値)
127.554(1/18安値)
127.418(ピボット2ndサポート)
127.226(1/16安値、21/1/6~22/10/21の50%押し水準、月足・一目均衡表基準線)
127.000(大台)
126.860(22/5/30安値、-2σ)

《10:55》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想