■要約
APAMAN<8889>は、賃貸斡旋で国内最大級の「アパマンショップ」を直営・FCで展開し、賃貸管理・斡旋業務(Platform事業)やFC店から得られるシステム利用料・広告収入等(Technology事業)を収益源としている。持分法適用関連会社としてシステムソフト<7527>※1、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>※2がある。2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴い、スタンダード市場に移行した。
※1 同社と子会社のApaman Network(株)の出資を合算した出資比率は2022年9月末時点で24.2%。
※2 2022年9月期第1四半期に第三者割当増資をApaman Networkが引き受け、持分法適用関連会社となった。2022年9月末時点の出資比率は29.0%。
1. 2022年9月期の業績概要
2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比1.1%増の44,926百万円、営業利益で同39.6%増の1,893百万円と2期連続の増収増益となり、おおむね会社計画(売上高45,000百万円、営業利益1,800百万円)どおりに着地した。直営店舗の斡旋件数増加や管理物件の入居率上昇等によりPlatform事業が前期比1.0%増収となったほか、Technology事業も同4.3%増と主力2事業が増収となった。利益面では、DX推進による業務効率向上と管理物件の入居率上昇により、Platform事業が同32.7%増と大幅増益となったほか、Technology事業も同3.5%増益と堅調に推移した。その他事業において営業投資有価証券評価損を合計で2億円ほど計上しており、同要因を除けば連結業績の増益率はもう少し高かったことになる。主要KPIを見ると、2022年9月期末の直営店舗数は前期末比3店舗増の71店舗、FC店舗は同9店舗減の1,027店舗、管理戸数は同813戸減の90,608戸となった。管理戸数は減少したものの、解約件数については前期から3分の1に減少しており、顧客との関係強化が進んだものと評価される。また、新規事業として推進している借上社宅事業については、法人提携社数で同54社増の115社、斡旋提携社数で同224社増の3,189社と順調に拡大した。
2. 2023年9月期の業績見通し
2023年9月期の業績は、売上高で前期比1.7%増の45,700百万円、営業利益で同0.4%増の1,900百万円と着実な成長を見込んでいる。Platform事業はDX推進による業務効率の向上と賃貸管理戸数の積み上げ、社宅事業の拡大等によって着実な成長を目指す。一方、Technology事業についてもFC店舗向け新基幹システム「次世代AOS(Apamanshop Operating System)」の本格稼働に伴うFC店舗の収益力向上や、賃貸斡旋・管理事業者向けクラウドサービス「SKIPS」※の売上増を見込んでいる。営業利益については、「次世代AOS」の稼働に伴う減価償却費の増加が見込まれるものの、業務効率の向上や社宅事業及びクラウドサービスの成長等によりカバーできる見通しであり、営業投資有価証券評価損がなくなることも考慮すれば会社計画は保守的と言える。
※「SKIPS」は空室確認や内見予約、入居申込等をオンラインで可能とするクラウドサービス。2021年2月より運用を開始した。開発元はシステムソフトの子会社であるSS Technologies(株)。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、DXの推進と規模の拡大(社宅・管理戸数)に取り組む方針だ。DXの推進では「次世代AOS」や「SKIPS」などの運用によりグループの業務効率向上に取り組むほか、「SKIPS」については外販も進めることで収益の最大化を図る。賃貸管理物件については既存オーナーとの関係構築を図りながら解約件数の抑制と新規物件を積み上げることで規模を拡大するほか、サブリース物件の取り扱いを増やすことで収益を拡大する戦略となっている。借上社宅事業についても潜在需要は大きく、斡旋提携先数を増やしながら規模の拡大を図る。「SKIPS」及び社宅事業については2023年9月期で収支均衡、2024年9月期以降の利益貢献を目標としている。特にDXの推進については、業務効率の向上だけでなく顧客の利便性向上による集客力のアップにもつながるため、その取り組み次第で斡旋事業やTechnology事業の収益が大きく伸びる可能性もあり、今後の動向が注目される。
■Key Points
・賃貸管理・斡旋を中心としたPlatform事業とFC加盟店向けサービスを中心としたTechnology事業を両輪に展開
・2022年9月期はPlatform事業がけん引し2期連続増収、営業利益及び経常利益も大幅増益を達成
・2023年9月期業績は減価償却費の増加をDX推進による業務効率向上で吸収し、3期連続の増収と営業増益を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NS>
APAMAN<8889>は、賃貸斡旋で国内最大級の「アパマンショップ」を直営・FCで展開し、賃貸管理・斡旋業務(Platform事業)やFC店から得られるシステム利用料・広告収入等(Technology事業)を収益源としている。持分法適用関連会社としてシステムソフト<7527>※1、アーキテクツ・スタジオ・ジャパン<6085>※2がある。2022年4月の東京証券取引所市場再編に伴い、スタンダード市場に移行した。
※1 同社と子会社のApaman Network(株)の出資を合算した出資比率は2022年9月末時点で24.2%。
※2 2022年9月期第1四半期に第三者割当増資をApaman Networkが引き受け、持分法適用関連会社となった。2022年9月末時点の出資比率は29.0%。
1. 2022年9月期の業績概要
2022年9月期の連結業績は、売上高で前期比1.1%増の44,926百万円、営業利益で同39.6%増の1,893百万円と2期連続の増収増益となり、おおむね会社計画(売上高45,000百万円、営業利益1,800百万円)どおりに着地した。直営店舗の斡旋件数増加や管理物件の入居率上昇等によりPlatform事業が前期比1.0%増収となったほか、Technology事業も同4.3%増と主力2事業が増収となった。利益面では、DX推進による業務効率向上と管理物件の入居率上昇により、Platform事業が同32.7%増と大幅増益となったほか、Technology事業も同3.5%増益と堅調に推移した。その他事業において営業投資有価証券評価損を合計で2億円ほど計上しており、同要因を除けば連結業績の増益率はもう少し高かったことになる。主要KPIを見ると、2022年9月期末の直営店舗数は前期末比3店舗増の71店舗、FC店舗は同9店舗減の1,027店舗、管理戸数は同813戸減の90,608戸となった。管理戸数は減少したものの、解約件数については前期から3分の1に減少しており、顧客との関係強化が進んだものと評価される。また、新規事業として推進している借上社宅事業については、法人提携社数で同54社増の115社、斡旋提携社数で同224社増の3,189社と順調に拡大した。
2. 2023年9月期の業績見通し
2023年9月期の業績は、売上高で前期比1.7%増の45,700百万円、営業利益で同0.4%増の1,900百万円と着実な成長を見込んでいる。Platform事業はDX推進による業務効率の向上と賃貸管理戸数の積み上げ、社宅事業の拡大等によって着実な成長を目指す。一方、Technology事業についてもFC店舗向け新基幹システム「次世代AOS(Apamanshop Operating System)」の本格稼働に伴うFC店舗の収益力向上や、賃貸斡旋・管理事業者向けクラウドサービス「SKIPS」※の売上増を見込んでいる。営業利益については、「次世代AOS」の稼働に伴う減価償却費の増加が見込まれるものの、業務効率の向上や社宅事業及びクラウドサービスの成長等によりカバーできる見通しであり、営業投資有価証券評価損がなくなることも考慮すれば会社計画は保守的と言える。
※「SKIPS」は空室確認や内見予約、入居申込等をオンラインで可能とするクラウドサービス。2021年2月より運用を開始した。開発元はシステムソフトの子会社であるSS Technologies(株)。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、DXの推進と規模の拡大(社宅・管理戸数)に取り組む方針だ。DXの推進では「次世代AOS」や「SKIPS」などの運用によりグループの業務効率向上に取り組むほか、「SKIPS」については外販も進めることで収益の最大化を図る。賃貸管理物件については既存オーナーとの関係構築を図りながら解約件数の抑制と新規物件を積み上げることで規模を拡大するほか、サブリース物件の取り扱いを増やすことで収益を拡大する戦略となっている。借上社宅事業についても潜在需要は大きく、斡旋提携先数を増やしながら規模の拡大を図る。「SKIPS」及び社宅事業については2023年9月期で収支均衡、2024年9月期以降の利益貢献を目標としている。特にDXの推進については、業務効率の向上だけでなく顧客の利便性向上による集客力のアップにもつながるため、その取り組み次第で斡旋事業やTechnology事業の収益が大きく伸びる可能性もあり、今後の動向が注目される。
■Key Points
・賃貸管理・斡旋を中心としたPlatform事業とFC加盟店向けサービスを中心としたTechnology事業を両輪に展開
・2022年9月期はPlatform事業がけん引し2期連続増収、営業利益及び経常利益も大幅増益を達成
・2023年9月期業績は減価償却費の増加をDX推進による業務効率向上で吸収し、3期連続の増収と営業増益を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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