[資源・新興国通貨12/12~16のポイント&注目通貨]メキシコ中銀会合にメキシコペソが反応か

著者:八代和也
投稿:2022/12/12 17:02

今週のポイント

米FRBは12月13-14日にFOMC(米連邦公開市場委員会)を開きます。FOMC参加者による政策金利見通しやパウルFRB議長の会見に豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルが反応する可能性があります。米ドルが全般的に堅調に推移すれば、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下落圧力、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わるとみられます。

米国など主要国の株価動向にも目を向ける必要がありそうです。FRBが利上げを続けるとの観測が強まれば、主要国株価は下落するかもしれません。その場合にはリスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。リスクオフは米ドルや円の上昇要因です。

BOM(メキシコ中銀)は15日に政策会合を開きます。その結果がメキシコペソ/円の動向に影響を与える可能性があります。

BOMは、前回11月10日まで3会合連続で0.75%の利上げを行いました(利上げは11会合連続)。メキシコの11月CPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比7.80%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同8.51%。コア指数の上昇率は10月(8.42%)から高まったものの、総合指数の上昇率は2カ月連続で鈍化しました。これに加え、米FRBが13-14日のFOMCで0.50%利上げする可能性が高いことを考えると、BOMは15日の会合でこれまでよりも利上げ幅を縮小して0.50%の利上げを行うとみられます。

その通りの結果になれば、BOMの声明で金融政策の先行きについてのヒントが示されるかどうかに注目です。「BOMのターミナル・レート(政策金利の最終到達点)は11%前後」との見方が市場にはあります。15日の会合で0.50%利上げすることが決定されれば、BOMの政策金利は10.50%となり、市場が予想するターミナル・レートに近づきます。BOMの声明が利上げの停止が近いとの市場の観測を強める内容になれば、メキシコペソ安材料になる可能性があります。メキシコペソ/円は、米ドル/円の動向にも影響を受けそうですが、下押しするかもしれません。

今週の注目通貨ペア(1): <豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.05000NZドル~1.07000NZドル>

RBA(豪中銀)は10月と11月、12月の政策会合でいずれも0.25%の利上げを実施しました。一方、RBNZ(NZ中銀)は10月に0.50%、11月に0.75%の利上げを行ったうえ、11月の会合では1.00%の利上げも検討しました。こうしたRBAとRBNZの金融政策スタンスの差が下押し圧力となり、豪ドル/NZドルは12月7日に一時1.05310NZドルへと下落。21年12月以来、1年ぶりの安値をつけました。

RBAとRBNZの金融政策スタンスの差をみれば、豪ドル/NZドルには引き続き下押し圧力が加わりやすいと考えられます。ただ、RBAは近く利上げをいったん停止するとの観測が市場にはある中で、RBAは12月の会合時の声明で「今後さらに金利を引き上げると予想している」とし、追加利上げに含みを持たせました。このことが豪ドルを下支えし、豪ドル/NZドルの下落は一服する可能性もあります。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.34000カナダドル~1.39000カナダドル>

BOC(カナダ中銀)は12月7日に政策会合を開き、0.50%利上げすることを決定。政策金利を3.75%から4.25%へと引き上げました。

BOCは一方で、今回で利上げを停止する可能性もあることを示しました。声明では、これまでの「政策金利はさらに引き上げる必要があると予想している」との文言が削除され、「政策金利をさらに引き上げる必要があるかどうかを検討する」としました。これはカナダドルにとってマイナス材料と考えられます。

今週(12/12- )は、13日に米国のCPI(消費者物価指数)が発表され、13-14日にはFOMC(米連邦公開市場委員会)が開かれます。CPIやFOMCの結果次第では、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそう。米ドル/カナダドルは、1.38034カナダドル(11/3高値)を超える可能性あります。

原油価格の動向には注意が必要かもしれません。世界的な景気減速(原油の需要減少)への懸念から原油価格は下落傾向にあり、米WTI原油先物は9日に一時1バレル=70.08ドルへと下落。21年12月以来、1年ぶりの安値をつけました。原油価格の下落は、カナダドルにとってマイナス材料です。原油価格が下落を続ける場合、原油価格にも市場の意識が向いて米ドル/カナダドルの上昇要因になる可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想