今週のポイント
市場では、米FRBは次回11月1-2日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げを行うとみているものの、その次の12月のFOMCについては利上げペースを落とすとの観測が強まっています。CMEグループのFEDウォッチによると、21日時点で市場が織り込む12月FOMCでの利上げ幅の確率は、0.50%幅が51.8%、0.75%幅は45.6%(11月FOMCで0.75%利上げすると仮定)。14日時点で0.75%幅の利上げの確率は、69.8%でした。
今週(10/24- )は、米国の7-9月期GDPや9月PCE(個人消費支出)デフレーターが発表されます。これらの経済指標がFRBの利上げペース減速の観測を後退させるような結果になれば、米国の長期金利(10年物国債利回り)が上昇して米ドルが堅調に推移しそうです。豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下押し圧力が加わる可能性があります。米ドル/カナダドルについては、26日のBOC(カナダ中銀)の政策会合にも影響を受けるとみられます。
日本政府・日銀による為替介入(米ドル売り・円買い)には警戒する必要があります。為替介入によって米ドル/円が下落すれば、豪ドル/円やNZドル/円などクロス円は引きずられそうです。
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TCMB(トルコ中銀)は10月20日に政策会合を開き、1.50%の利下げを行うことを決定。政策金利を12.00%から10.50%へと引き下げました。利下げは3カ月連続です。
TCMBは声明で、「世界の経済成長に対する不確実性が増大し、地政学的なリスクが一段と高まる中で、鉱工業生産の増加と雇用の前向きな傾向を維持するためには、金融環境が引き続き支援的であることが重要だ」と指摘。利下げはトルコ景気を支援するためと説明しました。
トルコの9月CPI(消費者物価指数)は前年比83.45%と、上昇率は前月の80.21%から加速し、98年7月以来、24年2カ月ぶりの高い伸びとなりました。高インフレにもかかわらず、TCMBは3カ月連続の利下げに踏み切りました。政策金利を年内に1桁に低下するようにエルドアン・トルコ大統領は求めており、今回の利下げによってエルドアン大統領の金融政策における影響力の大きさが改めて浮き彫りになりました。
TCMBの声明はまた、「(今回の会合では)次回会合で同様の措置を講じ、利下げサイクルを終了することを検討した」と表明。次回11月24日の会合でさらに1.50%の利下げを実施し、それをもっていったん利下げを打ち止めにする可能性を示しました。ただし、TCMBの金融政策はエルドアン大統領の考え次第で変わるとの懸念があります。トルコリラ/円は、米ドル/円の影響も受けるものの、上値が重い展開になりそうです。
今週の注目通貨ペア(1): <豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.09000NZドル~1.12000NZドル>
豪ドル/NZドルは10月24日に約1カ月ぶりの安値をつけました。足もとの豪ドル/NZドル下落の主な要因として、RBA(豪中銀)とRBNZ(NZ中銀)の金融政策スタンスの違いが挙げられます。RBAは4日の政策会合で利上げすることを決定したものの、利上げ幅をこれまでの0.50%から0.25%へと縮小しました。一方、RBNZは5日の政策会合で0.50%利上げすることを決定し、会合では0.75%の利上げを行うことも検討されました。NZの7-9月期CPI(消費者物価指数)が前年比7.2%と、市場予想の6.6%を上回ったことも、豪ドル/NZドルの重石です。市場の金融政策見通しを反映するOIS(翌日物金利スワップによると、市場ではRBAは次回11月1日の会合で0.25%の利上げを行う、RBNZは次回11月23日の会合で0.75%利上げするとの見方が有力です。
豪州の7-9月期CPIが26日に発表されます。それが市場予想(総合指数:前年比7.0%、トリム平均値:同5.6%)を下回る結果になれば、豪ドル/NZドルはさらに下落する可能性があります。
今週の注目通貨ペア(2): <米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.40000カナダドル>
BOC(カナダ中銀)は10月26日に政策会合を開きます。カナダの9月CPI(消費者物価指数)は前年比6.9%と、上昇率は8月の7.0%から鈍化したものの、BOCのインフレ目標(2%を中心に1~3%)を引き続き大きく上回りました。また、3つのコアインフレ指標も、CPIトリム値が前年比5.2%、CPI中央値が同4.7%、CPI共通値は同6.0%と、上昇率はいずれも8月から変わりませんでした。
インフレ率が高止まりしていることから、BOCは26日の会合で利上げを行うことを決定しそう。利上げ幅については、市場では0.50%と0.75%で見方が分かれています。また、BOCの声明や会合後に行われるマックレムBOC総裁の会見にも注目です。声明や会見ではBOCの今後の利上げペースについてのヒントが示されるかどうかが焦点になりそうです。
BOCが26日の会合で0.75%の利上げを行い、さらに声明やマックレム総裁の会見で今後も積極的に利上げすることもあり得るとの見解が示されれば、カナダドルの支援材料になると考えられます。米ドル/カナダドルは軟調に推移しそうです。
米国の長期金利(10年物国債利回り)や米国など主要国の株価動向には要注意です。米長期金利が上昇を続ける、あるいは主要国株価が下落を続ければ、米ドル高が全般的に進んで米ドル/カナダドルには下落圧力が加わる可能性があります。
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