[資源・新興国通貨10/10~14のポイント&注目通貨]米長期金利や主要国株価に影響を受けやすい!?

著者:八代和也
投稿:2022/10/11 10:54

今週のポイント

今週(10/10- )は、豪州やNZ、カナダの経済指標の発表は少なく、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルは米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向に影響を受けやすいとみられます。

米FRBが積極的な利上げを続けるとの観測から、米長期金利は堅調に推移する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移し、豪ドル/米ドルやNZドル/米ドルには下落圧力が加わり、一方で米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそうです。

主要国の株価動向には要注意です。FRBの利上げ観測が強まること、米長期金利の上昇は、株価にとってマイナス材料になると考えられます。主要国の株価が下落を続ける場合、リスクオフ(リスク回避)の動きが強まる可能性があります。リスクオフは米ドルや円の上昇要因です。米ドル/カナダドルやカナダドル/円、メキシコペソ/円は、原油価格(米WTI原油先物等)の動向にも注目です。原油安はカナダドルやメキシコペソにとってマイナス材料です。

今週の注目通貨ペア(1):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.38500カナダドル>

今週(10/10- )は、カナダの経済指標の発表は少なく、米ドル/カナダドルは米国の長期金利(10年物国債利回り)や原油価格、主要国株価の動向に影響を受けやすい地合いになりそうです。

市場では、米FRBが11月1-2日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で0.75%の利上げを行うとの見方が有力です。13日のCPI(消費者物価指数)など米経済指標がFRBの利上げ観測を一段と強める結果になれば、米長期金利が上昇して米ドル高が進み、米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わりそうです。

FRBの利上げ観測が一段と強まる場合、原油価格(米WTI原油先物など)や主要国株価が下押しする可能性があります。原油安や主要国株価の下落は、米ドル/カナダドルの上昇要因と考えられます。米ドル/カナダドルは、1.38283カナダドル(9/28高値)が目先の上値メドです。

今週の注目通貨ペア(2):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.12000NZドル~1.15000NZドル>

RBA(豪中銀)は10月4日に政策会合を開き、0.25%の利上げを行うことを決定。政策金利を2.35%から2.60%へと引き上げました。利上げ幅は、6月・7月・8月・9月の0.50%から縮小されました。

RBAの声明は、ハト派的な内容でした。声明は、追加利上げの可能性に言及したものの、前回9月会合時にあった「数カ月」の文言を削除。前回の「今後数カ月でさらに政策金利を引き上げると予想している」から「今後さらに政策金利を引き上げると予想している」へと変更しました。「数カ月」は複数回の利上げを示唆する一方、「今後さらに」は1回だけの可能性も示していると解釈できます。

一方、RBNZ(NZ中銀)は5日に政策会合を開き、0.50%の利上げを行うことを決定。政策金利を3.00%から3.50%へと引き上げました。0.50%幅の利上げは、5会合連続です。

RBNZの声明と議事録は、タカ派的な内容でした。声明は、「インフレ率を1~3%の目標レンジ内に戻すために、支出が十分に抑制されていると確信できるまで、金融引き締め(=利上げ)を続ける必要がある」と改めて表明。「金融政策の責務を達成するために断固とした姿勢で取り組む」との文言も前回8月会合時から変化はありませんでした。

今回の会合では、0.75%の利上げも検討されたことが議事録で判明。議事録はまた、「NZドル安は長期的にみればNZの経常収支のリバランスに寄与するものの、NZドルの下落が続けばインフレ率にさらなる上振れリスクをもたらす」とし、NZドル安によるインフレ率の上振れリスクに言及しました。

足もとの豪ドル/NZドルは、全般的に米ドル高が進む中で「豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルの変動幅の差」に影響を受けやすい地合いになっています。豪ドル/NZドルは9月下旬に1.15NZドルに接近しましたが、それは豪ドル/米ドル以上にNZドル/米ドルが下落した影響が大きいと考えられます。

ただ、RBAは利上げ幅を縮小し、声明の内容はRBAがハト派的でRBNZはタカ派的でした。RBAとRBNZの金融政策スタンスに市場の意識が向かえば、豪ドル/NZドルは下値を試す可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想