【IRアナリストレポート】レシップホールディングス(7213)

著者:鈴木 行生
投稿:2022/09/02 14:12

~バスのAFC(運賃システム)、TMS(運行管理システム)で先進~

【ポイント】
・コロナ禍の影響が長引いている。人の流れの戻りはまだ十分ではない。バス会社の投資意欲は好転しているが、案件は来期からにずれ込みそうである。来年には、2024年の新紙幣の発行に向けて、バスの運賃箱やシステムの更新需要が全国的に出てこよう。米国市場での受注増、採算好転から海外部門の収益も黒字を目指すことができよう。

・原材料コストの上昇に合わせて、価格転嫁を図っていく方針である。来期の需要増に向けて、生産計画も的確に組んでいく必要があり、人材の確保も重要である。今2023年3月期の業績はまだ低調ながら、来期は本格回復に向かおう。

・10年ビジョンを策定し、2022年3月期から3ヵ年経営計画をスタートさせた。2030年度で、売上高300億円、営業利益率10%を目指す。この3ヵ年では、売上高200億円、営業利益率5%の達成を掲げているが、この目標は達成可能であろう。

・MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の一翼を担う当社の路線バス運行支援システム「LIVU」(ライブ:LECIP Intelligent Vehicle Unit)を活用したバスロケーションシステムは、バス会社で採用が始まっている。新しいプラットフォームとして業界の先陣を切っており、いずれ需要に結びついてこよう。乗車券購入アプリ「QUICK RIDE」は、キャッシュレス化支援が高く評価され、回数券、定期券への利用も進み始めた。

・米国では、バス用の新型運賃箱LF-7000で新規受注に成功した。SaaS型の初の受注なので、次の展開が期待できよう。米国での受注拡大が進むと、海外事業の黒字化が見えてこよう。欧州子会社で開発したキャッシュレス運賃収受器LV-700は、欧州の公共バスや路面電車で実用化に進もう。日本国内への導入も、初納入で実績を作った。

・当社は、AFC(自動運賃収受システム)+TMS(運行管理システム)+EMS(エネルギーマネジメントシステム)を事業のコアとする。EMSについては、産業用EVのバッテリーなど事業ドメインを再定義して、バッテリー遠隔監視システムなどで新たな展開をめざす。プライム市場の条件適合に向けて、収益力のもう一段の向上が求められる。海外市場の開拓に注目したい。

目次
1.特色 情報処理(非接触ICカード利用)、電力変換(電源)、 光(LED)が得意
2.強み バスの運賃収受システムで国内シェア6割強を有するトップメーカー
3.中期経営計画 新ビジョンと中期計画でMaaSと海外市場開拓を推進
4.当面の業績 コロナ禍の影響を克服しつつ来期から業績は本格回復へ
5.企業評価 内外での新規受注案件の仕上がりに注目

レシップホールディングス <7213>
企業レーティング B
株価
(2022年9月1日)
530円
時価総額 75億円
(14.18百万株)
PBR 1.61倍
ROE 13.0%
PER 12.4倍
配当利回り 1.4%
総資産 12951百万円
純資産 4228百万円
自己資本比率 32.7%
BPS 328.9円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2013.3 13480 477 526 292 23.4 7.5
2014.3 14157 151 164 -98 -9.1 8.5
2015.3 20215 603 779 227 20.8 8.5
2016.3 16203 -571 -649 -1378 -125.3 7.5
2017.3 16985 483 354 50 4.6 7.5
2018.3 15749 -235 -248 -454 -40.9 7.5
2019.3 21538 1021 1030 438 38.8 8.5
2020.3 26051 1854 1830 891 74.4 8.5
2021.3 15553 -40 35 -124 -9.8 5.0
2022.3 14075 149 325 53 4.2 5.0
2023.3(予) 18500 450 430 80 6.2 5.0
2024.3(予) 20000 1000 1000 550 42.8 7.5

(2022.6ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは来期予想ベース。2005年11月1:10、2014年4月1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/reshiltupuHD202209.pdf
 

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配信元: みんかぶ株式コラム

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