豪ドル/円、目先は上値切り上げも!ただし8月の留意点は・・・

著者:津田隆光
投稿:2022/07/28 13:15

遅行スパンの好転成否に要注目!

豪ドル/円・日足・複合チャート
豪ドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】遅行スパンの動向
【シナリオ①】“好転”示現なら、「96.815円」付近、ないしはそれ以上の水準までの上値切り上げ
【シナリオ②】“好転フェイク(ダマし)”なら、「93.800円」付近までの下押しもあり得そう
【当面の“主戦場”(コアレンジ)】「93.800~96.815円」
【留意点】『8月=豪ドル安アノマリー』


ここもと、上値切り上げの動きとなっている豪ドル/円。もう一段の上値トライを示唆するメルクマールが出現しつつあります。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態になっていること、3) ローソク足の下方に青色雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、そして4) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がり推移となっている(上図赤色点線丸印)ことから、豪ドル/円・日足チャートは、下値しっかりの相場付きを示唆するチャート形状であると判断します。

喫緊の注目ポイントは・・・遅行スパンの動向(上図黄色矢印、26日遅行)。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて、遅行スパンがローソク足を上抜ける“好転”となった場合は、「現在レート>約1カ月前における市場参加者の取得レート」→「買い方優勢(フェイバー)/売り方劣勢(アゲインスト)」→「もう一段の上昇」となる可能性も。当該ケースでは、「上昇バンドウォークの継続」や「+DI>-DIの乖離拡大」も伴いながら、直近高値である「96.815円」(上図Ⓐ赤色線)、あるいはそれ以上の水準までの上値切り上げもあり得そうです。

[シナリオ②]
一方で、遅行スパンがローソク足上抜け不達である“好転フェイク(ダマし)”となった場合は、「現在レート<約1カ月前における市場参加者の取得レート」→「売り方優勢(フェイバー)/買い方劣勢(アゲインスト)」→「一旦の下落」となる可能性も。当該ケースでは、「上昇バンドウォーク崩れ」や「+DI>-DIの乖離縮小」も伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストである21日MAを基準とする「93.800円」(上図Ⓑ水色線)付近までの下押しもあり得そうです。ただし、現時点では分厚い青色雲(=強い下値支持帯)となっていることから、下値余地は限定的と見て良いでしょう。


上記シナリオ①および②を概括すると、当面※の豪ドル/円は下値しっかりの相場付きが継続し、「93.800~96.815円」のゾーンを“主戦場”(コアレンジ)とする動きとなりそうです。 (※ここでの「当面」は1~2週間のスパンを想定しています。)

8月は豪ドル/円が下がりやすい!?

豪ドル/円、過去10年および過去20年における8月陽線/陰線表
豪ドル/円、過去10年および過去20年における8月陽線/陰線表出所:筆者作成

他方、次週からスタートする8月相場に関して、気になるデータ・傾向が。

上図にある、過去10年間(2012年~、上部)および過去20年間(2002年~、上部+下部)における豪ドル/円の8月陽線/陰線動向(陽線引け:〇、陰線引け:×)および同月陰線確率を記した表より、豪ドル/円の8月相場については、以下のようなデータ・傾向が読み取れます。


■過去10年(2012~2021年)における豪ドル/円の【8月陰線引け】確率は.800。
■過去20年(2002~2021年)            〃       .800。


このデータ・傾向を以て、今回の8月相場も必ずそうなるという結論には至りませんが、季節的なアノマリーをベースにすると、過去20年中16年は「8月=豪ドル/円の陰線引け」となっていることから、『8月は豪ドル/円が下がりやすい(=陰線引けになりやすい)傾向がある。』との仮説を立てることが可能です。


以上を総合すると、今後の豪ドル/円に関しては、短期的には「下値しっかり」かつ「上値トライ」の相場付きとなる蓋然性(がいぜんせい)が高いものの、季節的アノマリーに準じると、「8月は一旦下押しフロー」となる可能性、換言すると『“鬼門”の8月相場』についても一部念頭に入れた方が良さそうです。

よって、適宜ストップロスやOCO、ならびにトレールストップなどを利用した「出口戦略」も取り入れながら、トレード戦略を組み立てるのも一案と言えるでしょう。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想