ユーロ/英ポンド、ここからの戦略は?

著者:津田隆光
投稿:2022/07/22 10:52

ECB、11年ぶりの利上げ!発表後はスパイクハイの動きに

ユーロ/英ポンド・日足・複合チャート
ユーロ/英ポンド・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】「0.85550ポンド」を上抜け突破するか否か
【シナリオ①】同レートを上抜け突破なら、「0.86660ポンド」付近までの上昇も視野
【シナリオ②】同レートで上値抑制なら、「0.84000ポンド」付近までの下落もあり得そう
【投資戦略アイデア】戻り売り
【留意点】チャートシグナルの“フェイク(ダマし)”


昨日(21日)、ECB(欧中銀)が11年ぶりとなる利上げを実施したこと、またその利上げ幅が22年ぶりの大きさとなる0.50%であったこともあり、発表直後のユーロは主要通貨に対して瞬間的に棒上げとなるスパイクハイの動きに。同日のユーロ/英ポンドについても、約1カ月における市場参加者の平均コストを示す21日MA(移動平均線)や上値抵抗帯として機能する赤色雲の上辺である先行2スパンを上抜け突破し、一時「0.85792ポンド」まで上昇する動きとなりました。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MAが右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足に絡み合う状態となっていること、3) ローソク足が赤色雲(=抵抗帯)の中で推移していること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして5) DMI(方向性指数)で僅かながら-DI>+DIとなり、ADXが低位置での推移となっている(上図青色点線丸印)ことから、ユーロ/英ポンド・日足チャートは、上方硬直性を伴うレンジ相場を示唆するチャート形状であると判断します。

今後の注目ポイントは・・・赤色雲の上辺である先行2スパンを基準とする「0.85550ポンド」(上図黄色矢印および黒色線)を上抜け突破するか否か。

筆者が予想する今後のシナリオは以下の通りです。(シナリオ①、②)


[シナリオ①]
これからの時間にかけて、「0.85550ポンド」を終値ベースで上抜け突破した場合は、「上値抵抗帯突破」→「もう一段の上値切り上げ」となる可能性も。当該ケースでは、「BB(ボリンジャーバンド)・+1σライン(≒0.86000ポンド)超え」や「+DI>-DIへの変化」も伴いながら、BB・+2σラインを基準とする「0.86660ポンド」(上図Ⓐ赤色線)付近までの上昇も視野に入れるべきでしょう。

[シナリオ②]
一方で、「0.85550ポンド」付近で上値を抑制された場合は、「上値抵抗圧力の増大」→「下押し加速」となる可能性も。当該ケースでは、「BB・-1σライン(≒0.84660ポンド)割れ」や「SARの売りサインへの転換」、さらには「-DI>+DIの乖離拡大」も伴いながら、BB・-2σラインを基準とする「0.84000ポンド」(上図Ⓑ水色線)付近までの下落もあり得そうです。


他方、ローソク足の形状を主眼とする動向分析をしてみると、昨日(21日)のユーロ/英ポンドのローソク足形状は上ヒゲの長い陽線である「上影(うわかげ)陽線」となっていることから、今後はやや弱含みの相場付きとなる可能性も。よって、上記[シナリオ②]をベースに「戻り売り」主体の投資戦略を構築するのも一案でしょう。

その場合は、チャートシグナルの“フェイク(ダマし)”には十分留意しつつ、適宜ストップロスオーダーやOCO注文を設定し、リスク管理を最優先事項として取り組んでいただければと思います。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想