■事業概要
CAICA DIGITAL<2315>は、金融業界向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業、暗号資産に関する金融商品の開発・販売、暗号資産交換所運営等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。高い信頼性や処理能力などが求められる金融業界向けのシステム開発を中心として、長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400名)がブロックチェーン技術者となる計画を実行しているところも特長的である。ブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野に位置付けており、とりわけ暗号資産交換所向けのシステム開発や暗号資産関連の新商品の開発・販売など、暗号資産関連ビジネスへの取り組みを加速するとともに、様々な分野で将来性が期待されているNFT分野※にも注力している。
※「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能な固有の価値を持つデジタルトークンのこと。不動産やアートなどの所有権(唯一性)や、トレーディングカード及びゲーム内のアイテム(希少性)など、多くの分野での活用が進められている。
また、第一種金融商品取引業であるカイカ証券や、暗号資産交換所「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤を生かすことで、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)にも取り組む方向性であり、同社は新たなステージを迎えようとしている。2021年11月に同社商号を「株式会社CAICA」から「株式会社CAICA DIGITAL」に変更するとともに、金融サービス事業の子会社※をCAICAブランドへと統一し、シナジー創出の本格化とブランド認知の向上を目指している。
※「eワラント証券株式会社」を「カイカ証券株式会社」へ、「株式会社Zaif Holdings」を「株式会社カイカエクスチェンジホールディングス」へ、「株式会社Zaif」を「株式会社カイカエクスチェンジ」へ(サービス名「Zaif」は継続使用)、「株式会社Zaif Capital」を「株式会社カイカキャピタル」に変更するとともに、会社分割により「株式会社カイカフィナンシャルホールディングス」を新設した。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) ITサービス事業
創業来の主力事業であり、50年以上の実績を誇る(株)CAICAテクノロジーズにより、銀行・証券・保険といった金融機関向けシステム開発(コンサルティングや保守・運用を含む)をはじめ、流通・小売業、情報通信業等、多様な業種でシステム構築を手掛けている。特に、金融業界向けのシステム開発が70%程度を占め、同社グループの強みの源泉となっている。大手SIerからコアパートナーの認定を受け、大手SIerを通じた受注(2次請け)が中心であるものの、基幹システムを担っている金融機関向けは継続率が高く、コロナ禍においても事業基盤は安定している。また、大企業からの1次請け受注も増加しており、安定性はさらに増している。
一方、暗号資産関連のシステム開発については、同社グループ内の暗号資産交換所「Zaif」のシステムインテグレーションを担っている。また、テレワークの広がりを受け、「セキュリティ・コンサルティング・サービス」※1やブロックチェーンコミュニケーションサービス「Gu-Gu(グーグー)」※2の提供も開始し、自社ブランド製品の販売比率向上にも取り組んでいる。さらには、ブロックチェーン技術を用いたアートの登録・管理システムの開発なども手掛けており、(株)レジストアート※3が提供する会員権プラットフォーム「crowd ART」※4を開発するとともに、NFTの発行・流通が可能なNFTプラットフォームの販売を開始し、アートや不動産取引などへの活用が期待されるNFT市場へいち早く参入した。
※1 現行のテレワーク環境の脆弱性診断や、課題の顕在化、課題対応方法の提案など、テレワークに関するあらゆるセキュリティ課題をサポートするサービス。
※2 2020年10月に販売開始した、テレワークにより不足している従業員間のコミュニケーションを活性化させるサービス。他のサービスと連携することを想定し、セキュアに情報連携・共有が可能なブロックチェーン基盤を採用している。
※3 ブロックチェーン技術による美術品登録サービス等を手掛けており、2018年3月に同社と資本業務提携を締結している。
※4 高額で資産性が高いアート作品等のコレクションに小口から参加できるプラットフォーム。
(2) 金融サービス事業
2018年2月に連結子会社となったカイカ証券(金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業)を中心に金融商品の企画・開発・組成・販売等を手掛けており、特に暗号資産関連商品の開発・販売に注力している。また、2021年3月には暗号資産交換所「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを連結子会社とし、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。カイカエクスチェンジグループは、主に暗号資産交換所「Zaif」における受入手数料や暗号資産売買の損益のほか、カイカキャピタルによる暗号資産の自己勘定による運用益によって成り立っている。
カイカ証券は、カバードワラントの商品設計、システム開発、安定運用等について、高度な専門知識と経験を持つスタッフを擁するとともに、日本における代表的な小口投資家向け店頭カバードワラントである「eワラント」を提供している。「eワラント」はこれまでオンライン証券を通じて取引されてきたが、2019年9月からはカイカ証券自身による直接販売「eワラント・ダイレクト」も開始した。特に、2021年2月以降は、暗号資産を原資産とした新商品として、「ビットコインレバレッジトラッカー」「イーサリアムレバレッジトラッカー」「ビットコイン先物インデックストラッカー」「イーサリアム先物インデックストラッカー」を相次いで発表すると、2021年7月には暗号資産CFD取引(差金決済取引)サービスを開始するなど、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて着々と基盤強化を進めてきた。今後も、カイカエクスチェンジグループとカイカ証券グループの連携強化により、デリバティブを含む、独自の暗号資産関連商品の開発・販売に注力していく方針である。
また、暗号資産交換所「Zaif」を運営するカイカエクスチェンジについては、現在、「Zaif」の顧客獲得や収益拡大を見据え、商品ラインナップの拡充に取り組んでいる。具体的には、次世代システム移行の第1弾として、「Zaifのかんたん売買」をリニューアルしたほか、「Zaifコイン積立」のリニューアル、コスプレトークン(COT)の取扱い開始、暗号資産の大口取引需要に対応するため専用の問合せ窓口「クリプトOTC デスク」の設置、「自動売買おてがるトレード」など、次々と新たなサービスを開始している。さらに2022年6月には、第一種金融商品取引業者として登録され、一層のサービス拡大を推進していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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CAICA DIGITAL<2315>は、金融業界向けを主としたシステム開発や暗号資産に関するシステム開発等を行う「ITサービス事業」及び、金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業、暗号資産に関する金融商品の開発・販売、暗号資産交換所運営等を手掛ける「金融サービス事業」の両輪で事業を展開している。高い信頼性や処理能力などが求められる金融業界向けのシステム開発を中心として、長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、同社グループ全技術者(約400名)がブロックチェーン技術者となる計画を実行しているところも特長的である。ブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野に位置付けており、とりわけ暗号資産交換所向けのシステム開発や暗号資産関連の新商品の開発・販売など、暗号資産関連ビジネスへの取り組みを加速するとともに、様々な分野で将来性が期待されているNFT分野※にも注力している。
※「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能な固有の価値を持つデジタルトークンのこと。不動産やアートなどの所有権(唯一性)や、トレーディングカード及びゲーム内のアイテム(希少性)など、多くの分野での活用が進められている。
また、第一種金融商品取引業であるカイカ証券や、暗号資産交換所「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤を生かすことで、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)にも取り組む方向性であり、同社は新たなステージを迎えようとしている。2021年11月に同社商号を「株式会社CAICA」から「株式会社CAICA DIGITAL」に変更するとともに、金融サービス事業の子会社※をCAICAブランドへと統一し、シナジー創出の本格化とブランド認知の向上を目指している。
※「eワラント証券株式会社」を「カイカ証券株式会社」へ、「株式会社Zaif Holdings」を「株式会社カイカエクスチェンジホールディングス」へ、「株式会社Zaif」を「株式会社カイカエクスチェンジ」へ(サービス名「Zaif」は継続使用)、「株式会社Zaif Capital」を「株式会社カイカキャピタル」に変更するとともに、会社分割により「株式会社カイカフィナンシャルホールディングス」を新設した。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) ITサービス事業
創業来の主力事業であり、50年以上の実績を誇る(株)CAICAテクノロジーズにより、銀行・証券・保険といった金融機関向けシステム開発(コンサルティングや保守・運用を含む)をはじめ、流通・小売業、情報通信業等、多様な業種でシステム構築を手掛けている。特に、金融業界向けのシステム開発が70%程度を占め、同社グループの強みの源泉となっている。大手SIerからコアパートナーの認定を受け、大手SIerを通じた受注(2次請け)が中心であるものの、基幹システムを担っている金融機関向けは継続率が高く、コロナ禍においても事業基盤は安定している。また、大企業からの1次請け受注も増加しており、安定性はさらに増している。
一方、暗号資産関連のシステム開発については、同社グループ内の暗号資産交換所「Zaif」のシステムインテグレーションを担っている。また、テレワークの広がりを受け、「セキュリティ・コンサルティング・サービス」※1やブロックチェーンコミュニケーションサービス「Gu-Gu(グーグー)」※2の提供も開始し、自社ブランド製品の販売比率向上にも取り組んでいる。さらには、ブロックチェーン技術を用いたアートの登録・管理システムの開発なども手掛けており、(株)レジストアート※3が提供する会員権プラットフォーム「crowd ART」※4を開発するとともに、NFTの発行・流通が可能なNFTプラットフォームの販売を開始し、アートや不動産取引などへの活用が期待されるNFT市場へいち早く参入した。
※1 現行のテレワーク環境の脆弱性診断や、課題の顕在化、課題対応方法の提案など、テレワークに関するあらゆるセキュリティ課題をサポートするサービス。
※2 2020年10月に販売開始した、テレワークにより不足している従業員間のコミュニケーションを活性化させるサービス。他のサービスと連携することを想定し、セキュアに情報連携・共有が可能なブロックチェーン基盤を採用している。
※3 ブロックチェーン技術による美術品登録サービス等を手掛けており、2018年3月に同社と資本業務提携を締結している。
※4 高額で資産性が高いアート作品等のコレクションに小口から参加できるプラットフォーム。
(2) 金融サービス事業
2018年2月に連結子会社となったカイカ証券(金融商品取引法に基づく第一種金融商品取引業)を中心に金融商品の企画・開発・組成・販売等を手掛けており、特に暗号資産関連商品の開発・販売に注力している。また、2021年3月には暗号資産交換所「Zaif」を擁するカイカエクスチェンジホールディングスを連結子会社とし、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて体制を整えた。カイカエクスチェンジグループは、主に暗号資産交換所「Zaif」における受入手数料や暗号資産売買の損益のほか、カイカキャピタルによる暗号資産の自己勘定による運用益によって成り立っている。
カイカ証券は、カバードワラントの商品設計、システム開発、安定運用等について、高度な専門知識と経験を持つスタッフを擁するとともに、日本における代表的な小口投資家向け店頭カバードワラントである「eワラント」を提供している。「eワラント」はこれまでオンライン証券を通じて取引されてきたが、2019年9月からはカイカ証券自身による直接販売「eワラント・ダイレクト」も開始した。特に、2021年2月以降は、暗号資産を原資産とした新商品として、「ビットコインレバレッジトラッカー」「イーサリアムレバレッジトラッカー」「ビットコイン先物インデックストラッカー」「イーサリアム先物インデックストラッカー」を相次いで発表すると、2021年7月には暗号資産CFD取引(差金決済取引)サービスを開始するなど、暗号資産関連ビジネスの拡大に向けて着々と基盤強化を進めてきた。今後も、カイカエクスチェンジグループとカイカ証券グループの連携強化により、デリバティブを含む、独自の暗号資産関連商品の開発・販売に注力していく方針である。
また、暗号資産交換所「Zaif」を運営するカイカエクスチェンジについては、現在、「Zaif」の顧客獲得や収益拡大を見据え、商品ラインナップの拡充に取り組んでいる。具体的には、次世代システム移行の第1弾として、「Zaifのかんたん売買」をリニューアルしたほか、「Zaifコイン積立」のリニューアル、コスプレトークン(COT)の取扱い開始、暗号資産の大口取引需要に対応するため専用の問合せ窓口「クリプトOTC デスク」の設置、「自動売買おてがるトレード」など、次々と新たなサービスを開始している。さらに2022年6月には、第一種金融商品取引業者として登録され、一層のサービス拡大を推進していく考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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