明日の株式相場に向けて=「不動産&メタバース」の材料株繚乱へ
きょう(28日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比178円高の2万7049円と4日続伸、2万7000円台を回復した。空売りの買い戻しは一巡したはずだが、日経平均は相変わらず強さを発揮、25日・75日移動平均線が収れんする2万7000円近辺は目先戻りいっぱいかと思われたものの、しぶとく売り物をこなし大台を替えた。前方に待つ日足一目均衡表の雲をにらみつつ、一段の上値を目指せるかどうかという局面にある。
市場関係者によると「4~6月期の四半期末のタイミングで、米国では年金系資金のリバランスの買いが入っている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。4~6月という3カ月タームで見た場合、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともにひたすら下値を切り下げる展開を余儀なくされており、足の長い年金系資金であればこの四半期末時点で大幅低下した株式のウエートを持ち上げておく必要性に迫られている、ということのようである。
同じ時間軸で日本株をみると、ハイボラティリティではあるものの、2万6000~2万8000円のボックス圏往来で米国株のように弱いチャートではない。とはいえ、4月初旬以降の外国為替市場での加速度的な円安進行を考慮すれば、ドル建てベースでみてかなりパフォーマンスが悪いことは確かであり、足もとで米系のファンドが自国と同様にリバランス目的の買いを入れていることは察しがつく。
また、きょうは受け渡しベースで実質6月最終売買日にあたり、ピンポイントで配当権利取り狙いの買いが誘導された。6月決算銘柄はともかくとして、12月決算はそれなりに多いので、中間期配当を確保するための駆け込み買いが全体株価の下支え効果をもたらした。また、配当再投資の動きもプラス要素となる。一方、先を見据えた場合、スケジュール的には7月上旬発表予定の6月の米雇用統計や中旬発表予定の6月の米CPIが鬼門といえ、7月前半は再び波乱含みの地合いとなる可能性がある。ここはボックス上限の2万8000円までの戻りを期待して無理に引っ張らず、主力株についてはいったんキャッシュ化を優先しておくところだろう。
ただし、個別株に焦点を合わせると、全体指数の動きとは関係なく足の軽い銘柄への資金の流れが活発化している。テーマ材料株に対する旺盛な物色意欲は健在であり、この流れに乗るという選択肢はもちろんある。目を向けたいのは原発関連の一角、不動産の中小型株、そして休養十分のメタバース関連だ。
原発再稼働に絡む思惑は、猛暑で電力需給逼迫が取り沙汰されていることで再びテーマとして意識され始めた。しばらく精彩を欠いていた東京電力ホールディングス<9501.T>が記録的な気温上昇で目を覚ましたかのように復活高の様相をみせている。目先は助川電気工業<7711.T>、東京エネシス<1945.T>、木村化工機<6378.T>などにも動きがみられる。
また、不動産関連の中小型株は要マークだ。不動産DXの担い手であるロードスターキャピタル<3482.T>が先駆したが、「クレア」ブランドで分譲マンションを展開するセントラル総合開発<3238.T>の上げ足も鮮烈で、きょうで10連騰となり、しかもストップ高に買われた。この2銘柄の動きは、コスモスイニシア<8844.T>、タカラレーベン<8897.T>、明和地所<8869.T>、新日本建物<8893.T>、アグレ都市デザイン<3467.T>といった銘柄群を突き動かす潮流へと発展する可能性を内包している。
そして、久々のメタバース旋風。Shinwa Wise Holdings<2437.T>は既に観賞用の領域に足を踏み入れているとしても、クシム<2345.T>がつむじ風に巻かれるような上昇トレンドを形成し、これも尋常ではない。“次”を探す動きにつながる公算大だ。ANAP<3189.T>、シーズメン<3083.T>、IMAGICA GROUP<6879.T>、そしてきょう大口の投資資金が流れ込んだバンク・オブ・イノベーション<4393.T>にも着目したい。
あすのスケジュールでは、5月の商業動態統計が朝方取引開始前に経済産業省から開示されるほか、午後取引時間中に6月の消費動向調査が内閣府から発表される。また、IPOが1社予定されており、グロース市場にマイクロアド<9553.T>が新規上場する。海外では5月の豪小売売上高、6月の独CPI、1~3月期米GDP確定値が発表される。なお、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁らが参加するパネル討議にも市場の関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
市場関係者によると「4~6月期の四半期末のタイミングで、米国では年金系資金のリバランスの買いが入っている」(ネット証券マーケットアナリスト)という。4~6月という3カ月タームで見た場合、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともにひたすら下値を切り下げる展開を余儀なくされており、足の長い年金系資金であればこの四半期末時点で大幅低下した株式のウエートを持ち上げておく必要性に迫られている、ということのようである。
同じ時間軸で日本株をみると、ハイボラティリティではあるものの、2万6000~2万8000円のボックス圏往来で米国株のように弱いチャートではない。とはいえ、4月初旬以降の外国為替市場での加速度的な円安進行を考慮すれば、ドル建てベースでみてかなりパフォーマンスが悪いことは確かであり、足もとで米系のファンドが自国と同様にリバランス目的の買いを入れていることは察しがつく。
また、きょうは受け渡しベースで実質6月最終売買日にあたり、ピンポイントで配当権利取り狙いの買いが誘導された。6月決算銘柄はともかくとして、12月決算はそれなりに多いので、中間期配当を確保するための駆け込み買いが全体株価の下支え効果をもたらした。また、配当再投資の動きもプラス要素となる。一方、先を見据えた場合、スケジュール的には7月上旬発表予定の6月の米雇用統計や中旬発表予定の6月の米CPIが鬼門といえ、7月前半は再び波乱含みの地合いとなる可能性がある。ここはボックス上限の2万8000円までの戻りを期待して無理に引っ張らず、主力株についてはいったんキャッシュ化を優先しておくところだろう。
ただし、個別株に焦点を合わせると、全体指数の動きとは関係なく足の軽い銘柄への資金の流れが活発化している。テーマ材料株に対する旺盛な物色意欲は健在であり、この流れに乗るという選択肢はもちろんある。目を向けたいのは原発関連の一角、不動産の中小型株、そして休養十分のメタバース関連だ。
原発再稼働に絡む思惑は、猛暑で電力需給逼迫が取り沙汰されていることで再びテーマとして意識され始めた。しばらく精彩を欠いていた東京電力ホールディングス<9501.T>が記録的な気温上昇で目を覚ましたかのように復活高の様相をみせている。目先は助川電気工業<7711.T>、東京エネシス<1945.T>、木村化工機<6378.T>などにも動きがみられる。
また、不動産関連の中小型株は要マークだ。不動産DXの担い手であるロードスターキャピタル<3482.T>が先駆したが、「クレア」ブランドで分譲マンションを展開するセントラル総合開発<3238.T>の上げ足も鮮烈で、きょうで10連騰となり、しかもストップ高に買われた。この2銘柄の動きは、コスモスイニシア<8844.T>、タカラレーベン<8897.T>、明和地所<8869.T>、新日本建物<8893.T>、アグレ都市デザイン<3467.T>といった銘柄群を突き動かす潮流へと発展する可能性を内包している。
そして、久々のメタバース旋風。Shinwa Wise Holdings<2437.T>は既に観賞用の領域に足を踏み入れているとしても、クシム<2345.T>がつむじ風に巻かれるような上昇トレンドを形成し、これも尋常ではない。“次”を探す動きにつながる公算大だ。ANAP<3189.T>、シーズメン<3083.T>、IMAGICA GROUP<6879.T>、そしてきょう大口の投資資金が流れ込んだバンク・オブ・イノベーション<4393.T>にも着目したい。
あすのスケジュールでは、5月の商業動態統計が朝方取引開始前に経済産業省から開示されるほか、午後取引時間中に6月の消費動向調査が内閣府から発表される。また、IPOが1社予定されており、グロース市場にマイクロアド<9553.T>が新規上場する。海外では5月の豪小売売上高、6月の独CPI、1~3月期米GDP確定値が発表される。なお、パウエルFRB議長、ラガルドECB総裁らが参加するパネル討議にも市場の関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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