「停戦合意の可能性も、市場はかなり反応薄」~黒岩の眼(朝刊)

著者:黒岩泰
投稿:2022/02/28 08:52

チャートは弱気形状を維持 戻り売り局面

http://chart.fisco.co.jp/mado

 先週末の米国株式相場は大幅高。ダウ工業株 30 種平均は 834.92 ドル高の 34058.75、ナスダック総合指数は 221.04 ポイント高の 13694.62 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 26380 円付近での推移。したがって、本日の日経平均はもみ合いスタートを想定。先週末の終値近辺から始まると思われる。

 日経平均の日足チャートでは先週末、リバウンドを試す動きとなった。ちょっとした底入れ感は出ているものの、明確な買いサインにはなっていない。

 そのようななか緊迫のウクライナ情勢は、ゼレンスキー大統領が前提条件なしでロシアとの交渉を表明。停戦合意がなされるかどうかが注目されている。

 市場では「ウクライナ侵攻は早期に終わる」との見方が広がり、一時的に買い戻しが優勢となった。ただ、その動きは続いていない。

 停戦合意が成立するかは依然として不透明だ。日経平均先物の反応も薄く、仮に買い戻しの動きがあったとしても、限定的となりそうだ。

 現時点で日経平均のチャートは「弱気形状」を維持しており、基本的には「戻り売り局面」。「停戦合意は成立しない」とみているようであり、投資家も基本的には「売りスタンス」を維持するしかないだろう。

 ロシア・プーチン大統領の目的は、ウクライナ政権を親ロ路線に切り替えること。そのための侵略、攻撃であり、それが成立するまで手を緩めるつもりはなさそうだ。同時に「核兵器の使用」もチラつかせており、その「本気度」がうかがえる。ウクライナが西側になびき、民主化、民衆蜂起の波が自国に及ぶのを最も恐れているのだろう。だから、それを阻止するために決死の覚悟で臨んでいる。

 投資家は「売りポジション」を持ちながら、底入れの有無を確認する局面だ。現時点では「底入れしない」可能性が高く、現状を維持するしかないだろう。3/4 には北京パラリンピックが開幕する。今回の侵攻が北京オリンピック開催後に行われたこともあり、「中国に敬意を表するかどうか」がひとつのポイントとなりそうだ。

【本日のレポート銘柄】
塩野義製薬<4507>
日本郵船<9101>
栄電子<7567>
Enjin<7370>

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想