スカパーJSATHD、通期業績予想に対し概ね順調な進捗 グローバル・モバイル分野が好調

投稿:2022/02/03 21:00

連結業績概況

松谷浩一氏(以下、松谷):松谷でございます。本日はお忙しい中、スカパーJSATホールディングス、2022年3月期第3四半期決算説明会にご参加いただきまして、ありがとうございます。決算の概要と、各事業の概況についてご説明します。

第3四半期の業績概要からご説明します。まず、連結営業収益は約884億円です。スライド表の下部に記載があるように、「収益認識に関する会計基準」等の適用により156億円の影響があり、それを踏まえて前年同期比で約15パーセントの減収となっています。通期計画に対しては、ほぼ計画どおりの進捗です。

営業利益は約163億円で、前年とほぼ同水準です。四半期純利益は約127億円、前年同期比で約12パーセントのプラスとなりました。営業利益、四半期純利益は、通期計画の90パーセントを超える進捗となっています。

しかし、第4四半期は、メディア事業において春のスポーツシーズンの開幕、あるいは配信事業強化に向けて、積極的なプロモーション展開を計画しています。両事業ともに、新型コロナウイルスの感染状況悪化による不透明感などを踏まえ、通期業績見通しは変更していません。

四半期別の連結業績推移(FY2020/1Q-FY2021/3Q)

スライドは、四半期ごとの営業収益、営業利益、四半期純利益を示しています。先ほどお伝えしたように、営業収益は今年度から「収益認識に関する会計基準」等を適用しているため、昨年度から落ち込んでいるように見えますが、利益にはほとんど影響を与えていません。

また、例年の第4四半期は、メディア事業において、スポーツシーズン開幕をターゲットとしたプロモーションを強化するため、第4四半期の利益水準は低くなっています。

セグメント別業績概況(3Q累計):宇宙事業

セグメント別の業績についてご説明します。宇宙事業の営業収益は約430億円です。「収益認識に関する会計基準」等の影響が21億円あったため、それを除くと18億円ほど前年を上回る収益となっています。

「Horizons 3e」を中心とするグローバル事業の成長や、衛星画像販売などの新領域でのビジネスの拡大、また国内のお客さまへの通信機器の販売収入などが増収に貢献しています。

営業利益は前年同期比9億円増の約110億円です。純利益ベースのセグメント利益は約20億円増の約86億円となりました。新型コロナウイルス感染拡大が航空業界へ与える影響は依然として深刻な状況で、残念ながら当社の収益においても、航空機需要のみを見ると昨年とほぼ同水準に留まっています。しかし、それ以外の事業において収益を積み重ね、セグメント全体は堅調に推移しています。

セグメント別業績概況(3Q累計):メディア事業

メディア事業の営業収益は約533億円です。「収益認識に関する会計基準」等の影響が135億円含まれていますが、これに加えて視聴料収入の減少などにより減収となりました。

営業利益は約58億円です。こちらも「収益認識に関する会計基準」等の影響が2億円含まれ、減益となっています。セグメント利益は、7億円減の約44億円となりました。

メディア事業の事業環境は、インターネット動画配信サービスとの競争により、放送の加入者数が減少しています。しかし、当社としては昨年10月に従来の動画配信サービス「スカパーオンデマンド」を全面リニューアルし、さらに有料の動画配信サービス「SPOOX」を立ち上げ、配信事業の強化を図っています。

また、第4四半期にはプロ野球などスポーツシーズンの開幕に向けて、放送・配信の両面で積極的なプロモーションを実施し、加入者の拡大を図りたいと考えています。

持続的成長に向けたシナリオ

過去の決算説明会でも折に触れてお伝えしていますが、宇宙事業においては、移動体通信、グローバル市場の取り込み、ビジネスインテリジェンス分野など新領域分野の拡大、メディア事業においては光回線経由の放送サービスの拡大や、配信事業「SPOOX」のサービス拡充、BtoB事業の拡大などを通して着実に成長し、中長期的な基礎収益力の強化を図っていきます。

航空・船舶(移動体通信)向けの販売

ここからは、宇宙事業、メディア事業において、それぞれの基礎収益力の強化、持続的成長に向けた具体的な取り組みの進捗についてご紹介します。

宇宙事業の移動体通信の市場についてご説明します。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、依然として厳しい事業環境ですが、成長分野である航空・船舶などの移動体通信市場向けの契約を獲得しています。

まずは、Intelsatの航空機インターネットサービス向けに、当社の「JCSAT-1C」の利用が決定しました。さらなる需要拡大が見込まれる日本およびアジアの上空において、高速で快適な機内Wi-Fiの接続環境を提供していきます。

また、今年1月に船舶向けとしてサービスを開始した、超高速海洋ブロードバンドサービス「JSATMarine」を、海底ケーブル敷設船「きずな」へ導入することが決定しました。テレワークとともにWeb会議が普及する中、船上においても陸上と同様の業務、コミュニケーションツールの利用を実現するほか、船舶のDX促進や乗組員の方の福利厚生の拡充に寄与します。

グローバルビジネスの更なる強化策

移動体通信市場と併せて成長を目指す、グローバル市場についてご説明します。グローバル市場におけるビジネスをさらに強化するために、シンガポール支店を1月に開設しました。さらに既存の香港、ジャカルタを含めた、アジア3拠点を統括するアジア事業部を設置しました。

アジア市場の携帯バックホールや移動体向け需要の確実な取り込みを図るほか、グループ事業全般に関する情報収集、発信、新規商材の戦略立案、ならびにグローバル人財育成、人的資本の強化を図っていきたいと考えています。

シンガポール支店をアジア太平洋向け販売戦略の柱とし、グローバル事業本部の営業収益を年平均8パーセントの成長率で拡大させたいと思います。

(株)QPS研究所との業務提携

新領域分野への取り組みについてご説明します。QPS研究所のシリーズBラウンドに、リードインベスターとして資本参加し、同社と小型SAR衛星を活用した新サービスの開発について業務提携しました。2030年までに約280億米ドルに達すると言われている衛星データサービスの市場を、当社はQPS研究所との業務提携により、積極的に開拓していきます。

具体的には、当社の営業力やネットワークを通じて、QPS研究所が提供する高分解能、高画質なSAR画像の販売体制を構築します。スライド下部のバリューチェーン図で言いますと、左側のデータ収集と、それを元にしたお客さまへの販売というかたちになります。

また、バリューチェーン図で色が濃くなっているところでも示すように、両社で連携し、衛星画像を活用したソリューションの開発を行います。さらに右図のように安全保障や防災関連のニーズに即した衛星システム、および光データ中継衛星などとの連携を含めた、観測システム全体に関する協同検討などを進めていきたいと考えています。

QPS研究所への出資と業務提携により、宇宙データバリューチェーンにおいて重要な上流域を強化し、2025年度までに、まずは画像データサービスの分野において現在の3倍の収益の獲得を目指します。

動画配信サービス「SPOOX」での新たな取り組み

メディア事業の配信事業のご説明に移ります。昨年10月に開始した配信サービス「SPOOX」での新たな取り組みをご紹介します。本日付けで、「SPOOX」において新商品の発売を発表しました。映画、ドラマ、アニメなど約3万タイトルが月額990円で見放題となる「バリュープラン」です。「ひかりTV」の協力を得て、手軽に「SPOOX」をお楽しみいただけるパッケージ商品を実現します。

さらに、新商品の発売に合わせて90日間の無料キャンペーンも実施します。加えて、「スカパー」放送サービス対象商品の契約者限定ですが、月額690円に割引するキャンペーンを5月に展開する予定です。サービスの拡充を図りながら本格的に「SPOOX」を打ち出していきます。

スカパー!基本プラン/プラットフォーム施策

放送サービスの状況についてご説明します。「スカパー」サービスの基幹商品である「基本プラン」の契約者数は、堅調に増加しています。昨年9月に契約者数が30万件を突破し、それ以降もスライド下部のプラットフォーム施策にあるとおり、施策を継続的に打ち出しています。

11月に行った、昭和・平成レトロといった懐かしいコンテンツを⼀挙放送する「なつエモ天国TV」、年末年始ならではの過ごし方を提案した⼀挙放送などの施策です。これらの施策により、基本プランの加入割合が着実に増えています。これはARPUの増加にも寄与する流れとなっています。

今後は、2月に「スカパー無料の3連休」と題して、基本プランを無料でお楽しみいただける機会を提供し、さらなる商品の認知・加入の増加を図っていきたいと考えています。

プロ野球の取り組み

多くのお客さまにお楽しみいただいている、プロ野球の取り組みについてご説明します。「スカパー」では、2022年もプロ野球セ・パ12球団のオープン戦全試合を生中継、公式戦も徹底中継します。毎シーズン好評いただいているプロ野球セットでは、見ごたえのある野球関連番組が盛りだくさんであることに加え、スマートフォンからでもプロ野球をお楽しみいただけます。

さらに、今回初の試みとして、仮想空間上でソフトバンクホークスのキャンプをお楽しみいただける「バーチャルホークスキャンプ2022」を実施します。宮崎キャンプに訪問できないホークスファンの方など、バーチャルでスタジアム内を好きに移動しながら、練習観戦やトークイベントなどをお楽しみいただきたいと考えています。

Space for your Smile~空から笑顔を届けるプロジェクト~

宇宙事業とメディア事業を両輪とする当社の強みを活かした、当社のグループミッションである「Space for your Smile」を具現化した取り組みをご紹介します。

コロナ禍でさまざまなメモリアルイベントを体験できなかった学生に対して、何かできることはないかと検討し始まった企画です。ANAとのコラボレーションにより、中高生100名を招待して空から特別な体験をプレゼントしたいと考えています。

「本企画が繋ぐ人々の笑顔」をドキュメンタリーとして記録し、「スカパー」「SPOOX」での放送・配信を企画しています。

脱炭素社会の実現に向けて

サステナビリティ経営に関して、今回は脱炭素社会の実現に向けた取り組みをご紹介します。当社ではサステナビリティ方針を定め、重要課題テーマと目標KPIを設定しており、こちらはそのうちの1つです。

「2030年にありたい姿」として定めた、グループ全体の再⽣可能エネルギー使⽤⽐率100パーセントに向けて、まずは24時間365⽇稼働している横浜衛星管制センターと茨城ネットワーク管制センターで、再⽣可能エネルギーを導⼊しました。前年度の当社グループの総使⽤量に照らすと、約30パーセントが再⽣可能エネルギー化される試算です。

こちらにより、2022年度は3,000トン以上のCO2排出量の削減を⾒込んでいます。メディア事業の拠点であるスカパー東京メディアセンターも含め、今後は他のグループ拠点でも、順次切り換えを推進していきます。

地上設備は再⽣可能エネルギーで運⽤し、衛星は太陽光発電で運⽤することで、当社の衛星事業はクリーンエネルギーでのサービス提供を図っていくということです。さらに、太陽光発電出⼒予測システムや次世代型⾵⼒発電へのサービス提供など、新しい事業の創出を通じた再⽣可能エネルギーの供給により、脱炭素社会の実現に寄与していきたいと思います。

株式市場における取り組み

直近の資本市場での動きや株主還元の状況を説明します。すでに公表されていますが、当社は申請したとおり4⽉から東証プライム市場に移⾏します。

配当は、計画どおり1株当たり年間18円を継続します。加えて、昨年8⽉から⾃⼰株式取得を実施しました。スライドに記載のとおり、取得した株式数は710万株強で、取得⾦額は30億円弱となったことをご報告します。

中長期的な成長投資を積極的に行うとともに、長期的かつ総合的な株主還元を図っていきたいと考えています。

以上でご説明を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。

質疑応答:宇宙事業 航空機向け販売の推移について

質問者1:宇宙事業の既存の衛星、新規衛星、国内や海外の状況についてです。新型コロナウイルスの影響により、今年度も、国内航空機のWi-Fi支援サービスのBtoB事業は減収と見ていたと思います。先ほど、前期比で横ばいとご説明がありましたが、第1四半期から第3四半期まで、国内航空機向けの売上のマイナスは具体的にどのようになっているのでしょうか?

第3四半期はすでにフラットということで、第4四半期までの通期でフラットなのか、あるいは第3四半期でも1年前と比べると増えており、上期のマイナスを下期で吸収して年間でフラットになるのか、売上の推移の解説をお願いします。

森合裕氏(以下、森合):大きな差異はないという意味で、フラットとご説明しましたが、細かく見ると、現状では前期より少しビハインドしています。

今期の第1四半期から第3四半期までの推移を見ると、少しずつ収益は増えてきています。しかし、前期の四半期毎の推移は単調に推移したわけではなく、四半期ごとにやや増減があったため、第1四半期、第2四半期、第3四半期ごとで比較すると、ばらつきがあります。

今期の推移ですが、少しずつ増収傾向にあります。しかし全体を総和すると、前期よりも少しマイナスの状況です。

質問者1:増収傾向と言われているのは四半期ごとに比較した場合だと思いますが、現状は9ヶ月累計で若干減っているということでしょうか?

森合:おっしゃるとおりです。

質問者1:そうすると、第4四半期の動きがどうなるのかということですね?

森合:そのとおりです。

質疑応答:「Horizons 3e」「JCSAT-1C」の現状や今後の見込みについて

質問者1:グローバル・モバイル分野は9ヶ月累計で6億円の増収になっていますが、昨年度は「Horizons 3e」の新しい衛星の売上がかなり増えて、今年はなだらかな増加になるというご説明がありました。一方で、もう1つの「JCSAT-1C」は、下期に売上を見込んでいるとのことですが、上期では売上がまだ立っていなかったと理解しています。

この9ヶ月の進捗と、Intelsatに提供開始した「JCSAT-1C」と、「Horizons 3e」の違いのご説明をお願いします。また、「JCSAT-1C」はインドネシア・極東エリア・ロシアでも商談を進めているとのご説明がありました。「Horizons 3e」「JCSAT-1C」の現状や今後の見込みを教えてください。

森合:おっしゃるとおり、「Horizons 3e」は、移動体やその他の通信キャリアなどを中心に、なだらかですが増収傾向が続いています。

「JCSAT-1C」は、下期に売上を見込んでいることに変わりありませんが、売上が立つ時期が少し後ろにずれつつあります。特に、東南アジアで進めている商談において新型コロナウイルスの影響があり、構築が少し遅延しています。しかし、構築完了の見通しは立っているため、第4四半期に売上が立つ見込みです。

Intelsatへの「JCSAT-1C」の提供については、もともと弊社と旧Gogo(現在のIntelsat)が契約している日本周辺の航空機向けキャパシティの提供を延長するものです。これまでの衛星よりもさらに容量を増量でき、さらに新たなキャパシティが提供可能となりますので、今回契約の締結に至りました。こちらでお話ししているIntelsatは、「Horizons」と提携しているIntelsatと元は一緒ですが、あくまでも航空機向けのサービスプロバイダとなります。

質問者1:「JCSAT-1C」の東南アジア以外の売上はどのような状況でしょうか? 第4四半期は旧Gogoの部分も売上に寄与するのでしょうか?

森合:東南アジア以外の地域、特にロシアはまだ収益の立つ時期が明確になっていません。したがって、今のところIntelsatと東南アジアの収益は第4四半期に立つと見込んでいますが、まだスタート地点のため規模はさほど大きくないと考えています。本格的な収益は、来期2022年度を見込んでいます。

質問者1:先ほどご説明があったグローバル・モバイル分野の6億円増(9ヶ月累計)というのは、「Horizons 3e」によるものという理解でよいでしょうか?

森合:ほぼそちらに付随したものです。

質疑応答:通信機器販売とSAR画像販売の売上や収益について

質問者1:国内通信会社への通信機器の納入や、SAR画像の売上も出てきたとご説明がありましたが、規模はどのくらいですか? あるいは、通信機器は収益・利益にはあまり影響がないのでしょうか?

森合:機器販売の収益規模は、2桁いくかいかないかくらいです。利益はトランスポンダの提供に比べると、利益率は低くなります。SAR画像販売は、今期全体で十数億円の収益を見込んでいます。

質問者1:十数億円となると、かなり大きい印象です。これはPlanetが中心なのでしょうか?

森合:中心と言いますか、Planetを含め複数の衛星を使って提供しています。

質疑応答:メディア事業の費用について

質問者1:メディア事業についてです。利益の進捗自体はかなり高いと思いますが、第4四半期に、春のスポーツの開幕、あるいは配信サービスへの先行投資を行うというお話がありました。

春のスポーツは毎年開催されることだと思いますが、1年前と比べてさらに追加の費用が出るのでしょうか? 配信サービスももともと計画に入っていたと思いますが、どれくらいの規模の先行投資負担が出るのか、第4四半期についてご解説をお願いします。

美谷衛氏(以下、美谷):内容についてはおっしゃるとおりです。昨年の第4四半期は春のスポーツの対策費ということで、大掛かりなプロモーションを行い、四半期ベースではかなりマイナスの数字となりました。

それに加えて、今期は本日から始まった「バリュープランPowered by ひかりTV」のプロモーションも大量に投下するため、その分が昨年に丸々乗ってくるということで、昨年のマイナスからさらにマイナス数億円というレベルで膨らみます。そのため、第4四半期で大きなマイナスを計上しています。

質問者1:スポーツの事業は昨年もかなり行っており、利益は結局のところ赤字になりましたが、それ以上に増える部分とはいったいどの部分になるのでしょうか?

美谷:春のスポーツは昨年並みですが、追加の販路施策でFTTHのお客さまに大量にご案内したり、先ほどお伝えした新配信商品の宣伝を行います。そちらの広告宣伝費が大きいということです。

質問者1:それでは、配信サービスも3ヶ月でかなりのプロモーション費用が出ていくということですね。そのリターンとしてどのくらいの契約者数を見ているのでしょうか?

美谷:配信の契約者数については、今のところ定期的な開示は予定しておらず、一定規模にまとまった段階で公表させていただくことを考えています。ただし、それなりのまとまった加入者数を取ろうと思っています。そのための費用投下をこの第4四半期に行うということです。

質疑応答:利益の進捗について

質問者1:全体の利益の進捗についてですが、どれも進捗率が9割を超えているということでした。確かに第4四半期はそのような先行費用があるとは思いますが、もともと計画に入っていた内容だと思いますので、9ヶ月の進捗は計画に対してはよかったのではないかと思うのです。そのあたりはいかがでしょうか?

松谷:おっしゃるとおりで、9ヶ月の進捗としてはよかったと思っています。ただし、先ほどの施策のお話にもありましたが、もともとの計画では10月の「SPOOX」開始に合わせ、いろいろな施策を打つ予定でした。

しかし、諸所の準備により今日からのスタートとなったため、その期間は費用を使わずに浮いた部分があるのが実態です。本日からサービス開始となり、期末に向けて加入者をさらに増やすべく積極的な施策投下を行っていきたいと考えています。

プレゼンの最後のほうでお伝えしたとおり、今後、新型コロナウイルス感染状況がどのようになるかわかりませんが、両事業とも収益や施策に対してそれなりに影響が出ると思います。そこが読み切れていないため、現時点において通期見通しは変更しないと判断したところです。

質疑応答:グローバル事業でCAGR8パーセントを目指すための施策について

質問者1:最後に中期的なことですが、「来年度からグローバル事業でCAGR8パーセントを目指す」というお話がありました。具体的にはどのような衛星でどのような需要を見ているのでしょうか?

森合:衛星は「JCSAT-1C」がメインになると考えています。販売余力と言いますか、まだキャパシティに十分な余力がありますので、これから営業に力を入れていくことで収益の増加を図っていきます。

質問者1:需要がある分野はどのようなところでしょうか?

森合:基本的には現地の通信キャリアや移動体も含めた通信事業のサービスプロバイダなどとうまくタッグを組みながら、現地の通信需要に応えていきたいと考えています。

質問者1:つまり、バックホールがメインで、マクロで航空機などの回復に過度に期待してはいないということでしょうか? 

森合:「過度に」ということはないとは思いますが、航空機についても一定の成長を見込んでいます。新型コロナウイルスの影響次第ではありますが、CAGR8パーセントの中に組み込まれている部分があります。

質疑応答:「バリュープランPowered by ひかりTV」の価格と競合優位性について

質問者2:15ページの「SPOOX」の新商品についてです。なぜこの価格でこのようなプランを打ち出すのか、また、動画配信事業者が多様化している中で「SPOOX」の新しいプランの競合優位性はどのようなところにあるのかを教えてください。

美谷:まず、価格については競合サービスの研究と市場調査などで、商品内容と価格において競争力が十分に保てるだろうと判断しました。「1,000円を切る」というところが1つのポイントになっています。

差別化については「バリュープランPowered by ひかりTV」に加え、「SPOOX」にはアイドルなど他のサイトで扱っていないようないろいろなジャンルに特化したオリジナルのコンテンツが揃っていますので、そのようなところを推して差別化を図ろうと考えています。

質疑応答:新型コロナウイルスの今後の影響について

質問者2:新型コロナウイルスについてです。航空機のWi-Fi需要や、アジアでの営業活動への影響について言及がありましたが、足元でオミクロン株が非常に広がっている影響はどの程度あるのでしょうか? 特にどのような分野で大きな影響が出てくると考えているかを教えてください。

松谷:宇宙事業では航空機を中心とした、人が動かなくなることによって通信需要が蒸発している部分をどのように見るかということですが、先ほどお伝えしたとおり、現在の拡大状況のレベルはすでに織り込んでいると思っています。

一方、メディア事業は昨日「バーチャルホークスキャンプ2022」などが開幕しましたが、我々の今のプランは通常どおり3月末に開幕を迎え、きちんと試合が始まる前提で組んでいます。ここが一昨年のように大きくズレてしまうと、収入や費用についてそれなりに組み直しが必要になると考えています。

質疑応答:「新しい資本主義」や株主還元の方針と決算概況の四半期開示の見直しについて

質問者2:大きな話で、岸田政権が「新しい資本主義」について打ち出していますが、どのように受け止めているのでしょうか? また、配当などの株主還元の方針や、決算概況の四半期開示の見直しも掲げていると思いますが、そのあたりについても御社の考え方を教えてください。

松谷:当社としては、株主のみなさまにお応えするために適宜必要な情報は開示していきたいと考えています。いろいろなルールに基づいて、複数の開示書類などがありますので、できればそのあたりの効率化は行っていただきたいというのがCFOとしての個人的な意見です。

「新しい資本主義」については、どのような具体策を挙げるかということはありますが、「成長していかないと日本経済そのものもダメになる」というのはそのとおりだと思っています。

我々は特に放送通信の公共的な事業を行っていますので、今の国際間の経済的な問題も含めて、日本に軸足を置いた通信放送サービス事業者として強みを活かし、安定的なサービスを提供していきたいと考えています。

質疑応答:「バリュープランPowered by ひかりTV」の収益モデルについて

質問者3:「SPOOX」の新商品について、確認を含めていくつかおうかがいできればと思います。まず、「ひかりTV」配信コンテンツのうちの3万本を「SPOOX」の商品として販売すると理解しているのですが、合っていますか?

美谷:「バリュープランPowered by ひかりTV」というのは、ぷららの「ひかりTV」の中の見放題の部分です。そちらを提供していただくとともに、我々のほうでも引き続きコンテンツをお客さまに提供します。

質問者3:気になるところは、収益モデルはどのようになるのでしょうか?  レベニューシェア方式で、「バリュープランPowered by ひかりTV」のお客さまの月額料金の一部がスカパーJSATホールディングスの取り分になるモデルだと理解しています。

美谷:そのとおりです。詳細はあまりお伝えできませんが、我々がいくらかの手数料をいただくというかたちになっています。

質問者3:月額料金のいくらかをいただくということですね。

質疑応答:ぷらら以外のサービスの提供について

質問者3:今回ぷららの協力を得て、ぷららのコンテンツと御社のコンテンツを合わせたものを商品として販売するということですが、ぷらら以外にも動画配信サービスを手掛けている事業者がたくさんあると思います。

このような他の事業者とも組み、同じように商品をどんどん組成する予定があるのかを教えてください。

美谷:現在の具体的なプランなどについてはお伝えできませんが、ぷらら以外のサービスについても提供する可能性はあります。

配信元: ログミーファイナンス

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