ドル円は114円台まで上げ幅拡大 円安がサポート=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/10/16 06:06
 きょうのNY為替市場、ドル円はやや伸び悩だものの、114円台まで上げ幅を拡大した。きょうも米株が堅調に推移していることから、ドル高というよりも円安がドル円をサポートしている。過熱感はあるものの、下値でしっかりと支えられたことから、ショート勢も巻き返しを余儀なくされたようだ。また、テクニカル勢も参戦している模様。来週以降、心理的節目の115円を試すか注目の展開となってきている。

 FRBは11月にも資産購入ペース縮小を開始しそうな情勢だが、購入ペースの縮小自体がドルに直接的な影響を与える可能性は低いとの声も聞かれる。資産購入ペース縮小がドル高の要因というよりもむしろ、ドル高の流れと一致する可能性があるという。

 FRBの資産購入ペース縮小が過去の事例ほど他の先進国の中銀と分岐していないことが要因の1つとして挙げられる。他の先進国の中銀が、FRBに先んじて、または、それに沿って金融政策の緩和策解除に動き始めているためだという。

 ユーロドルは買い戻しが一服したものの、1.16ドル付近は維持している。1.15ドル台に入ると買いオーダーも出るようだ。今週のユーロドルは心理的節目の1.15ドルを維持したことから、週後半になって買い戻しの機運が高まっている。きょうも戻り売りに押されているものの、リバウンドの兆候は残しているといった状況だ。

 ただ、ECBが慎重姿勢を堅持していることから、ユーロに弱気な見方は多く、上値での戻り売りを推奨する向きも多い。本日の21日線は1.1630ドル付近に来ているが、その水準には慎重さも見られる。市場は、ECBはパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)が終了した後も資産購入プロフラム(APP)の枠を拡大して柔軟性を持たせる案が有力視されている。しかし、きょうのビルドワドガロー仏中銀総裁の発言からは必ずしもそうではないようだ。同総裁はPEPP終了後に、柔軟性を持たせる手段は様々あり、必ずしもAPPである必要はないとの見解を示していた。ただ、いずれにしろ、しばらく緩和姿勢は継続の方向ではある。

 ポンドドルはリバウンドの流れが加速し、きょうは1.3775ドル近辺まで一時上昇。北アイルランド議定書を巡ってEUとの交渉が再開しているが、想定通りに協議は難航しているようだ。英国側の交渉責任者であるフロスト英首席交渉官は「双方に大きな隔たりがある」と語っていた。

 ただ、ポンドは英中銀の早期利上げ期待を背景に力強い動きを続けており、ポンドドルは21日線を上放れる動きが続いている。インフレ期待を反映する英10年債のブレークイーブン・レートは4.02%と、13年ぶりの高水準に達している。先月発表された8月の英消費者物価指数(CPI)は前年比3.2%と、上げ幅は過去30年余りで最大だった。インフレ懸念を背景に短期金融市場では英中銀の年内利上げを織り込みつつあり、ポンドの翌日物スワップは12月の利上げ開始を織り込んでいる状況。

 ただ、早期利上げに関して英政策委員の中では意見も分かれている節もあり、最強硬派のソーンダース委員は市場が想定以上に早期利上げを織り込んだのは適切との考えを示唆していた一方、テンレイロ委員はエネルギーと半導体の価格上昇に対応するために利上げを行うのは、インフレ上昇が短命な場合、自滅するだろうと語っていた。いずれにしろ、主要国の中銀の中では英中銀が最も利上げが早いと見られている。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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