今週は、3万円水準でもみあえば、各総裁候補が発言する関連銘柄の物色へ

著者:出島 昇
投稿:2021/09/21 17:24

先週は、週前半に31年ぶりに高値更新、その後一服して週末は30500円で引ける

 先週の予測では、前週、日経平均は4月以来の3万円台を回復し、終値でも3万円台を維持したことや、トピックスが日経平均に先立ち高値更新が続いていることで日経平均も2月16日のザラ場での年初来高値30714円を上にぬく可能性が高いとしました。

 日経平均は、半年に渡る調整から上昇に転じており、新政権やワクチン接種の進展を背景に、これまで買い手控えていた外国人投資家の日本株の見直しの動きが拡大しており、まず、2月の高値30714円を超えると次は31000円を目指すことになるとしました。

 結果的に先週は、週前半に前週までの強い流れが続き、上を試しにいく展開となり、14日(火)は、ザラ場では30795円と2月16日のザラ場高値30714円を上回り、終値でも30670円と31年1ヶ月ぶりの高値水準となりました。ここで目先、目標達成感から15日(水)は▲158円の30511円と4日ぶりに反落し、16日(木)も▲188円の30323円と続落しました。しかし、週末の17日は3連休を前にしているものの、先高期待の買いが入り週間では上昇を達成し、週末値で30500円にぴったりのせて終わりました。

 週末17日(金)の動きは、エムスリー、ソフトバンク、東京エレクトロンなどのグローズ株が上昇して株価を支え、△176円の30500円で引けました。序盤は上げ幅を縮めるなど不安定な動きでしたが、徐々に買いに勢いがつき、11時近辺には30500円台に到達し、ここから上では伸び悩みましたが、現状水準では高値警戒感は和らぐ動きが見られ、後場は小動きが続き大引け間際に、この日の高値△218円の30541円まで上昇し、終値では30500円で終わりました。

 日本市場の引け後の米国市場では、3指標そろって下落となりました。新型コロナの感染拡大が嫌気されて景気減速が懸念される中、ハイテク株などに売りが広がり幅広い銘柄が売られました。その背景には、感染拡大以外に翌週(9月21~22日)のFOMCを前に買い手控えの動きが見られ、又、民主党の連法法人税率引き上げなどの税制改革法案も嫌気されています。為替は長期金利の上昇でドル買い優勢で、1ドル=109.96円で引け、シカゴの日経先物は▲175円の30175円となりました。

今週は、3万円水準でもみあえば、各総裁候補が発言する関連銘柄の物色へ

 先週は、トピックスにやや遅れて14日(火)に31年ぶりにバブル後最高値を更新し、3万円にのせて、この大台をキープして引けました。米株式が冴えない中で日経平均が上昇したのは、急騰局面で積み上がったショートが買い戻され、日本株の出遅れを狙った外国人が日本株を買い始めたというこがあります。需給面では外国人の買いにはまだ余力がり、一段高の期待があるとみられています。外国人投資家は現物と先物を合わせて9月第2週(6~10日)は10ヶ月ぶりに1兆円超の日本株を買い越しています。現物株の買い越し額は、それほど伸びておらず、本格化するのはこれからだと考えられています。

 米国株式が軟調な背景に17日の「クアドルプルウォッチング」(日本のメジャーSQに相当)が買い手控えさせていたとみられ、ショートヘッジの解消で、NYダウの底入れにつながる可能性があり、そうなるとNYダウの上昇は、日経平均のサポート要因となります。

 一方で、NYダウに注意という見方もあります。それは、チャートからみると日足チャートは8月19日につけた安値34690ドルや75日移動平均線(15日時点34807ドル)を割り込み、又、週足チャートの26週移動平均線(34516ドル)を下支えに下げ渋っている状況です、注意すべきポイントにきています。

 又、今週は21~22日のFOMCが注目となります。今回のFOMCでテーパリング(量的緩和縮小)の可能性があったのですが、今月は見送りとの見方が多く、そうなると10月にはFOMCは開催されないので、11月2~3日となります。そうなれば10月には米国株も金融政策に神経質にならなくてもよく、10月までは日本株は上値を試しやすくなります。

 今週は、休日が2日ありFOMCもあるため動きにくいですが、先取りして動く場合もあります。国内では自民党総裁選で4氏が争う構図になっており、新政権への政策期待やそれぞれの候補の発言を踏まえて関連銘柄を物色する動きが加速しそうです。

 本日21日(火)は、寄り付きは、中国不動産大手の中国恒大集団の資金繰り懸念から20日の海外市場が大幅安となったことを受け、リスク回避の売りが先行して下げ幅を拡大し、前場には29832円まで下落しました。その後は時間外取引の米株価指数先物高もあって、いったん下げ渋る場面もありましたが買いは続かず、さえない展開となり、後場は持ち直す場面もありましたが再び軟化し、大引けにかにかけて安値圏で推移し、▲660円の29839円と安値引けとなりました。

(指標)日経平均

 先週の予測では、外国人投資家も参加し、急騰して3万円台を回復してきたため、一服してもおかしくないとしました。但し、下値は限定的で売りを吸収しながら上昇していく方向にあるとし、今年の終値での最高値30467円を更新する動きを想定しました。

 結局、先週は14日(火)にトピックスにやや遅れて31年ぶりとなるバブル後最高値更新となりました。その後、2日続落し、週末の17日(金)は△176円の30500円とフシ目で終りました。

 今週は、21~22日の米国のFOMCを控えテーパリング(量的緩和の縮小)が注目となるところでしたが、今回は見送りで11月2~3日の可能性が高く、株価の大きな調整要因にはならないようです。むしろ、今月後半から10月にかけて相場は上を試しそうです。まず31000円を目指す動きとなりそうです。そうでなければ今週は3万円水準でのもみあいとなります。ところが日本が休日の昨日、中国不動産企業の経営危機で米国市場は暴落し、日経平均も500円を超す下落となっています。今後の中国政府の対応が気になるところです。

(指標))NYダウ

 先週の予測では、新型コロナの感染拡大が消費を圧迫していることで、景気回復や企業収益の伸びに影響を与えるとしました。

 週始めの13日(月)は、感染拡大がやや減少したことで、NYダウは6日ぶりの反発となったものの、もみあいが続いて上に伸びることはできず、週末の17日(金)は翌週にFOMCを控えて3指標そろって下落し、NYダウは▲166ドルの34584ドルで引けました。特に17日の「クアドルプルウォッチング(日本のメジャーSQに相当)」が、これまで買いを手控えさせていたことで、今週からは上昇期待がもてることになります。

 今週の注目材料は、FRBが開催するFOMCの結果となります。パウエル議長は、先月末のジャクソンホールの講演で、経済が予想通り進展すれば年内に資産購入ペースの縮小を始める可能性があると述べました。

 しかし、金融政策のカギを握る雇用統計の8月分が予想を大きく下回ったことや、新型コロナの感染拡大で消費者マインドが低下し、今回のFOMCでの発表は見送られる可能性が高くなったようです。そうなると11月のFOMCでテーパリング(資産購入縮小)の開始が協議されることになりそうです。10月は金融政策を気にしなくていいため上昇の期待がもてます。

(指標)ドル/円

●先週の動き…長期金利反発でドル売り縮小

 週始めに、110.16円まで買われましたが、9月14日の8月消費者物価指数が前年比+4.0%と上昇率は7月実績を下回ったことから、FRBはテーパリングを急がないとの見方が浮上し、ドル・円は109.11円まで下落。その後、8月小売売上高が市場予想を上回り、長期金利の反発を受けてリスク回避的なドル売りは縮小し109.96円となりました。

●今週の見通し…ドルがは底堅い値動きが想定されるが11月のテーパリング期待は根強い

 9月21~22日のFOMCでは、金融政策は現状維持の見通し。今回のFOMCではテーパリングの重要性は指摘されても開始時期は11月2~3日のFOMCまで延ばされる可能性は高いと思われます。

配信元: みんかぶ株式コラム