先週は、8月末の12ヶ月ぶりの月末高をきっかけに、買い戻し中心に5日連続の上昇
先週の予測では、米国株が堅調であれば、27500~28200円のレンジでのもみあいを想定しました。しかし、8月31日(火)に28158円まで上昇し、出来高、売買代金ともに膨らみ、前日比△300円の28089円と月末最終日としては、昨年9月以来の上昇で引けました。
前月の7月までは、11ヶ月連続の月末安という状況にありましたが、8月末で当面の相場の転換点となりました。
市場の見方は、8月20日(金)に26954円と年初来安値を更新したことで、チャート上は下への流れが想定され、外資系証券などからのショート(カラ売)が積み重なっていました。そのため、外資系が先物に強烈な買いを入れたことで、ショートポジション(カラ売)の踏み上げが続きました。先週は丸1週間上昇が続きました。踏み上げ中心の上昇ですが、これに米国株式の堅調な動き(S&P500とナスダックは連日の最高値更新)や東京における感染者の減少も相場を引っ張る要因となっているかもしれません。
1週間のチャートの動きは、8月30日(月)の△148円の27789円、31日(火)の△300円の28089円、9月1日(水)の△361円の28451円と火曜と水曜で大きく踏み上げられ、その後も2日(木)の△92円の28543円とチャートとしては、28500円水準で一服してもおかしくないところでした。
ところが、週末の3日(金)は、買い気根強く、先物買いを支えに一段高の動きとなりました。この背景は後場になってハッキリしてきました。昨日までは首相再選に積極的だった菅首相が、朝になると自民党総裁選に立候補しないという話が伝わり、午後には総理大臣を辞任する意向が伝わり、これを受けて政局の不安解消の期待から上げ幅を拡大し、一時△606円の29149円まで上昇し、△584円の29128円と29000円台を回復して引けました。
週末の日本市場の引け後の米国市場では、注目の8月雇用統計は、非農業部門雇用者数は予想の+75.0万人が+23.5万人と大幅に下回りました。同時に賃金が予想以上に上昇したことで、インフレ懸念も再燃し、NYダウは一時▲174ドルまで売られ、引け値は▲74ドルの35369ドルとなりました。一方、ハイテク株への買いは根強く、連日の最高値更新となっています。シカゴの日経先物は日本の政権交代への期待で△435円の29595円となりました。
今週は、新政権を巡る自民党の動向が焦点となり、目先の上値メドを探る展開
先週は、予想外に菅首相の自民党総裁選出馬への見送り表明を受け、新政権への期待から日経平均は一気に6月以来の29000円台を回復しました。トピックスは2015Pと約30年ぶりに高値を更新しました。これを受けてシカゴの日経先物は△435円の29595円まで上昇しましたが、今週はこの思いがけない株高がもたらした指数の水準を日本市場がキープできるかどうかがポイントとなります。
当面は、短期急騰の反動も想定されますが、今回の上昇で投資尺度の面で先進国に比べて出遅れ感が指摘されていましたが、ここで一気に日本株の水準訂正が進んだとみることができます。チャートをみると、先週の急騰によって日足、週足で主要な移動平均線を上抜いているほか、一目均衡表も日足、週足ともに「雲」を突破し、柴田罫線でも下降トレンドを上にぬいています。予想外の出来高であれテクニカル的な強気転換の意味は大きく調整があっても下値には買いが入りやすいといえます。
週足チャートでは、13週移動平均線(28117円)と26週移動平均線(28661円)を一気に突破しており、何もなければ28700円を抜けると相場の基調が上昇へ転換するところでした。しかし菅首相の退陣表明がショック高となったことで、ここも一気にぬけ3万円の大台が視野に入ったといえます。
今週は、菅首相の退陣表明を受け、自民党における後任の総裁選出など新政権を巡る動向が焦点となり、候補者が打ち出す経済対策や新型コロナへの対応に注目があつまることになります。米国では、8月雇用統計が予想を大きく下回ったことで金融緩和策の行方に対する対応が日本の株価に影響を与える可能性があります。
本日6日(月)は、前週末の米国株式は高安まちまちでしたが、寄り付きから買い優勢の展開となり、前週末に菅義偉首相の退陣表明を受けて急騰した流れを引き継ぎ、新政権の経済対策への期待感もあり、また株価指数先物買いも加わり日経平均は上げ幅を拡大しました。結局、6営業日続伸し終値では4月19日の29683円以来約5カ月ぶりの高値水準となり△531円の29659円で引けました。
(指標)日経平均
先週の予測では、27日(金)のパウエル議長の講演内容がプラスとなれば米国株式は上昇し、日経平均も連動することになるとしました。先週の米国株式は堅調な動きとなり、さらに31日(火)は、前日比△300円の28089円と月末最終日としては、約1年ぶりの上昇で引け、8月末で相場が上昇への転換点となりました。8月20日(金)に26954円と年初来安値を更新し、チャートは下向きの流れの型となったことで先物のショート(カラ売)が積み重なっていたことで、踏み上げ相場となりました。5日連続の上昇となり、特に週末の3日(金)は菅首相の退陣意向を受けて△584円の29128円で引けました。目先の上値は29331円となります。
今週は、予想外の出来高からの急騰になったとはいえ、テクニカル面で強気転換になった意味は大きいといえます。日足、週足で主要な移動平均線を上抜いて柴田罫線でも2月16日の30714円の高値からの下降トレンドを28500円水準で上に抜け出ています。又、一目均衡表も日足、週足の「雲」を突破しました。5月10日の29685円を上にぬければ3万円の大台の期待ももてます。
(指標)NYダウ
先週の予測では、前週末にパウエルFRB議長が講演で、国内経済が回復しているため年内の資産購入縮小を開始する可能性を表明しました。ただし、早期利上げは行わないと強調したことで、安心感が広がり長期金利は低下しました。これを受けて今週も株価のサポート要因となることが想定されます。
また、8月の消費者信頼感指数が、6ヶ月ぶりの低水準に落ち込むなどデルタ変異株による消費への影響が想定以上となっており、又、政府の救済策の一環として実施していた一連の失業者緊急支援措置が失効します。そのため景気循環株は引き続き延び悩み、S&P500やナスダックと比較して上値の重い展開となりそうです。最高値圏でのもみあいの展開が想定されます。
(指標)ドル/円
●先週の動き…ドルは伸び悩む
先週のドル・円は、月末に絡んだドル需要でドル・円は、一時110.42円まで買われましたが、米国の雇用拡大ペースが鈍化したことから、ドル買いは縮小しました。3日発表の8月雇用統計では、非農業部門雇用者数は市場予想を大幅に下回ったことで、量的緩和の早期縮小は後退し、ドル・円は売られて109.59円まで下落しました。その後、ドル売りはやや一服し、109.72円で引けました。
●今週の見通し…ドルは底堅い動きへ
米国内での感染増加の報道から直近発表の主要経済指標は強弱マチマチとなっており、経済の早期正常化を期待したドル買いは一服となっています。ただ、パウエル議長は早期利上げを急がない方針を示しており、リスク回避のドル売りがさらに広がる可能性は低いとみられています。米国金利の先高感は、再浮上する可能性があるため、ドル買い・円売りがさらに縮小する可能性は低いと思われます。
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