もう一段の下押しフローを示唆
【注目ポイント】FR(フィボナッチ・リトレースメント)・38.2%水準(≒80.927円)下値サポート成否
【見通し1】同水準サポートなら、「81.730円」付近までの戻りも
【見通し2】同水準割れなら、「79.438円」付近までの下押しを想定
【注目アノマリー】『8月は豪ドル/円が下がりやすい』
先週20日、直近安値となる「79.792円」を付けた後、一旦200日MA(移動平均線)付近まで戻した後、上値の重い相場付きが継続している豪ドル/円。
上図にある21日エンベロープ(乖離率:1.00%と2.00%)を見ると、以下のようなメルクマールが視認できます。
① 21日MAが右肩下がり形状となっている。
② ①に伴い、+1%乖離線および+2%乖離線が同様に右肩下がり形状となっている。
③ 直近ローソク足が-1%乖離線付近で推移している。
上記①~③より、現時点の豪ドル/円・日足チャートでは、下降トレンドを形成する中でのあや戻し※の時間帯であると判断します。(※あや戻し:下落基調にある相場が一時的に上昇すること。)
喫緊の注目ポイントは、昨年から今年にかけての高安レート(安値:73.129円[20/10/30]、高値:85.747円[21/5/10])を基点とするFR(フィボナッチ・リトレースメント)・38.2%押し水準(≒80.927円、上図水色線)でローソク足が下支えされるか否か。
これからの時間にかけて、仮にローソク足が同水準で下支えされた場合は、「下値固め」→「一旦の反発フロー」となる可能性も。そのケースでは、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(≒81.730円)付近までの戻りを想定すべきでしょう。ただし、上述した①および②の状態に変化が見られない場合は、その戻りは限定的かつ一時的なものと捉えるべきでしょう。
一方で、ローソク足が終値ベースで同水準を下回った場合は、「重要水準割れ」→「もう一段の下押し」となりそうです。そのケースでは、心理的水準である「80.000円」(上図緑色線、≒-2%乖離線)割れも伴いつつ、上述した高安レートを基準とするFR・50.0%押し水準、いわゆる“半値押し”水準(≒79.438円、上図朱色線)付近までの下押しを想定すべきでしょう。
「8月=豪ドル/円が下がりやすい」?
以下、補足ながら、季節的アノマリー※について。(※アノマリー:はっきりした理論的根拠を持つ訳ではないものの、よく当たるかもしれないとされる経験則や傾向・パターンのこと。)
次週からスタートする8月相場において、近年における為替相場では『8月は円高フローになりやすい』というアノマリーが存在します。以下、主要な対円通貨(米ドル/円・豪ドル/円・NZドル/円・カナダドル/円)の月別平均騰落率表(期間:1998-2020年)をご覧ください。
上図からも分かる通り、近年のデータでは、8月は主要な対円通貨の下落率が目立ち(上図黄色四角枠)、特にオセアニア通貨である豪ドル/円・NZドル/円の下げ(率)が相対的に顕著である傾向が見られます。
ちなみに、過去10年(2011-2020年)における豪ドル/円の陰線確率は.800となっており、過去20年(2001-2020年)に遡っても、その陰線確率は.800の結果となっています。(※2001年以降の8月陽線引けは、02年・06年・14年・20年の4回。)
これを以て、今年の8月も豪ドル/円が必ず陰線引けになるという結論には至りませんが、あくまで季節的なアノマリーに従えば、『8月は豪ドル/円が下がりやすい』と捉えて良いのかもしれません。
その季節的なアノマリーの一つに『8月はショックイベントが発生しやすい』(ex.2007年:パリバショック、2015年:チャイナショック等)という側面もあることも考慮しつつ、「最善を願い、最悪の事態に備えよ」(帝政ローマの政治家 ルキウス・セネカ)というトレード姿勢が重要なのかもしれません。あくまで、季節的アノマリーをベースとする仮説として捉えていただければ幸いです。
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