「堅調スタートも、下方の窓が株価を引き寄せやすい」~黒岩の眼(朝刊)

著者:黒岩泰
投稿:2021/07/13 08:51

上方にはファンダメンタルズの壁 上値は抑えられやすい

http://chart.fisco.co.jp/mado

 昨日の米国株式相場は小幅高。ダウ工業株 30 種平均は 126.02 ドル高の 34996.18、ナスダック総合指数は 31.32 ポイント高の 14733.24 となった。また、時間外取引の日経平均先物(円建て)は 28660 円付近での推移。したがって、本日の日経平均は堅調スタートを想定。引き続きリバウンドを試すと思われる。

 日経平均の日足チャートでは昨日、窓を空けて上昇。アイランド・リバーサル(離れ小島による相場反転サイン)が出現しており、チャートは強気形状に転換している。

 しかし、上段の窓上限(28587.61 円)に到達したことで、強い達成感が台頭。需給的には下落しやすくなっている。

 本日は堅調スタートとなることで、再び窓が空くかもしれない。しかし、上方にはファンダメンタルズの壁(割高の壁)が位置しており、どうしても上値が抑えられやすい。窓と株価の位置関係が逆転したことで、株価は調整色を強めやすくなっている。強気形状は維持しているものの、短期的に下方向に振れやすいのが現状のようだ。

 投資家はチャートが強気形状に変化したことから、「買いポジション」を維持するしかないだろう。昨日のアイランド・リバーサルを信用し、「この先も上値を試す」と考えるしかない。

 ただ、昨日までの上昇はあくまでも「需給要因」であり、これからの「相場の持続性」を示唆するものではない。もし、本格的に相場が底入れしたのであれば、本日の窓空けが大引けまで維持されるはずだ。逆に寄り付きで空けた窓が消滅した場合には、引き続き下方の大きな窓に引き寄せられやすくなる。急速な伸び悩み、失速に怯えながら、投資家は「買いポジション」を維持することになる。もし、今回のリバウンドが「一過性」のものであった場合には、早々に弱気シグナルが出てくるはずだ。

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想