■要約
1. 会社概要
オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価値比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB仕入れサイト「NETSEA(ネッシー)」、ネットショップ運営一元管理ツール「タテンポガイド」などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けにトータルEC支援ソリューションを展開してきた。創業来、蓄積してきた商品売買データは約700億件を超え、ビジネス利用アカウント数は140万を超える。EC市場やリユース市場の拡大をはじめ、個人の副業ニーズや法人の商品在庫流動化ニーズの高まりなどを背景として、同社独自の価値提供により順調に事業を拡大してきた。今後も、消費者に届けられることなく廃棄される約22兆円の法人在庫や流通構造の変化(オフラインからオンラインへの流れ)を同社自らの成長に取り込む戦略により、成長を加速していく構想を描いている。
※同社の存在意義を再定義したもの(2020年10月公表)。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。
2. 2021年9月期上期の業績
2021年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比55.7%増の4,647百万円、営業利益が同868.6%増の791百万円と、インキュベーション事業の寄与(ベンチャー投資に係る株式の一部売却)により大幅な増収増益となり、通期計画に対しても順調に進捗している。ただ、主力事業については、「商品流通プラットフォーム事業」が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)における巣ごもり消費等により堅調に推移したものの、「在庫価値ソリューション事業」が、新たに開始した在庫管理AI「zaicoban(ザイコバン)」の苦戦等により出遅れたことで、計画を下回る状況となっているようだ。利益面でも、「インキュベーション事業」が大幅な増益に寄与。ただ、第2四半期だけで見ると、1)営業投資有価証券の評価損の計上、2)成長性の高い「NETSEA」への先行投資の実施、3)「zaicoban」におけるソフトウェア資産の減損により、営業損失及び特別損失を計上した。もっとも、1)及び3)は一時的な費用の前倒しであるほか、2)については今後の流通高拡大や利益成長につながるものとして捉えることができる。また、活動面についても、自治体との協業や出展企業の獲得などに取り組み、2021年3月の流通高はコロナ特需である2020年4月を除くと過去最高(月次ベース)を達成。今後の成長に向けて弾みをつけることができた。
3. 2021年9月期の業績予想
2021年9月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比38.4%増の10,900百万円、営業利益を同58.4%増の1,300百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。ベンチャー投資に係る株式売却が業績に大きく寄与する想定であるが、その分を除いた主力事業の業績についても、前期を上回る加速度的な成長を計画している。主力事業については、コロナ禍をきっかけとした環境変化や様々な施策等を通じて、「在庫価値ソリューション事業」及び「商品流通プラットフォーム事業」がともに年度後半に向けて伸長する見通しである。利益面についても、広告宣伝費や人件費など、流通高拡大に向けた先行投資を積極投入するものの、売上高の伸びで吸収し、大幅な増益を実現する想定となっている。
4. 今後の方向性
同社は、現時点で具体的な中期経営計画(数値目標)の公表はしていない。ただ、廃棄処分されている約22兆円の法人在庫に着目し、社会課題となっている廃棄ロス削減に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性であり、同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」(在庫流動化のワンストップソリューション)の確立や海外展開の本格化により、現在の約10倍となる流通高1兆円の実現を視野に入れている。弊社アナリストも、同社の目指す方向性は社会的意義やポテンシャルが大きいうえ、同社の優位性も発揮できることから、圧倒的なポジションを獲得できる可能性も十分にあると見ている。今後は、いかに他社に先駆けて市場を切り開き、プラットフォームの価値を高めていくのかが、同社の成長性を判断するうえで重要なテーマと言えよう。
■Key Points
・2021年9月期上期は「インキュベーション事業」の寄与により大幅な増収増益を実現
・一方、主力事業については、成長性の高い「商品流通プラットフォーム事業」への先行投資を実施
・2021年9月期の業績については期初予想を据え置き、通期でも大幅な増収増益を見込む。「インキュベーション事業」による寄与に加え、主力事業の加速度的な成長見通しに変化はない
・同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」の確立により、廃棄ロス削減に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<AS>
1. 会社概要
オークファン<3674>は、「RE-INFRA COMPANY」※をコンセプトとして、膨大な蓄積データとAIにより在庫価値を可視化・最適化する「在庫価値ソリューション事業」と、企業在庫の流通を支援する「商品流通プラットフォーム事業」の2軸により、社会課題となっている廃棄ロス削減に向けたワンストップサービスを提供している。主なサービスには、相場検索・価値比較サービス「aucfan.com」や国内最大級のBtoB仕入れサイト「NETSEA(ネッシー)」、ネットショップ運営一元管理ツール「タテンポガイド」などがあり、中小企業・個人事業主(副業を含む)を中心とする小売・流通業向けにトータルEC支援ソリューションを展開してきた。創業来、蓄積してきた商品売買データは約700億件を超え、ビジネス利用アカウント数は140万を超える。EC市場やリユース市場の拡大をはじめ、個人の副業ニーズや法人の商品在庫流動化ニーズの高まりなどを背景として、同社独自の価値提供により順調に事業を拡大してきた。今後も、消費者に届けられることなく廃棄される約22兆円の法人在庫や流通構造の変化(オフラインからオンラインへの流れ)を同社自らの成長に取り込む戦略により、成長を加速していく構想を描いている。
※同社の存在意義を再定義したもの(2020年10月公表)。「新たにゼロから生み出すのではなく、今、目の前にある価値を見つめ直す。オークファンは社会の様々な『Re』(再び)を統合した唯一無二のインフラを構築していく会社でありたい」という思いを表現した造語。
2. 2021年9月期上期の業績
2021年9月期上期の業績は、売上高が前年同期比55.7%増の4,647百万円、営業利益が同868.6%増の791百万円と、インキュベーション事業の寄与(ベンチャー投資に係る株式の一部売却)により大幅な増収増益となり、通期計画に対しても順調に進捗している。ただ、主力事業については、「商品流通プラットフォーム事業」が新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)における巣ごもり消費等により堅調に推移したものの、「在庫価値ソリューション事業」が、新たに開始した在庫管理AI「zaicoban(ザイコバン)」の苦戦等により出遅れたことで、計画を下回る状況となっているようだ。利益面でも、「インキュベーション事業」が大幅な増益に寄与。ただ、第2四半期だけで見ると、1)営業投資有価証券の評価損の計上、2)成長性の高い「NETSEA」への先行投資の実施、3)「zaicoban」におけるソフトウェア資産の減損により、営業損失及び特別損失を計上した。もっとも、1)及び3)は一時的な費用の前倒しであるほか、2)については今後の流通高拡大や利益成長につながるものとして捉えることができる。また、活動面についても、自治体との協業や出展企業の獲得などに取り組み、2021年3月の流通高はコロナ特需である2020年4月を除くと過去最高(月次ベース)を達成。今後の成長に向けて弾みをつけることができた。
3. 2021年9月期の業績予想
2021年9月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比38.4%増の10,900百万円、営業利益を同58.4%増の1,300百万円と大幅な増収増益を見込んでいる。ベンチャー投資に係る株式売却が業績に大きく寄与する想定であるが、その分を除いた主力事業の業績についても、前期を上回る加速度的な成長を計画している。主力事業については、コロナ禍をきっかけとした環境変化や様々な施策等を通じて、「在庫価値ソリューション事業」及び「商品流通プラットフォーム事業」がともに年度後半に向けて伸長する見通しである。利益面についても、広告宣伝費や人件費など、流通高拡大に向けた先行投資を積極投入するものの、売上高の伸びで吸収し、大幅な増益を実現する想定となっている。
4. 今後の方向性
同社は、現時点で具体的な中期経営計画(数値目標)の公表はしていない。ただ、廃棄処分されている約22兆円の法人在庫に着目し、社会課題となっている廃棄ロス削減に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける方向性であり、同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」(在庫流動化のワンストップソリューション)の確立や海外展開の本格化により、現在の約10倍となる流通高1兆円の実現を視野に入れている。弊社アナリストも、同社の目指す方向性は社会的意義やポテンシャルが大きいうえ、同社の優位性も発揮できることから、圧倒的なポジションを獲得できる可能性も十分にあると見ている。今後は、いかに他社に先駆けて市場を切り開き、プラットフォームの価値を高めていくのかが、同社の成長性を判断するうえで重要なテーマと言えよう。
■Key Points
・2021年9月期上期は「インキュベーション事業」の寄与により大幅な増収増益を実現
・一方、主力事業については、成長性の高い「商品流通プラットフォーム事業」への先行投資を実施
・2021年9月期の業績については期初予想を据え置き、通期でも大幅な増収増益を見込む。「インキュベーション事業」による寄与に加え、主力事業の加速度的な成長見通しに変化はない
・同社グループの各機能を結集・統合した「モノの再流通インフラ」の確立により、廃棄ロス削減に向けた取り組みを同社自らの成長に結び付ける戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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