■要約
1. 会社概要
グローブライド<7990>は、世界最大の総合釣り用品企業である。国内及び海外(アジア、英国)に生産拠点を有し、米州、欧州、アジア・オセアニアを含めた世界4極で事業を展開している。同社はスポーツ・レジャー関連事業をその事業領域とし、現在はフィッシング、ゴルフ、ラケットスポーツ、サイクルスポーツの4つの分野で事業を展開している。フィッシング総合用品企業として世界トップの地位にあるフィッシング事業については、「DAIWA(ダイワ)」ブランドが深く浸透しているが、ほかの3分野においても洗練された独自の世界観を有するブランドを展開している点に同社の特長がある。
2. 業績動向
2021年3月期業績は、売上高100,304百万円(前期比13.6%増)、営業利益7,405百万円(同104.9%増)、経常利益7,145百万円(同131.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,797百万円(同327.2%増)と2ケタ増収とともに大幅な増益となった。同社グループが属するアウトドアスポーツ・レジャー用品等の業界は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による一時的な落ち込みはあったものの、緊急事態宣言解除後、密閉・密集・密接のいわゆる「3密」を避けたスポーツ・レジャーと評価されて急速に需要が回復していることから、同社業績も好調に推移した。海外市場についてはいずれの地域も増収増益となったものの、中国市場がいち早くコロナ禍から回復したことが寄与し、特にアジア・オセアニア地域が好調に推移した。
2022年3月期の連結業績予想については、売上高110,000百万円(前期比9.7%増)、営業利益8,000百万円(同8.0%増)、経常利益7,800百万円(同9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,700百万円(同18.8%増)と、引き続き増収増益を見込んでいる。日本及び世界においてコロナ禍による初期の行動制限が解除されて以降、アウトドアスポーツ・レジャーが「3密」を避けたアクティビティとして評価されて急速に需要が回復しているが、「ニューノーマル」(新常態、アウトドアスポーツ・レジャー志向や自転車通勤などを含む)が一過性ではなく習慣化し、ある程度定着することが想定される。また、フィッシング用品をはじめとする同社アイテムの季節性の要因から業績は例年上期偏重となるが、2022年3月期の業績予想についても2021年3月期下期の事業環境が継続することをベースとしており、2021年3月期上期の突発的な落ち込みはなく、例年の季節性に従うという前提で立案されている。このため、合理的な事業計画であり十分達成可能であると弊社では考えている。
3. 成長戦略・トピックス
同社は、「新・中期経営計画2023」を発表しており、その最終年度(2023年度)の到達目標として、連結売上高125,000百万円(2021年3月期比25.0%増)、連結営業利益10,000百万円(同35.0%増)としている。この背景として、国内の釣り参加人口は長年減少傾向が続いていたものの、2019年に670万人(前年比50万人増)と反転し、上昇に転じている。これはキャンプの普及拡大と連動する動きであり、コロナ禍以前から起こっていたものであることに注意したい。このトレンドに加え、アウトドアスポーツ・レジャーが「3密」を避けたアクティビティとして評価されて急速に需要が回復したことで、新たな釣り人口が流入した。コロナ禍の行方に影響を受けるものの、「ニューノーマル」がある程度定着することが想定されることから、釣り参加人口は底堅い上昇が続くと弊社では見ている。一方で、釣り参加人口が減少したなかでも、釣用品市場規模については2012年以降右肩上がりで成長している。これは、製品の高付加価値化や多様化が要因と考えられることから、今後も購買単価上昇の可能性は十分にあると考えられる。以上の考察から弊社では、アフターコロナ時代においても、釣り参加人口の増加と購買単価の上昇の両面が期待できるため、国内釣り用品市場は堅調に成長すると予想している。
同社は、次代の成長エンジンの創出を目的にアパレル分野への挑戦に積極的に取り組んでいるが、2020年春夏シーズンにローンチしたアパレルブランド「DAIWA PIER(ダイワピア)39」が好調に推移している。有名セレクトショップ「ビームス」がブランディングやディレクションに関わっている点が特徴だ。初年度の売上高は目標を大幅に上回り、コロナ禍の逆風のなかでも好調な滑り出しとなっている。
4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当及び株主優待制度を実施している。2021年3月期の年間配当金は70円(前期比5円増配)、配当性向16.8%となった。株式併合後の過去5年間の配当実績を見ると、2017年3月期の年間配当金50円から毎年増配を続け、2021年3月期は2017年3月期比1.4倍となっている。なお、2022年3月期の年間配当金は1株当たり75円(前期比5円増配)、配当性向は15.1%を予想している。また、株主優待制度としては、人気漫画「釣りキチ三平」の同社オリジナルQUOカードを贈呈しており、好評を得ている。
■Key Points
・世界最大の総合釣り用品企業。フィッシングを主力に、独自の世界観のブランドを他事業でも展開
・2021年3月期業績は、過去最高の売上高1,000億円超を達成。「3密」を避けたスポーツ・レジャーとして評価され需要が急回復
・アフターコロナも国内釣り用品市場は堅調、米国市場での成長も予想
・「新・中期経営計画2023」の到達目標として、最終年度(2023年度)連結売上高125,000百万円、連結営業利益10,000百万円とする
・「ビームス」がブランディングやディレクションに関わるアパレルブランド「DAIWA PIER39」が好調、コロナ禍の逆風のなかでも売上高目標を大幅に上回る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 会社概要
グローブライド<7990>は、世界最大の総合釣り用品企業である。国内及び海外(アジア、英国)に生産拠点を有し、米州、欧州、アジア・オセアニアを含めた世界4極で事業を展開している。同社はスポーツ・レジャー関連事業をその事業領域とし、現在はフィッシング、ゴルフ、ラケットスポーツ、サイクルスポーツの4つの分野で事業を展開している。フィッシング総合用品企業として世界トップの地位にあるフィッシング事業については、「DAIWA(ダイワ)」ブランドが深く浸透しているが、ほかの3分野においても洗練された独自の世界観を有するブランドを展開している点に同社の特長がある。
2. 業績動向
2021年3月期業績は、売上高100,304百万円(前期比13.6%増)、営業利益7,405百万円(同104.9%増)、経常利益7,145百万円(同131.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,797百万円(同327.2%増)と2ケタ増収とともに大幅な増益となった。同社グループが属するアウトドアスポーツ・レジャー用品等の業界は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による一時的な落ち込みはあったものの、緊急事態宣言解除後、密閉・密集・密接のいわゆる「3密」を避けたスポーツ・レジャーと評価されて急速に需要が回復していることから、同社業績も好調に推移した。海外市場についてはいずれの地域も増収増益となったものの、中国市場がいち早くコロナ禍から回復したことが寄与し、特にアジア・オセアニア地域が好調に推移した。
2022年3月期の連結業績予想については、売上高110,000百万円(前期比9.7%増)、営業利益8,000百万円(同8.0%増)、経常利益7,800百万円(同9.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,700百万円(同18.8%増)と、引き続き増収増益を見込んでいる。日本及び世界においてコロナ禍による初期の行動制限が解除されて以降、アウトドアスポーツ・レジャーが「3密」を避けたアクティビティとして評価されて急速に需要が回復しているが、「ニューノーマル」(新常態、アウトドアスポーツ・レジャー志向や自転車通勤などを含む)が一過性ではなく習慣化し、ある程度定着することが想定される。また、フィッシング用品をはじめとする同社アイテムの季節性の要因から業績は例年上期偏重となるが、2022年3月期の業績予想についても2021年3月期下期の事業環境が継続することをベースとしており、2021年3月期上期の突発的な落ち込みはなく、例年の季節性に従うという前提で立案されている。このため、合理的な事業計画であり十分達成可能であると弊社では考えている。
3. 成長戦略・トピックス
同社は、「新・中期経営計画2023」を発表しており、その最終年度(2023年度)の到達目標として、連結売上高125,000百万円(2021年3月期比25.0%増)、連結営業利益10,000百万円(同35.0%増)としている。この背景として、国内の釣り参加人口は長年減少傾向が続いていたものの、2019年に670万人(前年比50万人増)と反転し、上昇に転じている。これはキャンプの普及拡大と連動する動きであり、コロナ禍以前から起こっていたものであることに注意したい。このトレンドに加え、アウトドアスポーツ・レジャーが「3密」を避けたアクティビティとして評価されて急速に需要が回復したことで、新たな釣り人口が流入した。コロナ禍の行方に影響を受けるものの、「ニューノーマル」がある程度定着することが想定されることから、釣り参加人口は底堅い上昇が続くと弊社では見ている。一方で、釣り参加人口が減少したなかでも、釣用品市場規模については2012年以降右肩上がりで成長している。これは、製品の高付加価値化や多様化が要因と考えられることから、今後も購買単価上昇の可能性は十分にあると考えられる。以上の考察から弊社では、アフターコロナ時代においても、釣り参加人口の増加と購買単価の上昇の両面が期待できるため、国内釣り用品市場は堅調に成長すると予想している。
同社は、次代の成長エンジンの創出を目的にアパレル分野への挑戦に積極的に取り組んでいるが、2020年春夏シーズンにローンチしたアパレルブランド「DAIWA PIER(ダイワピア)39」が好調に推移している。有名セレクトショップ「ビームス」がブランディングやディレクションに関わっている点が特徴だ。初年度の売上高は目標を大幅に上回り、コロナ禍の逆風のなかでも好調な滑り出しとなっている。
4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当及び株主優待制度を実施している。2021年3月期の年間配当金は70円(前期比5円増配)、配当性向16.8%となった。株式併合後の過去5年間の配当実績を見ると、2017年3月期の年間配当金50円から毎年増配を続け、2021年3月期は2017年3月期比1.4倍となっている。なお、2022年3月期の年間配当金は1株当たり75円(前期比5円増配)、配当性向は15.1%を予想している。また、株主優待制度としては、人気漫画「釣りキチ三平」の同社オリジナルQUOカードを贈呈しており、好評を得ている。
■Key Points
・世界最大の総合釣り用品企業。フィッシングを主力に、独自の世界観のブランドを他事業でも展開
・2021年3月期業績は、過去最高の売上高1,000億円超を達成。「3密」を避けたスポーツ・レジャーとして評価され需要が急回復
・アフターコロナも国内釣り用品市場は堅調、米国市場での成長も予想
・「新・中期経営計画2023」の到達目標として、最終年度(2023年度)連結売上高125,000百万円、連結営業利益10,000百万円とする
・「ビームス」がブランディングやディレクションに関わるアパレルブランド「DAIWA PIER39」が好調、コロナ禍の逆風のなかでも売上高目標を大幅に上回る
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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