筑波精工 Research Memo(1):主力事業は高度な電界技術を使った「静電チャック」。電気自動車の普及は追い風
配信元:フィスコ
投稿:2021/06/11 16:01
■要約
筑波精工<6596>の主力事業は、電界による吸着保持技術を生かした静電吸着システム「静電チャック(E-Chuck)」(以下、静電チャック)である。国際特許を保有している高度な技術でありながら、過去においてはあまり多くの需要が期待されていなかった。しかしここ数年で同社を取り巻く環境は変わりつつある。自動車の電気化(EV化)が急速に進み、これに伴い搭載されるパワー半導体の薄型化が重要となってきた。薄型半導体を製造するプロセスで使用されることになる同社の静電チャックに注目が集まっている。現在の売上高はまだ少額だが、自動車のEV化が急速に進むと言われている2023年以降の動向が注目される。
1. 会社の沿革と主な事業内容
同社は、電気機械器具の製造販売並びに電気機械器具の検査、測定、治工具及び金型の販売を目的として、 1985年に栃木県真岡市熊倉町に設立された。設立当初は三洋電機(株)の半導体の後工程関係の設備を設計・販売していたが、並行して社内で開発を進めてきた半導体保持が可能な静電チャックの開発に目途が付いたことから、2002年からは静電チャックの研究開発と静電チャック関連製品の販売に絞った事業展開を進めてきた。
2. 2021年3月期の業績と2022年3月期の業績予想
2021年3月期の業績は、売上高は前期比16.1%増の195百万円、営業損失は90百万円(前期は188百万円の損失)、経常損失は86百万円(同189百万円の損失)、当期純損失は108百万円(同380百万円の利益)となった。ただし、手元の現金及び預金は551百万円で財務上の不安はない。
また2022年3月期の業績は、売上高は前期比140.1%増の468百万円、営業損失は11百万円(前期は90百万円の損失)、経常損失は13百万円(同86百万円の損失)、当期純損失は40百万円(同108百万円の利益)が予想されている。主要製品の販売を強化することから売上高は大幅増が見込まれる一方、研究開発も積極的に進めることから営業損失を見込んでいる。
3. 中長期の展望:自動車EV化による本格的な立ち上がりは2023年以降
同社の今後の成長マップは、自動車のEV化の進展→IGBT※等のパワー半導体の需要の高まり→薄型ウエハでの生産の必要性→同社の静電チャックへの需要増となる。現在までの業績は低迷しているが、今後は自動車のEV化に伴うパワー半導体の生産増が見込まれ、将来は明るいと言える。ただし本格的な立ち上がりは同社によると2023年以降になるとしている。同社の今後の動向を注視したい。
※IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ)は、パワー半導体(より高い電圧、より大きな電流のコントロールを可能にする)の一種である。用途としては、“電気で動き、パワーの強弱を調整できるもの”で、電車や自動車(ハイブリッド車や電気自動車)、IHをはじめとする家庭調理機器やエアコン、冷蔵庫、洗濯機などがある。
■Key Points
・電界を用いた静電チャックが主力事業。自動車のEV化で要注目
・足元の業績はまだ低迷。2022年3月期も11百万円の営業損失予想
・中長期の展望は明るく要注目だが、自動車EV化による本格的な立ち上がりは2023年以降の見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
筑波精工<6596>の主力事業は、電界による吸着保持技術を生かした静電吸着システム「静電チャック(E-Chuck)」(以下、静電チャック)である。国際特許を保有している高度な技術でありながら、過去においてはあまり多くの需要が期待されていなかった。しかしここ数年で同社を取り巻く環境は変わりつつある。自動車の電気化(EV化)が急速に進み、これに伴い搭載されるパワー半導体の薄型化が重要となってきた。薄型半導体を製造するプロセスで使用されることになる同社の静電チャックに注目が集まっている。現在の売上高はまだ少額だが、自動車のEV化が急速に進むと言われている2023年以降の動向が注目される。
1. 会社の沿革と主な事業内容
同社は、電気機械器具の製造販売並びに電気機械器具の検査、測定、治工具及び金型の販売を目的として、 1985年に栃木県真岡市熊倉町に設立された。設立当初は三洋電機(株)の半導体の後工程関係の設備を設計・販売していたが、並行して社内で開発を進めてきた半導体保持が可能な静電チャックの開発に目途が付いたことから、2002年からは静電チャックの研究開発と静電チャック関連製品の販売に絞った事業展開を進めてきた。
2. 2021年3月期の業績と2022年3月期の業績予想
2021年3月期の業績は、売上高は前期比16.1%増の195百万円、営業損失は90百万円(前期は188百万円の損失)、経常損失は86百万円(同189百万円の損失)、当期純損失は108百万円(同380百万円の利益)となった。ただし、手元の現金及び預金は551百万円で財務上の不安はない。
また2022年3月期の業績は、売上高は前期比140.1%増の468百万円、営業損失は11百万円(前期は90百万円の損失)、経常損失は13百万円(同86百万円の損失)、当期純損失は40百万円(同108百万円の利益)が予想されている。主要製品の販売を強化することから売上高は大幅増が見込まれる一方、研究開発も積極的に進めることから営業損失を見込んでいる。
3. 中長期の展望:自動車EV化による本格的な立ち上がりは2023年以降
同社の今後の成長マップは、自動車のEV化の進展→IGBT※等のパワー半導体の需要の高まり→薄型ウエハでの生産の必要性→同社の静電チャックへの需要増となる。現在までの業績は低迷しているが、今後は自動車のEV化に伴うパワー半導体の生産増が見込まれ、将来は明るいと言える。ただし本格的な立ち上がりは同社によると2023年以降になるとしている。同社の今後の動向を注視したい。
※IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲート型バイポーラートランジスタ)は、パワー半導体(より高い電圧、より大きな電流のコントロールを可能にする)の一種である。用途としては、“電気で動き、パワーの強弱を調整できるもの”で、電車や自動車(ハイブリッド車や電気自動車)、IHをはじめとする家庭調理機器やエアコン、冷蔵庫、洗濯機などがある。
■Key Points
・電界を用いた静電チャックが主力事業。自動車のEV化で要注目
・足元の業績はまだ低迷。2022年3月期も11百万円の営業損失予想
・中長期の展望は明るく要注目だが、自動車EV化による本格的な立ち上がりは2023年以降の見込み
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<EY>
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