■要約
ヒガシトゥエンティワン<9029>は関西を地盤としつつ、首都圏での事業を拡大中の物流企業である。個々の顧客ニーズに対応した物流設計力が強みで、主要株主を中心とする幅広い分野の大手優良顧客層を安定収益基盤として、高付加価値サービスや首都圏ビジネスの更なる拡大により中長期成長を目指している。
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.7%減の24,436百万円、営業利益が同2.6%増の1,022百万円、経常利益が同22.0%増の1,287百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.6%減の666百万円となった。売上面では、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により主要顧客からの受注が減少したものの、ビルデリバリー事業での新規案件獲得、e-コマース向けの大型物流センター開設(門真市)、インフラ会社の資材運搬拡大、GIGA(Global and Innovation Gateway for ALL)スクール構想に伴うPCキッティング業務受託など積極的な業容拡大に努めた結果、前期比微減の水準を確保した。利益面では、営業利益では、成長戦略に必要な投資財源を確保するための、本社間接費を中心とした経費削減や収益性の低い事業のコスト構造改革が寄与し、経常利益では助成金収入が寄与した結果、いずれも計画超の増益となり過去最高を更新した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した特別利益の剥落や特別損失計上により微減となった。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績見通しについては、売上高が前期比6.4%増の26,000百万円、営業利益が同21.4%増の1,241百万円、経常利益が同0.9%増の1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.8%増の818百万円を見込んでいる。また、期末配当については、同2.0円増配の20.0円としている。コロナ禍以前への景気回復の足取りは弱く、今後も不透明な経営環境が続くものと予想されるものの、下期より新事業となる資材3PL業務が開始されることや、首都圏での事務所移転作業の獲得増等を見込んでいることから増収予想となっている。利益面では、経費削減への継続的な取り組みや業務効率上昇を推進することによって大幅営業増益を見込んでいる。なお、助成金収入の剥落により経常利益は微増、特別損失の剥落により親会社株主に帰属する当期純利益は大幅増益を予想している。
3. 中長期成長戦略
同社は、中期経営計画で事業領域別施策を取っている。具体的には、重点事業として、物流設計力を生かした「オフィスサービス事業」「3PL事業」「ビルデリバリー事業」の拡大及びグループの総合力を高めるための「M&A戦略」の4つを挙げ、基幹事業では収益構造の改革や収益基盤の強化に取り組むとしている。また、新長期経営ビジョンの目標値として、2023年3月期に売上高300億円、重点事業領域比率※45.0%(2020年3月期は30.0%)、3年累計営業キャッシュ・フロー36億円、ROE6%以上、2030年3月期に売上高500億円以上、重点事業領域比率63.0%、従業員数1,850名を掲げている。同社は、地盤である関西圏での高い知名度や安定収益基盤により、景気変動やコロナ禍の影響は比較的軽微と言える。また、重点事業を中心に、市場シェア拡大余地が大きい首都圏ビジネスも徐々に拡大していることから、中長期的に収益拡大基調が期待できると弊社では見ている。
※同社が定める重点事業がグループ全体の売上に占める比率。
■Key Points
・関西を地盤とする物流企業で、幅広い分野の大手優良顧客層が安定収益基盤となる
・2022年3月期は首都圏ビジネスの更なる拡大や新事業開始により大幅営業増益を見込む
・市場シェア拡大余地が大きい首都圏ビジネスが徐々に拡大していることから、中長期的に収益拡大基調が期待できる(2021年3月期の首都圏売上比率は37%)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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ヒガシトゥエンティワン<9029>は関西を地盤としつつ、首都圏での事業を拡大中の物流企業である。個々の顧客ニーズに対応した物流設計力が強みで、主要株主を中心とする幅広い分野の大手優良顧客層を安定収益基盤として、高付加価値サービスや首都圏ビジネスの更なる拡大により中長期成長を目指している。
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.7%減の24,436百万円、営業利益が同2.6%増の1,022百万円、経常利益が同22.0%増の1,287百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同3.6%減の666百万円となった。売上面では、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により主要顧客からの受注が減少したものの、ビルデリバリー事業での新規案件獲得、e-コマース向けの大型物流センター開設(門真市)、インフラ会社の資材運搬拡大、GIGA(Global and Innovation Gateway for ALL)スクール構想に伴うPCキッティング業務受託など積極的な業容拡大に努めた結果、前期比微減の水準を確保した。利益面では、営業利益では、成長戦略に必要な投資財源を確保するための、本社間接費を中心とした経費削減や収益性の低い事業のコスト構造改革が寄与し、経常利益では助成金収入が寄与した結果、いずれも計画超の増益となり過去最高を更新した。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に計上した特別利益の剥落や特別損失計上により微減となった。
2. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の連結業績見通しについては、売上高が前期比6.4%増の26,000百万円、営業利益が同21.4%増の1,241百万円、経常利益が同0.9%増の1,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同22.8%増の818百万円を見込んでいる。また、期末配当については、同2.0円増配の20.0円としている。コロナ禍以前への景気回復の足取りは弱く、今後も不透明な経営環境が続くものと予想されるものの、下期より新事業となる資材3PL業務が開始されることや、首都圏での事務所移転作業の獲得増等を見込んでいることから増収予想となっている。利益面では、経費削減への継続的な取り組みや業務効率上昇を推進することによって大幅営業増益を見込んでいる。なお、助成金収入の剥落により経常利益は微増、特別損失の剥落により親会社株主に帰属する当期純利益は大幅増益を予想している。
3. 中長期成長戦略
同社は、中期経営計画で事業領域別施策を取っている。具体的には、重点事業として、物流設計力を生かした「オフィスサービス事業」「3PL事業」「ビルデリバリー事業」の拡大及びグループの総合力を高めるための「M&A戦略」の4つを挙げ、基幹事業では収益構造の改革や収益基盤の強化に取り組むとしている。また、新長期経営ビジョンの目標値として、2023年3月期に売上高300億円、重点事業領域比率※45.0%(2020年3月期は30.0%)、3年累計営業キャッシュ・フロー36億円、ROE6%以上、2030年3月期に売上高500億円以上、重点事業領域比率63.0%、従業員数1,850名を掲げている。同社は、地盤である関西圏での高い知名度や安定収益基盤により、景気変動やコロナ禍の影響は比較的軽微と言える。また、重点事業を中心に、市場シェア拡大余地が大きい首都圏ビジネスも徐々に拡大していることから、中長期的に収益拡大基調が期待できると弊社では見ている。
※同社が定める重点事業がグループ全体の売上に占める比率。
■Key Points
・関西を地盤とする物流企業で、幅広い分野の大手優良顧客層が安定収益基盤となる
・2022年3月期は首都圏ビジネスの更なる拡大や新事業開始により大幅営業増益を見込む
・市場シェア拡大余地が大きい首都圏ビジネスが徐々に拡大していることから、中長期的に収益拡大基調が期待できる(2021年3月期の首都圏売上比率は37%)
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
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