先週は、想定した28500~29300円のレンジの中でのもみあい
先週の予測では、前週末の29000円台回復が本物かどうかは、75日移動平均線を突破しなければならないとしました。前週末の動きでは、25日移動平均線を軽くクリアーしたものの、75日移動平均線には届きませんでした。
その結果、先週は75日移動平均線にアタマを抑えこまれる形でもみあい、25日移動平均線も終値では割り込むことはありませんでした。
突破するには、国内の感染者が減少し、ワクチン接種の進展が早まるかどうかにかかるため、もう少し時間を要するとしました。
そのため、先週は29000円をはさんだもみあいとなり、レンジとしては28500~29300円としました。
結果的には、想定したように高値は3日(木)の29157円、安値は2日(水)の28565円の間のもみあいとなり、週の終値は▲116円の28941円と想定したレンジの中ほどで終りました。
先週は、週明けの5月31日(月)は、この日は米国市場が休場で参加者が少ない中、中国の5月製造業PMIが予想を下回り、上海株式が下落したことで、先物売りから▲129円の29019円で寄り付き、後場になると一時▲357円の28791円まで下げ、終値は▲289円の28860円となりました。
先々週末の28日(金)に△600円の29149円と大幅反発の調整売りとの見方があります。
6月1日(火)は、前日の米国が休場で材料ない中、△138円の28998円で寄り付き、一時△215円の29075円まで上昇するものの、一転、先物売りで▲248円の28611円まで下落しました。しかし、後場、中頃には持ち直し終値は▲45円の28814円で引けました。朝高後の急落はCTA(商品投資顧問業者)絡みの先物売りによりものと言われていました。
2日(水)は、寄り付きは▲83円の28730円と3日続落スタートとなり、一時▲248円の28565円まで下落しましたが、そのあとワクチン接種の進展期待で反発し、後場、直後に△189円の29003円まで上昇しました。その後は、戻り売りで上値は重かったものの△131円の28946円と3日ぶりに反発しました。
3日(木)は、前日の米国株式は3指標小幅上昇したものの、日経平均は▲55円の28890円で寄り付き、先物に断続的な買いが入ったことをキッカケに△211円の29157円まで上昇しました。後場には29000円水準でのもみあいとなり、終値は29058円と2日連続の上昇でした。
4日(金)は、朝方は米長期金利の上昇を背景に3日の米国市場が下落した流れを受け、売りが先行し一時▲293円の28764円まで下落し、売り一巡後は下げ渋って▲66円の28991円まで戻しました。しかし、買い進む動きにはならず▲116円の28941円と3日ぶり反落して引けました。
4日(金)の米国市場では、注目の5月雇用統計で非農業部門雇用者数は、前月の27.8万人から55.9万人増へと大きく改善しましたが、市場予想の65.0万人を下回ったことで、過度なインフレ懸念は和らぎました。その結果、10年債利回りが前回の1.627%から1.555%へ低下し、ハイテク株が軒並み高となり、3指標そろって反発し、S&P500は最高値にあと僅かまで接近しました。為替はドルが売られ円は109円台半ばへと前日比0.77円の円高・ドル安となり、シカゴの日経先物は△190円の29120円でした。
6月は上昇しやすい月だが、まず75日移動平均線を突破できるかどうかに注目
今週も先週と同じように、下値では終値での25日移動平均線(3日時点28644円)を守り、上値では75日移動平均線(3日時点29225円)の間での動きとなり、75日移動平均線を上回ることができるかどうかがポイントとなります。上回る条件としては、国内では新型コロナワクチンの接種者が増加しており、職場や大学での一般接種が近く始まるとの見通しもあり、経済正常化への期待も高まってきます。さらに国外では先週末の米国株式は注目の5月雇用統計で予想よりも強い結果とならなかったことで、過度なインフレ懸念が和らぎ、10年債利回りが低下したことで、株価は3指標とも上昇しました。NYダウは最高値まであと335ドル、S&P500は、あと僅かとなっていますが、ナスダックは最高値が2月16日の14175P、4月29日の15211Pとダブル天井をつくり、上値を追えない状況ですので気にかかるところです。
国内の接種状況の進展と米国株の上昇があれば、日本株は6月に上昇して高値をつけるというアノマリー(経験則)があり、ボーナスシーズンを前に期待が高まるところです。先週の日経平均は、3日(木)に29157円まで上昇して、4日(金)の終値が28941円と日足チャートは、75日移動平均線(3日時点29225円)に差しかかろうとしていますが、ここはフシ目で(29300~29500円)戻り売りが続くところですので、果たして突破できるかとなります。上昇しやすいアノマリーがある6月ですが、高値圏で乱高下しやすいところでもあるので、個別銘柄は「突っ込み買いの叩き売り」とし、上昇した場合は。いったん利益確定優先となります。
本日7日(月)は、寄り付きは買いが先行し、先週末の米国市場で金融引き締め観測の後退から長期金利が低下し、主要株価指数が揃って上昇した流れを受け、寄り付き直後に29241円まで上昇する場面もありましたが、買い一巡後は戻り売りに上げ幅を縮小し、一時28973円まで下落しました。その後も戻りは限定的で後場、終盤にかけて上値が重くなり、△77円の29019円で引けました。
(指標)日経平均
先週の予測では、29000円前後でのもみあいとし、レンジでは28500~29300円としました。
結果的に高値は3日(木)の29157円、安値は2日(水)の28565円とほぼ想定通りでした。上値は75日移動平均線にアタマを抑えこまる形でしたが、下値は25日移動平均線を終値では割り込むこともなく、下値を固めつつあるといえます。日本でも新型コロナワクチン接種の進展がスピードアップしており、経済正常化が視野に入れられる状況となってきました。特に話題となったのは、週末に大台の1万円目前に迫ったトヨタで8日連続の上場来高値を更新しました。
今週の日経平均は、米株式、特にナスダックの上昇が続けば、日本のハイテク株も上昇し、上値の重い75日移動平均線を試すことになります。国内では、ワクチン接種も進展し、経済正常化期待が高まっており、6月は経験則(アノマリー)で高値をつける期待もあります。米国株式が上昇不足なら日経平均は29000円水準でのもみあいが続くことになります。
(指標)NYダウ
先週は、週末の5月雇用統計が注目としました。市場予想は強い内容のため長期金利が上昇し、インフレ懸念が高まって株価はいったん一服するとの見方がありました。
結果的には、雇用統計は前月より強い内容となりましたが、市場予想を下回ったことで過度なインフレ懸念が和らぎ、金融緩和縮小懸念も後退したことで、株価は3指標そろって上昇しました。S&P500は最高値まであと僅かとなり、NYダウは△179ドルの34756ドルとなって、柴田罫線では終値ベースで5月6日の34545ドルを上回り最高値まであと335ドルとなっています。
日経平均の上昇のカギを握る米株式は、インフレ懸念(長期金利上昇)が高まっていて、5月の雇用統計が強い予想だったことで、株価はもたついていました。しかし4日(金)の5月雇用統計は、内容は強かったものの、市場予想に届かなかったことで、過度なインフレ懸念が和らぎ、長期金利も前回の1.627%から1.555%へと低下し、ハイテク・グロース株中心に3指標そろって上昇となりました。NYダウは高値まであと335ドル、S%P500はあと僅かですが、ナスダックは2月16日の14175P、4月29日の14211Pとダブル天井をつけたまま上値が重い形となっており、これを抜けられれば米株式の再上昇となります。長期金利の行方に注目となります。
(指標)ドル/円
●先週の動き … 週末はドル伸び悩み
6月1日に5月ISM製造業景況指数が予想を上回り、3日の5月ADP雇用統計も予想を上回ったことで、ドル買いが活発となり、1ドル=110円台前半まで買われました。
しかし、4日発表の5月雇用統計は、市場予想を下回ったことで、米長期金利が低下し、ドル売り・円買いが活発化して、109円台前半までドルが売られました。週末のドル・円は109.53円で引けました。
●今週の見通し
FRBは、大規模な金融緩和策の長期間維持の方針を変えているようだが、米国経済の正常化によってインフレ進行の可能性は残ります。5月雇用統計の内容をみても雇用情勢は改善しつつあることから、テーパリング(資産買い入れ規模の縮小)は根強いといえます。ドルが買われても、1ドル=110円台ではドル売りが増えるとの見方が多く、ドルの一段高は期待しにくいということになります。
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