先週は、大阪、東京の「緊急事態宣言」や米株安を受け、一時28500円割れの場面も
先週の予測では、新型コロナ感染再拡大を受け、「まん延防止措置」の対象が広がり、さらに大阪府、東京都などに「緊急事態宣言」の発令がでるようだと、いったん大きく下落し買い場へ向かうとしました。
柴田罫線の下げ型をみると2月16日の30714円、3月15日の30485円、4月6日の30208円と順次アタマを低くする順下げの三尊天井の型となっており、又、日足でみると4月6日の30208円を上値、75日移動平均線(16日時点29045円)を下値とする三角保ち合いとなっており、この中で25日移動平均線(16日時点29542円)近辺で煮詰まっています。ここで25日移動平均線を切って下放れとなると75日移動平均線の29000円台が次の下値ポイントとなり、ここを切るとさらに下放れとなって調整が長引くことになります。
結果的には、20日(火)に大阪府が週内にも「緊急事態宣言」要請の見通しと報道され、29500円台の保ち合いを下放れし、▲584円の29100円と次の下値まで一気に下がってきました。さらに21日(水)は、欧米株安で売り先行の中を全面安で一気に28419円まで下げてきました。しかし、3月5日の28308円、24日の28379円を下回らず踏みとどまり、週末は29020円と29000円を守って引けました。
結局、先週は新型コロナ感染の再拡大から大阪、東京などに「緊急事態宣言」の発令の可能性が高まり、日本経済への警戒感から株が売られ、さらに米国株がFRBによる金融緩和を段階的に縮小する観測が浮上し、またバイデン大統領の富裕層へのキャピタルゲイン課税の強化が伝わり下落となりました。さらにドル高一服となって円がジリ高となったことも悪材料となり、21日(水)には一気に75日移動平均線を下に切りましたが、上述したように3月の安値を割り込まず週末は29020円で引けました。ただし、日経平均の日足での三角保ち合いは、75日移動平均線(22日時点29144円)を下放れしたままです。
週末23日の米国市場は、バイデン大統領の富裕層へのキャピタルゲイン課税は、共和党の反対などで実現性は低いとの見方から米国株式は大きく買い戻され、S&P500は1週間ぶりの史上最高値更新となっています。シカゴの日経先物は△245円の29215円でした。
今週は、29000円前後を中心に28500~29500円のレンジを想定
今週は、先週の急落後のいったんの反発を受け、29000円前後で様子見となりそうです。この状況の中で、日米の金融政策を議論する会合が開かれ、又、国内企業の3月期決算発表が本格化します。
27日の日銀金融政策決定会合、27~28日にFOMCがあります。FOMCではこれまでと同じように大規模金融政策を継続する方針とみられ、投資家には安心感が広がり株式にも堅調な動きが期待できます。一方、日銀には気になる動きがあると持論する市場関係者がいます。それは、日銀は4月に国債の購入を減額させており、先週の大きな下げでも21日に701億円EFTを購入しただけで相場を支える動きではありませんでした。市場関係者の間では、「日銀は金融緩和縮小に動きている」という認識が広まっているということです。新型コロナ感染拡大で景気低迷が続く日本の株式市場にとって日銀の金融緩和縮小が事実であれば痛手となります。もちろん、日銀は否定するでしょうが、カナダ中銀は来年にも利上げに踏み切る可能性を示唆しており日米欧協調による金融緩和も終りに近づいているということかもしれません。
チャートの動きからみると、先週は、日足での三角保ち合いを下放れし、75日移動平均線を切って28419円まで下落し、その後、22日に679円高の29188円と大きく反発して、75日移動平均線を回復しましたが、割り込んだ25日移動平均線(22日時点29409円)を下回っています。少なくともここを突破しなければ3万円台は時間がかかることになります。今回は、連休に向けての上昇という過去の経験則は難しくなったかもしれません。特に新型コロナ感染拡大第4波は、これまでのウイルスと違って感染力が2倍という統計もあるN501Yに置き換わりつつあり、早期の感染収束が実現できるか疑問になっています。投資は慎重なスタンスが必要ですが、コロナ禍の中でビジネスチャンスが生まれ、業績を伸ばす企業も出現してくるので慎重に銘柄を選んで投資すべきでしょう。今週の日経平均は、29000円前後を中心に28500~29500円のレンジが基本といえます。
本日26日(月)は、寄り付きは、前週末の米国株高を受けて寄り付き直後に29100円台に乗せましたが、その後はいったん下げに転じ、また25日から4都府県で緊急事態宣言が実施されたことで先行き不透明感や、25日投開票の国政3選挙で自民党が全敗したことも重しとして意識され、一時、28896円まで下落しました。しかし、宣言発令で新型コロナウイルス感染数減少への期待感は根強く、売り一巡後は再びプラス圏に持ち直し、時間外取引の米株先物高も支えとなり、後場は一段高となって△105円の29126円で引けました。
(指標)日経平均
先週の予測では、新型コロナ感染再拡大で、週内には大阪、東京で「緊急事態宣言」の発令が出る予想を受けて、チャートは25日移動平均線(16日時点29542円)を切り、75日移動平均線(16日時点29045円)を試す動きとなりました。さらに75日移動平均線を切ると調整が長引くかもしれないともしました。
結果的に米株式も下落となったことから、日経平均は21日(水)には28419円まで下げ、およそ1ヶ月ぶりの安値となりました。しかし何とか3月5日の28308円、3月24日の28379円を下回らず週末は29020円と29000円を守って引けましたが、日足では75日移動平均線(22日時点29144円)を割り込み、三角保ち合いの下放れとなっております。
先週は悪材料が重なって、20日、21日と2日間で約1200円下落し、22日(木)は反動で△679円の29188円と大きく反発して、75日移動平均線(22日時点29144円)をいったん回復しましたが、すぐ上に25日移動平均線(22日時点29409円)があり、これを突破しなければ3万円台回復には時間がかかります。当面は米国株式がサポートになるものの、日経平均は29000円前後でのもみあいが続き、3度目の「緊急事態宣言」の結果を確認する動きとなりそうです。レンジは28500~29500円が想定されます。
(指標)NYダウ
先週の予測では、引き続き経済活動の再開を背景とした景気回復期待や企業の好決算が相場を押し上げることになりそうだとしました。しかし、先週の相場は一服となりました。
4月19日(月)は、ビットコインの急落を受け、ハイテク・グロース株が大きく下落し、20日(火)にはWHOが世界的なコロナ感染が最高レベルに向かっていると警告し、米国の1日あたりの感染者数も6万7000人以上となったことで、景気の先行き懸念から3指標そろって大幅続落となりました。21日(水)は、いったん大き反発するものの、バイデン大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン課税を強化するとしたことで大幅下落となりました。週末のNYダウは、△227ドルの34043ドルと反発して引けました。
今週は、ハイテク株の決算に注目が集まりそうです。それ以外に28日にバイデン大統領の就任後、始めての議会演説があり、インフラ計画や気候変動対策に加えて、キャピタルゲイン課税の言及もあるかもしれません。まだ現在のところ大量の失業者がいる中で速やかに増税を推し進めるとは考えにくく、直近は良好な企業決算や景気回復期待を背景に相場の上昇が継続すると考えられます。
(指標)ドル/円
●先週はドルは弱含み
先週は、週始めは米国務省が100ヶ国近くを渡航禁止の対象にしたことで、ドル高・円安にふれましたが、バイデン大統領の富裕層向けのキャピタルゲイン増税策の提示により、ドル買い・円売りは縮小。日本政府が「緊急事態宣言」を発令する方針を固めたことでドル売り・円買いにつながりました。4月23日のNY市場ではドル・円は一時107.48円まで下落し、週の終値は107.87円で引けました。
●今週は、景気回復期待でドル売り縮小
FRBは、4月27~28日にFOMCを開催し、現行の金融政策の維持を決定する見通し。金融緩和政策の長期化への思惑は消えていないので、ドルの反発を抑える要因となります。又、28日予定のバイデン大統領の演説で増税計画について話すとみられているのでドル買いを抑制することになりそうです。
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