明日の株式相場に向けて=“波の上下動”に一喜一憂しない
週明け22日の東京株式市場は、日経平均株価が617円安の2万9174円と大幅続落。日経平均は前週末に終値で400円を超える下げをみせたが、きょうは一時700円近くに及ぶ急落となり、2日間であっという間に1000円以上も水準を切り下げた。前週のFOMCでは2023年末までゼロ金利政策を続けるという方針が示され、その後のパウエルFRB議長の記者会見も超ハト派なコメントでマーケットを安心させた。
ところが、その次の日銀の金融政策決定会合ではETF購入手法の変更という思いがけない方向からの突風で楽勝と思われたコーナーを曲がり切れずスピンしてしまった。そして、追い打ちをかけるように、前週末にFRBが大手銀行の資本規制に関し特例で行っていた緩和措置を延長しないことを発表。FOMCでは恵比須様にしか見えなかったFRBが、経済正常化の流れが見えてきたところで「締めるところは少し締めときましょう」的な現実モードに戻ってきた感じが、小さな裏切りと捉えられリスク回避売りを助長した。
日銀のETF買い入れの6兆円下限撤廃については事前に織り込みが進んでいたが、日経平均連動型を除外するとの発表は、想定外ということで全体相場の撹乱要因となった。ただし、ファーストリテイリング<9983.T>の浮動株吸い上げはかなり以前から問題視され、その対応が必要とみられていたことは確かであり、今回の発表は決して“寝耳に水”ということではない。ファストリテの大幅安は、日経平均先物への売り仕掛けを効果的にするという全体相場急落の演出に一役買っただけ。相場的な見地ではこれは波の上下動に過ぎず、潮の流れを変えるような話ではない。今月後半は機関投資家の決算対策売りと配当権利取りの買いがぶつかって、需給面ではどっちつかずだが、押し目があれば買い下がるという方針で結果的に果実を手にすることができる公算が大きいと思われる。
個別では、NFT(ノンファンジブル・トークン)関連に流れ込む投資マネーに勢いがある。この手のテーマは、それこそファストリテで振り回される日経平均とは別次元で動く銘柄の宝庫といえる。エンタメ特化ブロックチェーン「パレット」のテストネットフェーズでコンソーシアムに参加するLink-U<4446.T>が4連騰、同じく参加企業のセレス<3696.T>は上昇一服となっているがここ上値指向の強い展開を続けていた。このほかNFTデジタルシールを今夏発売予定のスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684.T>と協業体制を敷くgumi<3903.T>も物色人気化している。前週紹介したリンクユー、gumi以外ではSpeee<4499.T>なども異色の上げ足で底離れの動きをみせてきた。
自動車業界は半導体供給不足の問題に悩まされているが、車載マイコン大手のルネサスエレクトロニクス<6723.T>の工場火災が泣きっ面に蜂となり、生産体制への影響を懸念されている。しかし、これもまた波の上下動に過ぎず、潮の流れを変えるような話ではない。重要なのは自動車の販売需要であって、いずれ逃した商機を取り返す局面が来る。特にトヨタ自動車<7203.T>はEVや燃料電池車などエコカーへの展開力で先駆しており、トヨタ系自動車部品メーカーに流れが来ている。共和レザー<3553.T>がその典型で、大豊工業<6470.T>なども買われたが、ここで新たにマークしてみたいのはトヨタ向けが売り上げの60%前後を占める愛三工業<7283.T>だ。
また、不動産株も総じて強い動きを示す銘柄が多い。「世界的に不動産分野に資金を振り向ける動きが観測される」(ネット証券アナリスト)状況で日本も例外ではなく、「海外マネーが日本の不動産物件に食指を動かしている」(同)という指摘がある。新日本建物<8893.T>やフジ住宅<8860.T>のほか、コスモスイニシア<8844.T>なども底離れの兆しにある。
あすのスケジュールでは、2月の全国スーパー売上高、2月の百貨店売上高、3月の月例経済報告など。海外では2月の米新築住宅販売件数など。また、パウエルFRB議長の米下院での議会証言にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
ところが、その次の日銀の金融政策決定会合ではETF購入手法の変更という思いがけない方向からの突風で楽勝と思われたコーナーを曲がり切れずスピンしてしまった。そして、追い打ちをかけるように、前週末にFRBが大手銀行の資本規制に関し特例で行っていた緩和措置を延長しないことを発表。FOMCでは恵比須様にしか見えなかったFRBが、経済正常化の流れが見えてきたところで「締めるところは少し締めときましょう」的な現実モードに戻ってきた感じが、小さな裏切りと捉えられリスク回避売りを助長した。
日銀のETF買い入れの6兆円下限撤廃については事前に織り込みが進んでいたが、日経平均連動型を除外するとの発表は、想定外ということで全体相場の撹乱要因となった。ただし、ファーストリテイリング<9983.T>の浮動株吸い上げはかなり以前から問題視され、その対応が必要とみられていたことは確かであり、今回の発表は決して“寝耳に水”ということではない。ファストリテの大幅安は、日経平均先物への売り仕掛けを効果的にするという全体相場急落の演出に一役買っただけ。相場的な見地ではこれは波の上下動に過ぎず、潮の流れを変えるような話ではない。今月後半は機関投資家の決算対策売りと配当権利取りの買いがぶつかって、需給面ではどっちつかずだが、押し目があれば買い下がるという方針で結果的に果実を手にすることができる公算が大きいと思われる。
個別では、NFT(ノンファンジブル・トークン)関連に流れ込む投資マネーに勢いがある。この手のテーマは、それこそファストリテで振り回される日経平均とは別次元で動く銘柄の宝庫といえる。エンタメ特化ブロックチェーン「パレット」のテストネットフェーズでコンソーシアムに参加するLink-U<4446.T>が4連騰、同じく参加企業のセレス<3696.T>は上昇一服となっているがここ上値指向の強い展開を続けていた。このほかNFTデジタルシールを今夏発売予定のスクウェア・エニックス・ホールディングス<9684.T>と協業体制を敷くgumi<3903.T>も物色人気化している。前週紹介したリンクユー、gumi以外ではSpeee<4499.T>なども異色の上げ足で底離れの動きをみせてきた。
自動車業界は半導体供給不足の問題に悩まされているが、車載マイコン大手のルネサスエレクトロニクス<6723.T>の工場火災が泣きっ面に蜂となり、生産体制への影響を懸念されている。しかし、これもまた波の上下動に過ぎず、潮の流れを変えるような話ではない。重要なのは自動車の販売需要であって、いずれ逃した商機を取り返す局面が来る。特にトヨタ自動車<7203.T>はEVや燃料電池車などエコカーへの展開力で先駆しており、トヨタ系自動車部品メーカーに流れが来ている。共和レザー<3553.T>がその典型で、大豊工業<6470.T>なども買われたが、ここで新たにマークしてみたいのはトヨタ向けが売り上げの60%前後を占める愛三工業<7283.T>だ。
また、不動産株も総じて強い動きを示す銘柄が多い。「世界的に不動産分野に資金を振り向ける動きが観測される」(ネット証券アナリスト)状況で日本も例外ではなく、「海外マネーが日本の不動産物件に食指を動かしている」(同)という指摘がある。新日本建物<8893.T>やフジ住宅<8860.T>のほか、コスモスイニシア<8844.T>なども底離れの兆しにある。
あすのスケジュールでは、2月の全国スーパー売上高、2月の百貨店売上高、3月の月例経済報告など。海外では2月の米新築住宅販売件数など。また、パウエルFRB議長の米下院での議会証言にマーケットの関心が高い。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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