~フレキシブルオフィスの空間シェアリングで独自のビジネスモデルを展開~
【ポイント】
・TKPのフレキシブルオフィス事業が、「日本サービス大賞」の優秀賞を受賞した。選定に当たって、1)テレワークやサテライトオフィスニーズに柔軟に対応し、2)働き方改革に寄与する利便性を提供し、3)高い付加価値を創出していることが評価された。
・貸オフィスは安定しているが、貸会議室は新型コロナの影響を受けて、ビジネスモデルの再構築を迫られた。そこで、1)リアルとDXによるハイブリッドな利用を進めると共に、2)時間貸しから期間貸しへのシフトし、相互利用を図ることにした。
・「Work X」という新ブランドで、サテライトオフィス事業を3月より本格展開する。まずは首都圏の貸会議室を利用して、その転換を進める。コロナ禍で期間貸しの比率は既に上がっているので、立上げは順調に進もう。稼働率の向上が収益性の改善に貢献しよう。
・2021年2月期は、1)上期はEBITDAでは黒字を確保したが、営業利益で20億円の赤字となった、2)しかし、3Q(9~11月)は営業黒字に復帰した。4Qはコロナ第3波の影響があるものの、大幅赤字にはならないとみられる。翌2022年2月期の業績は、まだコロナの影響が断続的に続くとしても、黒字は十分確保できよう。
・河野社長はコロナショックの収束に向け、1)十分な運転資金の確保と固定費の圧縮、2)事業の選択と集中、3)今後の需要変化への対応を掲げて、素早く手を打っている。すでに350億円の資金枠を確保している。
・1月に新株予約権によるエクイティファイナンスを発表した。3ヵ年の権利行使期間で、212億円の調達を想定するが、権利行使はマーケットを見ながら、TKPサイドがフレキシブルに指示できる。20.8%の希薄化を招くので、それ以上の業績拡大が実行できるかがカギとなる。中期的に営業利益で100億円を目指すことが目標となろう。
・サテライトオフィス「Work X」を軸に、貸会議室をコロナ対応型に合わせて、稼働を大きく上げようとしている。一定の努力は要するが、株価はコロナショックの克服を次第に織り込もう。業績の回復テンポに注目したい。
目 次
1.特色 真似のできない空間再生で、シェアリングエコノミーを実践
2.強み フレキシブルオフィスの日本リージャスを買収
3.中期経営方針 サテライトオフィスへの本格参入で、ビジネスモデルをさらに革新
4.当面の業績 コロナショックは十分克服できよう
5.企業評価 フレキシブルオフィスでトップの基盤づくり
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2021年1月29日) |
2380円 |
時価総額 | 907億円 (38.1百万株) |
PBR | 2.54倍 |
ROE | 2.6% |
PER | 97.9倍 |
配当利回り | 0.0% |
総資産 | 117673百万円 |
純資産 | 34781百万円 |
自己資本比率 | 27.9% |
BPS | 937.8円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2013.2 | 8102 | 1129 | 1222 | 615 | 20.6 | 0 |
2014.2 | 10877 | 1060 | 1241 | 198 | 6.6 | 0 |
2015.2 | 14162 | 878 | 701 | 339 | 11.3 | 0 |
2016.2 | 17941 | 2004 | 1848 | 935 | 31.3 | 0 |
2017.2 | 21978 | 2694 | 2552 | 1352 | 45.2 | 0 |
2018.2 | 28689 | 3449 | 3200 | 2071 | 64.0 | 0 |
2019.2 | 35523 | 4289 | 4053 | 1893 | 58.1 | 0 |
2020.2 | 54343 | 6325 | 4761 | 1743 | 50.4 | 0 |
2021.2(予) | 43000 | -2200 | -2200 | -3100 | -83.6 | 0 |
2022.2(予) | 53000 | 3000 | 2500 | 900 | 24.3 | 0 |
(2020.11ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは来期予想ベース。EPSは1月公表の第三者割当新株予約権によるファイナンスによる希薄化前、最大20.8%の希薄化がありうる。2015.2期より連結決算、それまでは単独決算。2017年1月に1:100の株式分割、2017年9月に1:7の株式分割を実施。それ以前のEPSは修正ベース。2020.2期は2Qより日本リージャスを含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/TKP202101.pdf
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