ベネ・ワン Research Memo(3):主力の福利厚生事業で補助金支出が減少し、会員数も堅実に増加

配信元:フィスコ
投稿:2020/12/11 15:43
■業績動向

1. 2021年3月期第2四半期累計の連結業績概要
ベネフィット・ワン<2412>の2021年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%減の17,190百万円、営業利益が同18.4%増の4,454百万円、経常利益が同18.2%増の4,487百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同18.0%増の3,071百万円となった。減収の主な要因は、コロナ禍の影響でヘルスケア事業におけるサービス提供が滞り、同事業が809百万円の減収になったことである。ただ、主力の福利厚生事業で外出自粛を背景に補助金支出が減少したことで、営業増益となった。

2020年5月に発表した計画はコロナ禍の影響を考慮して保守的な内容にとどめており、同計画比では売上高が1.3%増、営業利益が33.8%増、経常利益が33.9%増、親会社株主に帰属する四半期純利益が33.5%増とそろって上振れた。

(1) ベネフィット・ステーション関連事業(福利厚生+パーソナル+CRM)
2021年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比1.9%減の10,179百万円と小幅に減収となった一方、営業利益は同26.1%増の4,073百万円と大きく伸びた。減収の主な要因は既存個人会員の減少によるものであった。しかし、夏季行楽シーズンなどにおける旅行・レジャー関連サービスの利用が減少し、補助金支出が減少した。また、コロナ禍における業務の制限もあって各経費が抑えられたことで、営業利益は増加した。営業利益率については前年同期の31.1%から40.0%にまで上昇した。

総会員数は前年同期比で87万人増の868万人と堅実に伸びた。コロナ禍の影響を背景に「働き方改革・健康経営・デジタル化」という課題に向けた企業の取り組みがより活発化し、これらに対応できるベネフィット・ステーションの需要は高まり、大手や中堅企業を中心に会員数が拡大した。解約については中小企業や個人で見られるものの、主要顧客である大企業などではほぼ見られなかった。不要不急の支出が抑えられるなか、主要顧客の解約が少なく、むしろ会員数が増加を維持したことで、同社サービスの需要の根強さが再確認できた。

(2) インセンティブ事業
2021年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比2.4%増の2,115百万円、営業利益は同26.0%増の524百万円となった。コロナ禍において旅行などの代替策としてのニーズが高まったほか、従業員に向けた慰労目的での利用も増え、顧客側での柔軟な用途・ニーズを背景とした収益の安定感が確認できた。営業利益率は前年同期の20.1%から24.8%まで上昇した。

(3) ヘルスケア事業
2021年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比17.8%減の3,739百万円、営業利益は同75.2%減の79百万円となった。コロナ禍において健康経営への意識はさらに高まり、ニーズは膨らんでいる。しかし、緊急事態宣言などの影響もあって顧客企業からの申し込みに遅れが生じており、サービス提供が例年より滞った。営業損益については、前期予算の期ずれや、保健指導のICT面談促進による原価低減などを受けて黒字を確保した。

(4) 購買・精算代行事業
2021年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比14.4%減の322百万円、営業利益は同65.4%減の20百万円となった。コロナ禍による出張・接待の自粛が第2四半期にまで長引いたことが影響した。売上高は計画比でも20百万円減となったものの、経費支出の抑制が奏功して営業利益は計画比20百万円増となった。

(5) 海外事業
2021年3月期第2四半期累計の売上高は前年同期比55.7%増の561百万円、営業損失は62百万円(前年同期は143百万円の損失)となった。米国やインドネシアで外出自粛の影響が長引いているものの、シンガポールやタイなどでは営業活動が回復しつつあり、顧客が拡大した。


財務安全性と収益性は依然として良好
2. 貸借対照表及び財務指標
2021年3月期第2四半期末の総資産は、前期末比312百万円増の30,239百万円となった。流動資産は同50百万円減の23,419百万円となった。現金及び預金が809百万円、たな卸資産が581百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が1,695百万円減少した。固定資産は同362百万円増の6,819百万円だった。負債は同862百万円増の14,221百万円となった。流動負債は、前受金が485百万円、預り金が314百万円増加したことで、同822百万円増の13,127百万円となった。固定負債は同39百万円増の1,093百万円となった。流動比率が178.4%、自己資本比率が53.0%と長短とも財務の高い安全性を堅持しており、コロナ禍における財務不安は低いと見る。収益性の観点では、営業利益率が25.9%と良好な水準となった。


営業活動によるキャッシュ・フローは高水準でキャッシュ創造能力高く、配当金の支払いで還元
3. キャッシュ・フロー計算書
2021年3月期第2四半期末の現金及び現金同等物の残高は、前期末比809百万円増の13,771百万円だった。営業活動によるキャッシュ・フローは5,317百万円の収入と、投資活動によるキャッシュ・フローの支出462百万円を大きく上回った。財務活動によるキャッシュ・フローは4,049百万円の支出となった。主な支出要因は配当金の支払3,985百万円だった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)


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