TRUCK-ONE 小川雄也社長インタビュー

設立30年を迎え、さらに海外の市場もターゲットとしてより幅広い事業展開を目指す

 新型コロナウイルスの感染拡大に日本経済が揺れている。当然、九州経済も例外ではないが、そこには地元に根付き、地域経済の活性化を目指す力強い企業が多く存在している。しかし、地方証券取引所の上場銘柄は、全国的な「知名度」の低さなども加わり、投資家にとっては情報不足の感は否めない。地方には、キラリと光る多くの優良な企業息づいている。福岡証券取引所の単独上場会社の会(通称:単場会)http://fse.irnavi.minkabu.jp/にもそうした魅力溢れる銘柄がある。この単場会の企業トップが、自身の言葉でビジネスモデルや成長戦略、経営課題などを語ってくれた。今夏発生した九州豪雨からの復興、復旧が本格化するなか、旺盛な突破力で成長ロードを走る福証単場会の銘柄に注目したい。

3047:TRUCK-ONE
代表取締役社長 小川雄也氏


 
 トラックを中心とした中古の事業用車両の買取・販売事業を展開しているTRUCK-ONE <3047> [福証Q]。今年7月には海外輸出事業に特化したSUN AUTOを子会社化し、TRUCK-ONEが強みとする輸出用車両の仕入れとSUN AUTOが持つ東南アジアの販売網を組み合わせ東南アジアに独自の販売ルートを築いている。中古トラック販売の事業拡大を推し進める同社の小川雄也社長に経営戦略や経営理念について語っていただいた。

【1】貴社の事業の状況について伺います。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、物流業界にも大きな影響を与えていることと思います。
直近の業績をどう分析し、評価されていますか? また、今後の見通しについてはどのようにお考えですか?

 物流業界では、新型コロナウイルス感染症拡大により、世界的な製造業の生産活動や貿易が停滞し、国内工場の停止や原材料や輸入品の減少の影響を受け、工業系貨物の輸送量が減少しました。

 当社の商用車関連事業では、一般輸送用のウイング車などの車両の販売が落ち込んだものの、巣ごもり需要により宅配関連サービスが拡大したことから、冷蔵冷凍車を中心とした車両の販売が好調でした。

 当社も緊急事態宣言による県外への営業活動の自粛をしていたため、例年と比べると4、5月の販売は大きく落ち込んだものの、緊急事態宣言解除以降、冷蔵冷凍車を中心とした車両の販売による巻き返しを図ることができたことにより、第2四半期累計期間の業績につきましては、昨年の同時期と比べると約10%程度の売り上げの減少にとどまりました。

 今後も新型コロナウイルス感染症の収束が不透明であり、厳しい状況がしばらく続くと考えられますが、顧客のニーズが集中する高年式車両の仕入れおよび取り扱いに注力し、全国のユーザーの皆様への営業活動に努めるべく、社員全員一丸となって邁進してまいります。

【2】貴社の事業展開についてお聞きします。
貴社のビジネスの特徴やこだわり、そして新たな事業展開の可能性についてお話しください。

 当社は、豊富な事業用車両のラインアップを取り揃えており、販売車両を即時即納できることが強みです。一般的に新車トラックの納期は平均して5カ月程度ですが、長いものでは1年半以上かかる車両もあります。その点、当社は豊富なラインアップでお客様のニーズにお応えするとともに、できる限り早い納車を心掛けております。また、事業用車両の買取・販売に加え、顧客の用途や使用期間に対応したリース・レンタル車両の取り扱いも行っております。

 最近では、多種多様な商品車両の展示場や最新型の車両の車検整備を可能にするための車検整備ラインの新設に向けて、本社近くの土地を取得しました。単なる車両販売だけではなく、商品車両の付加価値の向上および車検整備事業の充実を図ってまいります。

 さらに、今年の7月に海外輸出事業に特化したSUN AUTO株式会社を子会社化いたしました。当社の強みである輸出用車両の仕入れにSUN AUTO株式会社の持つ東南アジアの販売網をプラスすることで、シナジーを発揮することが期待でき、各国の規制や商習慣に対応するノウハウなどを得ることが可能となります。

 今後は従来の国内市場に加え、東南アジアを中心とした海外への輸出に関しても力を入れていく方針です。

【3】中長期における経営戦略について伺います。
経営理念の実現に向けた具体的な数値目標やビジョンなど、お聞かせください。

 当社の理念として「Man Harmonize With The Environment(人と環境の調和)」を掲げており、仕入れた車両に再生可能なパーツを組み合わせ、新たな付加価値をつけた車両を提供することで、資源廃棄を抑制できればと考えております。?また、人との調和・環境との調和を図り、「働く車(トラック)」のトータルサポート企業として社会に貢献していくことを経営ビジョンとしております。

 それらの実現に向けて、昨年に中期経営計画を策定し、2021年連結売上高50億円、営業利益6千万円を目標といたしました。これを足がかりとして、早期に連結売上高100億円を達成すべく邁進してまいります。

 数値目標達成はもちろんですが、今後成長できる体制を整えることが重要であると考えており、人材・組織力の強化を図り、顧客満足度の高いサービスを提供してまいります。

【4】経営のリスクについてお話をお願いします。
貴社のビジネス展開におけるリスクは何でしょうか? また、想定されるリスクがどのように業績に影響するとお考えでしょうか?

 当社では、多種多様な車両の在庫を取り揃えていることから、新車の登録数の減少やメーカーの在庫調整による中古車市場全体の車両の取扱量が逓減した場合には、良質な中古車両を確保することが難しくなり、販売機会を損なうおそれがあります。そのためにもリース・レンタル事業に注力し、リースアップ・レンタアップ車両を数多く中古車市場へ送り出して販売機会の増加を図ってまいります。

 また、国内の人口減少による物流業界の縮小も挙げられます。人口減少による労働力不足は貨物輸送量の減少に繋がり、当社の事業用車両の販売事業や子会社の運送関連事業にも大きな影響を与えます。しかし、日本の市場の縮小が進むいっぽうで、海外の市場にはまだまだビジネスチャンスがあると考えております。今後は、国内だけではなく海外の市場もターゲットとしてより幅広い事業展開を進めてまいります。

【5】最後に、投資家に向けてお話をお願いします。
貴社では投資家に対してどのようなコミットが可能でしょうか? コーポレートガバナンスやコンプライアンス、経営理念に絡めた上でお話をいただければ幸いです。

 当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と位置付けております。今後も、事業収益をベースとし将来の事業展開や経営環境の変化に対応するための内部留保の確保と安定した配当政策を継続してまいります。また、当社は今年の1月で設立30周年を迎え、30周年を機にこれからのTRUCK-ONEを表現したスローガンとして『十ラック十色 ~あなたの夢を運びます~』を掲げました。当社は中古トラックを扱う業者ですが、トラックも人と同じように1台1台に個性があり、多種多様なトラックを取り揃えて、様々なお客様のニーズにお応えし、夢を叶えていただくお手伝いをしたいと考えております。今後も株主、顧客、地域住民の皆さま方と「I Win You Win」の関係を築き、地域社会に貢献するために、環境、社会、地域経済のサステナブルを意識した経営に取り組んでまいります。

【自社アピール】
 当社は、山口県下松市に本社を置き、トラックを中心とした中古の事業用車両の買取・販売事業を営んでおります。当社では「Man Harmonize With The Environment(人と環境の調和)」を理念に企業の社会的責任(CSR)を果たすべく、再利用可能な車両・パーツを活用し、廃棄するパーツを最小限にとどめ、環境に配慮した廃棄型から循環型を目指しております。当社の整備部門におきまして、企業理念にあります「人と環境の調和」を目指すべく、他社での取り扱いも少ないDPF(ディーゼル パティキュレート フィルタ)と呼ばれるディーゼル微粒子捕集フィルターの機械洗浄を取扱うことを計画しております。この機械洗浄により、交換して廃棄される部品を減らすことが可能になり、大気汚染の軽減や、経費削減に、少しでもお役に立てればと考えております。

 また、当社グループには子会社である株式会社T.L.Gと丸進運油株式会社があり、運送関連事業を行っております。株式会社T.L.Gでは一般貨物輸送、丸進運油株式会社では燃料輸送を請け負っております。

 さらに、2020年7月3日にSUN AUTO株式会社を子会社化しております。SUN AUTO株式会社は東南アジアに独自のルートを構築し、主に国外向け中古車販売事業を営んでおります。

 当社の強みである輸出用車両の仕入れとSUN AUTO株式会社の持つ東南アジアの販売網を獲得することで、各国の規制や商習慣に対応するノウハウなどを得ることが可能となり、海外市場への提供を拡大することができます。

 トラックという共通アイテムを基にシナジーを発揮し、収益機会を増加させ、業績の安定と進展を図ってまいります。また「働く車」が活躍するトータルサポート企業として、「働く車」のライフサイクルのすべての局面をチャンスと捉え、グループが持ち得るアライアンスを生み出し、事業機会の拡大を進めていきます。

 30周年を迎えられたことにつきまして、支えてくださった皆様方に感謝の意を表するとともに、サステナブルな社会に調和する企業として精進してまいります。

●資料請求・問い合わせ先
株式会社TRUCK-ONE 管理本部
〒744-0033 山口県下松市生野屋南3-3-40
TEL:0833-44-1100 / FAX:0833-44-2121
https://www.truck-one.com/

配信元: みんかぶ株式コラム

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