【IRアナリストレポート】レシップホールディングス(7213)

著者:鈴木 行生
投稿:2020/09/09 12:24

~バスのAFC(運賃システム)、TMS(運行管理システム)で先進~

【ポイント】
・新型コロナウイルスの影響が国内はもちろん、海外(米国、スウェーデン、シンガポール、タイ)のビジネスにも波及している。需要の落ち込みや先送りの影響もあり、今期の業績は3Qまで厳しいものとなろう。しかし、期末にかけて一部需要の回復も予想されるので営業黒字を確保し、来期はさらに回復色を強めよう。

・前期は、首都圏バス用ICカードシステムの更新需要と取り込んで、過去のピーク利益を12年ぶりに更新した。この更新需要は2020年3月期がピークであった。今期は更新需要の一巡から減益は避けられないところに、コロナの影響が加わってきた。

・バス機能の高度化に向けて新しい需要の拡大が見込める。先行投資を続けてきた海外ビジネスも数年かけて収支均衡に向けて前進するものと期待される。MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の一翼を担う当社の路線バス運行支援システム「LIVU」(ライブ:LECIP Intelligent Vehicle Unit)は、いくつかのバス会社で採用が始まっている。

・TMS(運行管理システム)において、多言語表示、カラーLED表示に加え、自動案内放送や次のバス停情報を自動設定する自動歩進装置(GPS活用)なども本格的に普及してくる。その核となるTMS車載器「LIVU」は、新しいプラットフォームとして業界の先陣を切っており評価は高い。これから需要に結びついてこよう。

・当社は、AFC(自動運賃収受システム)+TMS(運行管理システム)+SLP(表示・照明・電源)を事業のコアとする。バスのAFC(いわゆる運賃箱)では国内シェア6割を有するが、そのシェアは上がっている。当面の課題は、1)TMSを事業の柱に育てること、2) 3つの事業要素から新しい戦略システム商品を開発することにある。

・2021年3月期までの中期5ヵ年計画では、売上高200億円、営業利益10億円以上を安定的に計上することを目標にしてきたが、次の中期計画でもこの水準は確保したい。できれば、営業利益の水準を15~20億円に引き上げ、ROEで10~15%を確保したいところである。カギを握るLIVUのプラットフォーム化が進展してくれば、株式市場での評価は大きく高まってくるので、今後の展開に注目したい。

目 次
1.特色 情報処理(非接触ICカード利用)、電力変換(電源)、 光(LED)が得意
2.強み バスの運賃収受システムで国内シェア6割を有するトップメーカー
3.中期経営計画 国内の更新需要を取り込み、次はMaaSと海外へ
4.当面の業績 新型コロナの影響も加わり減益幅拡大
5.企業評価 内外での新規受注案件の仕上がりに注目

レシップホールディングス <7213>
企業レーティング B
株価
(2020年9月8日)
584円
時価総額 83億円
(14.18百万株)
PBR 1.54倍
ROE 8.3%
PER 18.6倍
配当利回り 1.5%
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2010.3 13585 29 64 41 3.3 7.5
2011.3 12551 121 154 46 3.7 6.25
2012.3 13059 493 514 132 10.4 7.5
2013.3 13480 477 526 292 23.4 7.5
2014.3 14157 151 164 -98 -9.1 8.5
2015.3 20215 603 779 227 20.8 8.5
2016.3 16203 -571 -649 -1378 -125.3 7.5
2017.3 16985 483 354 50 4.6 7.5
2018.3 15749 -235 -248 -454 -40.9 7.5
2019.3 21538 1021 1030 438 38.8 8.5
2020.3 26051 1854 1830 891 74.4 8.5
2021.3(予) 15000 200 200 -200 -15.7 8.5
2022.3(予) 19000 900 900 400 31.4 8.5

(2020.6ベース)

総資産 13116百万円 純資産 4818百万円 自己資本比率 36.7% BPS 378.2円

(注)ROE、PER、配当利回りは来期予想ベース。2005年11月1:10、2014年4月1:2の株式分割を実施。それ以前のEPS、配当は修正ベース。

企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/reshiltupuHD202009.pdf

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム

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